16)頑張りの行方

 とある企画でPVが伸びなくてモチベーションを保っていられないという書き込みを見ました。まあ、カクヨムの悩みですよね。お気持ちは分かります。きっと頑張って書いているんですよね。いつもなら、それでスルーするところですが、


 そんなに落ち込むということは、最新話に一つもPVが付いていないとか?


 少し気になったので作品を覗いてみることにしました。

 人のアクセス数を見るなんて、ちょっと悪趣味かなと思いながら見てみると、アクセス数5000pv超え、★100超えです。当然、最新話にも30近いPVが付いています。


 ……何が不満?


 PVが1つ付いただけで大喜びしている私とはえらい違いです。

 まあ、私との違いはさておき、とにもかくにも今の結果は彼の満足するところではないらしい。

 ちなみに、くだんの彼のプロフィールを見てみると、書籍化を目指していらっしゃるようなので、なるほど、そこに目標を置いてしまうと不満も不安も募るかもしれません。彼の「PVが伸びなくてモチベーションが上がらない」という言葉は、自身の望む結果を今すぐ手にいれたいという悲痛な叫びにも聞こえます。


 また先日、自主企画でとある作品を拝読させていただきました。まだ文字数も50,000文字に満たず、物語は序盤のものでしたが、続きを読みたくなりコメントをさせてもらいました。(いつもなら、この時点でのコメントは控えるようにしているのですが) 

 で、なぜわざわざコメントを残したかと言うと、もしかして活動していない? と感じたからです。何かお忙しい事情があるのかもしれないですが、前述のモチベーションうんぬんで活動されなくなっていたとしたら残念な限りです。


 例えば、小説でもイラストでも作品を発表する。当然、読者や閲覧者からなにがしかの反応を期待します。そりゃそうです。だって、したんですから。

 でも、気づかれていない可能性だってあるわけです。星の数ほど様々な作品が投稿されているネットの世界では、まず誰かの目に留まること自体が至難の技です。

 そして、意外とこの事実に愕然とする人が多い。

 公開すると、当然誰かに見てもらえると錯覚してしまうんですよね。分かります。何度も言うようですが、だって、したんですから。


 しかし、現実は期待通りの結果を得られることはなかなかありません。

 まあ、よくある話です。そう、よくある話なんですよ。

 もしかしたら、カクヨムでは望むような結果を出せずに終わる可能性だってあるわけです。

 こんな話をすると、「じゃあ、頑張っても無意味だ」と言う人がいます。でも、それも違う気がします。

 私は無駄な努力というものはないと思っています。確かに、望んでいた結果が、望んでいる時に、望んだとおりに得られないこともあるでしょう。人は、それを挫折と言います。では、挫折には何も残らないのか。まさか。私はそうは思いません。

 今までの頑張りは、必ずあなたの中で成長のための肥やしとなっています。

 そして将来、望んでいた結果として出てくることもあれば、違う形で実を結ぶこともあります。今望んでいる結果だけが、努力の答えとは限らない。人生は思う以上に予期せぬ出来事であふれています。今頑張っていることの結果(報酬)を今すぐもらおうとするから、もらえなかったときに無駄だと思ってしまうのです。人生には、ツケ払いというものが存在するんですよ。

 

 カクヨムのように相手の反応が数字化されると、それが自分に対する評価の全てだと感じてしまいます。しかし、物事はそんな単純なものではない。

 当然ながらPVや星の数だけで、あなたの作品の良し悪しをはかることは出来ません。ましてや、まだ見ぬあなたの能力をこれだけで推し測ろうなんて、暴挙もいいところです。


 目標を高く置くことはいいことです。でも、それに縛られ過ぎると出来ない自分を否定するしかなくなります。それでは辛い。自分を苦しめるために目標を置いたわけではないでしょう。

 確実に言えるのは、あなたが今日も頑張ったという事実だけ。そして、そのただの事実の積み重ねが、あなたそのものを形作っているのだということを忘れないで欲しい。評価があなたを形作っているわけではない。

 自己の形成を、会ったこともない相手の評価に委ねてはいけない。若者、目の前の数字に惑わされるな。


 頑張りと評価について考えるところがあり、ちょいと書きなぐってみました。

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