第17話 過去

 時間は誰の感情も要望も考慮せずに淡々と過ぎ去っていく。

 中学一年生になった。服装が私服から制服に変わっただけで何も変化はない。独りで学校に行き、独りで授業を受け、独りでご飯を食べて、独りで帰る。クラスメイトが一日前にユーチューブを見て覚えたであろう悪口を吐いて喜んでいる。スマートフォンで得た偽りの理想の学生生活と自分の生活を比較して嘆いている人たち。みんなが何かに怯え、それを隠すように周りの人たちを怯えさせていた。

 気持ち悪い。ずっとなにかの悪い映像を見させられている気分だ。

 インターネット上から得た言葉のナイフを見よう見まねで振って周りの人間を傷つける。

 ぼくは下を見ることが多くなった。目に映る情報を少なくしたかった。

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