第17話 先輩と通学路 2




「はぁ……はぁ……はぁ……ほんと、先輩、いきなりすぎるよ、色々と」


 一旦、頭を冷やすためにあたしは先輩が言った時間を理由にちょっと全力疾走をしてる。


 割とまだまだ朝のホームルームまでの時間は余裕があったりするけど、そんなことよりも今はこの火照りすぎてヤバい顔とか身体とか頭とかを何とかしないと、まともな思考ができない!


 だって……だってだってだって! 


 い、いいいいきなり結婚って! あたしとならしたいって! そ、そのうちって! 


 あ、あたしも先輩となら全然アリとか言っちゃったし、実際先輩とならって思わなくもないし。


 それもう将来を誓い合ったも同然ではっ⁉ 


 やばい、思い返すとにやけてきそう……。


「……すぅ~……はぁ~……落ち着けー、あたし」


 そもそもあたしが先輩に新婚さんっぽいとか言ったから、こんな話に……。


 でもね、しょうがないんだよ! あたし、朝から浮かれてたの! 


 だって先輩と学校行くのすっごい久しぶりだし、それだけでもヒャッホ~! って感じなのに、先輩たぶんあたしと同じクラスになるから、もうなんだかテンション上がりすぎててかなり朝早くから先輩の通学路で先輩が来るの待ち伏せしたりして。


 だから、うん! 変なこと言っちゃうのも仕方ないね!


 ちなみに、なんであたしのクラスに先輩が来るのか分かってるのかというと、昨日の夜にいったいどこから知ったのかクラスの子がクラスグループのメッセージで『入院で二留してた男子生徒がうちのクラスに!』、みたいなことを言ってて盛り上がってたから。


 そんなんそうそうあるわけないし、異世界に行くなんてことを二人も体験してるとは思えないからこれは先輩のことだろうなって思ってるんだけど。


 真偽の方を確かめようと本人にメッセージ送っても一向に既読が付かないし……って、そうだったショッピングモールの時にスマホどうしたのか聞こうと思ってたのに先輩の鎧のインパクトが強すぎてすっかり忘れてた!


「先輩に聞きたいことあるんですけど——あれ?」


 そういえばさっきから先輩静かだな~って思ったら近くにいないことに気づいて、辺りを見渡せば……さっきまでいたところに。


「せんぱ~い! 早くしないと遅れちゃいますよ~!」


 何してんだろ? って思いながら大きく手を振ると——。


「あれ? いない?」


「いるよ?」


「ひゃあっ⁉」


 一瞬消えたかと思ったら、いつの間にかすぐそばに立ってた。


 そのまま学校に向けて歩き出すと先輩も自然と隣に並んできて……なんかこの当たり前みたいな感じすごくいいっ!


 ……あ、そーだ。今ここで改めて釘を刺しておこう。


「……先輩、今の瞬間移動? みたいの学校でやっちゃだめですよ? それと魔法を使うのも……まぁ、あれもこれもだめって言うのは気も引けるので、目立つようなのとか危ないのとかじゃなければバレないようにしてください? でも本当はもちろんダメですからね?」


「わかってるよ、大丈夫!」


「…………」


 ホントにわかってるのかなぁ? すっごい不安なんですけど……まぁ、いいか。


 もしも、やらかしそうになったら頑張ってあたしがフォローをしてあげれ……しきれるかなぁ? 


 ショッピングモールの時は完璧にできたとは思えないし……一応、一通り先輩に日常生活で気を付けてほしいこととかも伝えたけど。


 っと、あたしの内心不安な気持ちに気が付いたのか、


「ほんとに大丈夫だって、一応向こうでも学府っていう似たような教育機関に通ってたこともあったし」


「え、そうなんですか? それなら大丈夫……かなぁ……?」


 ちょっと気になる先輩の異世界の学校の話だけど、それよりもあたしはそこはかとなく不安でしょうがないよ。


 でも、うん! こればっかりは先輩を信じるしかない! 頑張れ先輩! 新しいクラスは最初が肝心だよ! 


「それはそれとして、ショッピングモール行った時から気になってたんですけど、先輩スマホどうしました? 使い方わからないとか?」


 あたしがずっと気になってたことを聞くと、先輩は一瞬キョトンとして、


「ん? すまほ……あぁ、これのこと?」


 何もないところに手を入れたと思ったら……この四次元ポケットみたいな魔法もあとでやらないように言わないと。


 で、先輩が取り出したスマホだけど——。


「…………どうしたんですか、これ」


「爆発したんだよ」


「えぇ……」


 先輩のスマホ、画面バキバキで中身も飛び出てて、世紀末みたいになってた。


 そりゃあ、既読なんてつかないよねぇ……。


「というか、どうしたらこうなるんです?」


「異世界にも同じようなものがあってね、でもそれは魔力で充填するもので」


「まさか……」


「魔力込めたらボンッ! って」


「わぁお……」


「時間巻き戻して直そうとしたけど、不思議なことに一切魔力を受け付けなくて魔法で干渉もできなかった。逆に再爆発して悪化する始末。不思議だよねぇ……向こうの世界でここまで魔力伝導率が悪いものはないよ」


 流石はスマホ、科学の結晶ってことかな? 非科学的なモノは完全拒否なのかも。


 とういかそれよりも、スマホが爆発……魔力を充填……。


「……クスッ」


 やば、なんかじわる! 


 なんていうか、先輩って意外と機械音痴だったり? 


 先輩がパソコンとか人差し指で慣れないながらも必死にキーボード打ってるとこ想像すると……。


「プッ! あはははは! はーーっあ、おっかしっ!」


 そんなあたしとは対照的に先輩はなんだかちょっとしょんぼりした感じで……あ、やば。


「すみません先輩。結構気にしてたりします?」


「ん? いや、まぁ別に連絡とる手段は他にあるからいいんだけど、ここには姫野とのやり取りとか写真とか残ってたから……」


「えーと、二年前のですか?」


 コクリと頷いた先輩儚げな雰囲気を醸しつつあたしの目をまっすぐ見て。


「そう、姫野との大事な想い出」


「——」


 

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