第225話  姿を消した葵巫女

カール皇帝率いる

王都軍一行は

降伏したリヴァイ精鋭部隊からの情報を元に


アーサー国に出発した

誘拐された葵巫女の父の救出へ向かい

最北部ロック港に到着した!


「ロック港のどこかに

奴らは潜伏している筈だ!!

貿易船、港町近郊をくまなく捜せ!」


「はっ!」


ギルデロイ王都は貿易国であり

アルラ海とピスガ海を航海し


ムクキジル砂漠と

ステップガザフ砂漠を超えて

大陸ギホンまで貿易をする為の

貿易港として栄えている!


主に海運取引に従事する商船が多数あり

ロック港からアルラ海沿岸へ航行し

工業品や武器を物資の運送をおこなっている


しかしアルカ海は『ティーナ海賊団』

が勢力を拡大しており

海賊船からの警護は必須である!

これまで多大な被害を被ってきた


『ティーナ海賊団』は

1年前アーサー国植民地チャールスト港を封鎖し

人質をとって町に要求を

突きつけるなど悪名を轟かせていた!


しかしアーサー国と

ギルデロイ王都は協定を結び

商船を保護するため海軍を強化し

熟練の水兵が増やし、撃退を試みるが

討伐までに至っていない!


『ティーナ海賊団』船長は

悪名高く残虐非道と噂され

正体不明の人物である


「カール皇帝!

水夫の話によると

先程、怪しい一団がロック港を出港したようです!」


「どの船ですか?」

葵巫女は堪らず叫んだ!


「あの赤い帆船です!」

出航したばかりの帆船が

大きな帆を広げて

かなりのスピードで漕走している!


「あの船に違いない!

急げ!我々も後を追うぞ!


葵巫女様は危険ですので

ここに残ってください!

我々が必ず父君を

救出して参ります!」


「カール皇帝!

私も行きます!

父とは2年近くも会っていないのです!


それに父かどうか

私でないと判断がつかないでしょう!

だから私も連れていってください!」


「・・・・

分かりました!


しかし危険が伴いますので

葵巫女様は決して無茶だけは

しないでください!」


「勿論です!

さぁ!急ぎましょう!」


カール皇帝は

ギルデロイ王都軍の軍艦2隻と

ガレー船10隻を率いて

逃亡した赤い帆船の後を追った


しかし赤い帆船は

最新技術を駆使しているようで

追い風の力を船の動力に得る仕組みになっており

なかなか距離が縮まらなかった!


「不味いぞ!

どんどん離されていく!

このままでは見失ってしまう!」


「カール皇帝

軍艦では追い付きません!


一番早いガレー船は

どの船ですか?」


「ペンテコンター船です!

常駐的に上下二段にわかれた

漕ぎ座に漕ぎ手を置いたガレー船で

推力の飛躍的向上した作りになっています!


「では急ぎ

ペンテコンター船に案内してください!」


「危険です!

お辞めください!」


しかし葵巫女は

カール皇帝の

静止の言葉を振り切ると


軍艦からペンテコンター船への

乗り換えに成功した!


そしてスピード上げるよう命じると

追い風の助けもあり

赤い帆船との距離は縮まり

ついに後方まで追いついた!


「もっと接近して!

私が乗り込みます!


葵巫女は

可動橋(渡り板)を下ろさせ

赤い帆船に乗り込むと


突然、屈強の水夫達が現れ

可動橋を破壊し、誰も乗り込めないようにすると

赤い帆船はさらにスピードをあげて

速い潮流と、渦潮が発生している

直径30mある渦を壁になるように漕走した


カール皇帝軍艦は

強烈な渦潮に巻き込まれ

船の操縦不能となり、気がつけば

赤い帆船は、葵巫女を捕らえて

姿を消してしまった!


「葵巫女様!!!!」

大変な事になったぞ!!


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