第322話 四つの生き物(一匹目)

「黙れ!ベルゼブルよ!

貴様に友など言われたくはない!!」


「ふふ・・お前から

そんな言葉を聞くとはな...

私は寂しいぞ!


それより・・アポリュオンよ!

よくも魔王ルシフェル様を裏切ってくれたな!


お前ほど 欲深く

罪深い人間はいないだろうに


この2000年間 世界に起こった

悲劇の数々は お前が総帥として

組織してきた「赤い星」によるのモノではないか!


聖巫女に寝返ったからといって

過去に侵してきた多くの罪が

許されるとでも 思っているのか?」


「・・・・・・・

私は・・・確かに

過去に犯してきた 数知れず全てを

帳消しに出来るとは 思っていない・・


しかし私は 以前の私ではない・・

私は生まれ変わったのだ!!


過去の自分とは決別した!

私が縛られていた永遠の命は、もうない!

これからは 残された人生をかけて

これまで犯した全ての罪を 償う為にも


お前をここで必ず、止めてみせる!!!

覚悟せよ!!!!」


「ふふん・・甘いな!

お前は 2000年の時代を駆け抜け

魔王様の影を追い 悪汁を啜り

骨の髄まで 侵されてしまっているのだ!


たとえ神であろうと

聖巫女であろうと

お前の邪悪な魔の血が

消え去る事は 決してない!


その事を 私が証明してやろう!」


ベルゼブルがそう叫ぶと

四つの生き物のひとりが


ズシズシ ...と大地を響かせ

アポリュオンの前まで近づいてきて


大きな声で叫んだ!


「2000年の魔の楔は

決して割く事はできない!!!!」

すると天より血の混じった雹と火が現れて

アポリュオンの頭上に向けて投げ込まれた


アポリュオンが立つ

大陸カインの大地の三分の一が焼かれ

木々の三分の一も焼かれ

すべての青草も焼かれてしまった


この血の混じった雹と火は

お前がこれまで裁いてきた 

犠牲者たちのもの


彼らは狂ったように叫び

己を破壊に導いた

「赤い星」組織への

深い怨念が詰まっていた


この血はお前に向けられた

恨念の叫びだ!!


彼らは2000年間の 

枯れる事のない呪いが

生きとし生ける者を 

崩壊する力を秘めている!


四つの生き物は お前を支配してきたが

彼らを成長させたのも アポリュオンお前だ!

人々の絶望感漂う 魂の叫びだ!


お前は この血の雹を受けて

まだ お前が欲してきた

憎しみの血の味に 

快感を覚える事はないのか!


叫べ!

血が欲しいと!

叫ぶのだ!

人が泣き叫ぶ 魂の叫ぶは

お前が欲して 求めてきたものだ!


アポリュオンは 静かに目を瞑り

ベルゼブルの呪いの言葉を受け止めた


受け止める必要があると

自分の過去に犯してきた罪の数々


人々に絶望を与えてきた

己の愚かさを 深く 深く 悔い

涙を流し 血の雹を受け止め

アポリュオンの 肌着は血に刻まれた


熱い血が 地に流れ

一面を真っ赤に染めていった


「私は 負けない!

敗れる訳には いかないのだ!

去れ!四つの生き物よ!


私は お前に負けない!

神を裏切る選択は

決してできないのだ!!!」


起源の存在:神よ!

我に力を与えたまえ!

今一度、妖精族の秘術

『聖光の光』を解き放つ資格を与えたまえ!


そしてエデンの園にて

復活を果たした聖巫女AOIに流れる

ワールドの世界の息吹を我に吹かしたまえ!!

アポリュオンから

『聖光の力』が強く放たれると


アポリュオンの周囲を覆っていた

血塗られたオメガ層に亀裂が入り

四つの生き物の一匹目は

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!と叫ぶと


激しく弾けて 

飛び散ってしまった!


しかしこの戦いにおいて

アポリュオンの生命力は

大きく減少してしまった・・

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