第16話 ほんとはいつも嫌われたい




嫌われたなら


これ以上迷惑をかけることはないから


嫌われるかもしれない、という不安に駆られることはない


好きになってもらえるかもしれない、という期待をすることはない


そして、捨てられるまで傷つけて傷つけて傷つけて


「もううんざりだ」


そう君が吐き捨てることを待ってるの


そして安心したい


やっぱり愛されないのだと


無償の愛など存在しないのだと


持論は正しかったと証明するのだ






……それで?


どうしたいんだろう


ひとりになってほっとした


やっぱり自分の考えは間違っていなかったのだと証明された





………それで?


その先にぼくは何を望んでいたんだろう


自由になれたのかな


楽になれたのかな




溢れだすのは罪悪感だけ


より一層増すのは孤独だけ


差し伸べられた手を傷つけて


またひとりの夜へと沈んで






きっと傷だらけ


ぼくも君も




そんなの


誰も得なんかしないのにね

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