第36話 ダンジョン探索部か、錬成部か

「ゴリアテ殿を連れて二人でダンジョンに行ったのは、どういう意図があったのでしょう?」


 そこが引っかかってるわけか。

 アイン・ゴリアテとは今から仲良くしておくべきって言っても、普通は通じないだろうしなぁ。


「それも戦士だなんて……それがしでは不満ですか?」


 蛍の表情は急に暗くなり、瞳が不安で揺れている。 

 ああ、そういうことか。


 前衛ジョブなら自分がいるのにと彼女は思ってるわけだ。


「いいや。蛍のことはとても大切だよ」


「!?!?!?」


 一番つき合いが長い相手だし、これからも続いていくだろうし。


「エ、エースケ殿、またそのようなことをおっしゃって……」


 蛍が恥じらい、上目遣いでそんなことを言う。


「俺が一番大切なのは蛍だぞ?」

 

「!?!?!?!?!??!??!??」


 蛍はボンッという擬音語が聞こえてきそうな反応で、テーブルに突っ伏してしまう。


 不安になってるみたいだから落ち着かせようとしたんだが、言葉選び上手くなかったかな?


「そ、そんにゃ、恥ずかしいことを……」


 蛍はとりあえず落ち着いたほうがよさそうだ。

 彼女が落ち着くためには緑茶二杯と、スコーンが必要だった。


 緑茶とスコーンって合うんだろうかと思うが、好みの範疇かね。


「それで、明日からどう動くおつもりなのでしょう?」


 蛍はじっとこっちの様子をうかがっている。

 

「明日は午前中に教養、数学、魔法理論で、午後から部活と委員会の勧誘だろ?」


 オウス学園には一応各種委員会と部活がある設定だった。

 名前しか出て来なくて実態不明の委員会のほうが多かった気がするが。


「ええ。それがしはダンジョン探索部か、剣術部にしようかと思うのですが」


 蛍はそこで言葉を区切って、ちらりと俺を見る。

 俺の動向を知りたいわけか。


 どうするかなあ。

 生徒会に入ることを検討するにせよ、かけもちを認めてくれるところならアリなんだよな。


「ダンジョン探索部か、錬成部かな」


 錬成部は顧問がウィガンなので、説得はできる気がする。

 ダンジョン探索部は主人公が選択次第で入る部活で、そこから生徒会入りするパターンが存在してた。


「そうですか!」


 蛍の目が輝く。


「では一緒にいかがですか?」


「ちょっと考えさせてくれ」


 賛成するべきだったかもしれないが、流されたくない。


「そ、そんな……」


 蛍はごはんをおあずけされた子犬みたいな顔になる。

 一緒になる機会が多いだろうからなぁとはさすがに言えない。


「蛍とは部活以外でも一緒になる機会は多いだろ。同じクラスなんだし」


「そ、そうですね」


 不承不承という感じだ。

 それはそれ、これはこれって訴えをしたいが我慢してるというのが伝わってくる。


「錬金術師がダンジョン探索部に入ってもいいのかって問題もあるだろ?」


 ゲームじゃ一人もいなかったはずだな。

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