第16話 過去

 退院したあとに如月の家に行ったがすでに誰も住んでいなかった。お父さんに訊いても、お母さんに訊いても「もう忘れなさい」と言われるだけだった。後から聞いた話では、あの時ぼくを殴った男を見て近所の人はすぐに警察に連絡を入れた。当然男は捕まり、ぼくのお父さんとお母さんも男をしたことを許さなかった。そしてぼくが如月と関わり続けることもお父さんたちにとっては心を落ち着かせるものではなかった。

 如月たちはどこかに引っ越してしまった。

 ぼくの世界はまた色褪せていく。一度色づいてしまったぶん、その反動は大きかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます