第203話 レギオンの墓場の主

レギオンの墓場の主

ゲルドは獣のように唸り声をあげ

冒険者達を威嚇していた


「クソ!これでは

近づけないではないか!」


その時だ!

「俺に任せろ!」

冒険者のひとりの屈強の男が

ゲルドを捕らえようと近づいて行った!


しかしゲルドの目から発せらた

青い光を見た途端

男は顔を引きつらせ

口から泡を吹かせ倒れた


「どういう事だ?

何が起こったのだ!!」


その場はゲルドが放つ漂う恐怖によって

冒険者達の心は凍りつき

精神崩壊の状態に

陥ってしまった!


「ラック!

彼がレギオンの墓場の男ね!」


「そうです!

彼を墓場の呪縛から

解放することが

第一の試練です!」


「中々難解だぞ!ラック

俺が力づくに排除する事も可能だが・・」


「カイン兵士長!

それでは第一の試練を

乗り越える事にならない!

彼を助け出さなければなりません!」


「ではどうするのか?

先程の冒険者の様子は見ただろう?

墓場の男と目が合っただけで

失神してしまったのだぞ!!」


「分かっています!

しかしこんな序盤で

挫けるようでは

これから先のさらなる試練を

乗り越えられる訳がない!


私は葵巫女様より

巫女覇気を受けた勇者です!

墓場の男は明らかに

悪種の手の者により錯乱状態になるよう

操られているに過ぎません!


だからまず

祈る事です!


そして私が彼の目を

覚まさせてみせます!」


「そんな事ができるのか?」


「カイン兵士長!

見ていてください!!」


「エルサ王女

ここで祈っていてください!

私が彼に語り掛けます!」


「分かったわ!ラック


カイン兵士長

ロレーヌとジャン

私が今から祈るから

心を合わせてください!」


「はい!」


「起源の存在:神よ!

我らの旅を守り

全ての導きを

感謝致します!


どうかこのレギオンの墓場において

悪種の支配者に毒された

この哀れな男性をお救いください!

彼の心に根付く

悪根を弱らせ、消滅させたまえ!」


エルサ王女が祈ると

その場に澱んでいた悪根の支配力が一瞬弱まった


「今よ!ラック」


ラックはレギオンの墓場の男に近づいた

ゲルドは冒険者にしたように

青光を発したが

エルサ王女の祈りによって

弱まっており

勇者ラックには通じず

ゲルドは狼狽えた・・


「うっ・・・

苦しい・やめろ!

やめてくれ!!!!」

ラックは両手でゲルドの顔を掴み

強く念じた!


「悪しき霊よ!!

起源の存在;神の聖名によって命ずる!!

この男性の内から完全に消滅せよ!!」


するとゲルドは大声を上げて慟哭した!

そして墓場に澱んでいた

悪根の支配は完全に消滅した


・・・・・・・・

・・・・・・・・


その時だ!

草陰から様子を見ていた

ひとりの少女が姿を現した!


「父さん!!!」

ゲルドの娘であった


・・・・・・・・

「父さん!

父さん!しっかりして

そしてゴメンナサイ!

私が一族の掟を破ってしまった為に・・」


「・・・・・・・・

誰だ・・・お前は・・」


「私よ!!

父さん!!!

アリーナよ!!

私が・・・

私が!分からないの?


「・・・・・・・

・・・・・・・・

アリー・・・ナ・・

アリーナ!?

アリーナなのか?」

ゲルドは正気に戻り

娘アリーナを抱きしめた


アリーナは

「ペルム滝」に住む少数民族の首領の娘


つまりゲルドは

「シロダの宝」を守る

盗賊団首領シロダの末裔であったのだ!

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