17話 パーティ名
「これからよろしくー」
「「「よろしくー」」」
「よろしくお願いします」
俺の合図と同時にみんなで食べ始める。これでパーティメンバーも5人に増えた。ギルドのパーティメンバー最大が6人のためほぼ上限まで行ったと言っていい。
「それで気になったんだけど...。パーティの名前ってなんなの?」
アメリアの質問に俺たちも固まる。
「そういえば決めてなかったね...」
「そうだね」
「うん」
「あぁ」
ギルドでパーティ申請するときパーティ名は後日登録もできたため、まだ決めていなかった。ていうかここまで忙しすぎてパーティ名って考えがなかった。
「で、どうするの?」
「どうするって...」
「クリスが決めれば?」
「俺!?」
なんで俺なんだよ!
「だってクリスパーティリーダーじゃん!」
「なんでもいいの?」
「うん!」
「じゃあ...寄せ集め軍団とかは?」
「却下!」
え? なんで? いい名前じゃん! みんな俺もエルミナもルビアもノアもどこのパーティにも属さずに寄せ集めみたいな感じで集まったしさ。それにアメリアも勇者パーティを抜けてきたんだから実質的に寄せ集めじゃん!
「ネーミングセンス悪すぎ!」
「ですねー」
「クリスは前からそうだから...」
「待て待て! アメリアそれは聞き捨てならないぞ!」
ネーミングセンスが悪い? そんなわけないじゃないか! 完璧なネーミングセンスだと思うけどな。
「じゃあ一緒に飼っていた馬の名前覚えている?」
「当然だろ! トライアメクリだろ!」
俺がそう言うとみんな笑い始めた。
「何それ!」
「何に対しても挑戦することが大切だろ? だからトライ。それに加えて俺とアメリアの頭文字をとってトライアメクリ!」
「その馬が可哀想だわ...」
エルミナが残念そうに俺を見ていった。エルミナだけじゃない。ルビアもノアも俺を残念そうに見てくる。
「でもアメリアだって了承してくれたから俺だけのせいじゃない!」
「それはクリスがどうしてもっていうからじゃない! 私はペローンが良かったの!」
「え? 待って。今なんて言った?」
「ペローンだけど?」
「クリスもだけど、アメリアさんも大概ね...。似た者同士が幼馴染でよかったわね」
「俺のネーミングセンスは完璧だろ! アメリアのセンスはクソだけどさ!」
そう。アメリアはネーミングセンスが壊滅的だ。俺の方がまだましだろ!
「いーや。クリスより私の方がましだね」
「俺だろ!」
「私よ!」
アメリアとお互い討論が始まった。でも1分ほどたって俺が笑ってしまった。
「なんで笑うのよ!」
「だってまたこんな感じになれるなんて思っていなかったからさ」
「あぁ...」
そう。もうこんな会話はできないと思っていた。だからこそ嬉しい。アメリアと他愛もない会話ができる今が嬉しかった。
「それよりさ。話脱線してるぜ。パーティ名はどうするの?」
「どうするって言われても...。俺とアメリアのセンスじゃダメなんだろ?」
「そうね」
「...」
「じゃあ一応クリスとアメリアさんの意見も聞きつつ決めましょ!」
「あぁ」
「ですね」
みんなでパーティ名を決め始めた。でもなかなかいい案が出てこない。ノアはいかつい名前ばかり出てくるし、ルビアとエルミナは可愛いくてふわふわしている名前ばかりだしてくる。俺とアメリアが出す案は3人にすぐ却下される。
(このままじゃ決まらないぞ)
俺がそう思ったところではっと思い浮かぶ。
「future viewなんてどうだ?」
「フューチャービュー?」
「そう。未来の景色を見る。俺たちは何のために冒険をしている? 冒険者のランクを上げるため? 違くないか? みんなでいろいろな場所に行って景色とかを見に行くじゃないか? だからこんな名前はどうかなって思ってさ」
「いいね!」
「いいと思います!」
「あぁ」
「クリスにしてはやるわね...。でも私だってこれぐらい考えられたんだから!」
「そうですか...。次は期待してるよ」
俺が笑いながら言うとアメリアが怒り始める。
「上から目線なんて...。ムカつく!」
「はいはい」
「じゃあギルドに行って申請しに行こうか!」
パーティ名も決まったことだしギルドに向かい始めた。
(それにしても我ながら言いネーミングセンスだったな。やっぱり俺ってネーミングセンスいいんじゃね?)
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