第178話 ガゼノ渓谷の部落
「すみません!
私はラッセル商団の
ラッセルと申します!
この辺りに宿はありませんか?」
通りすがりの初老の男性に声をかけた
「あんた達
ここらはガゼノ渓谷の部落で
貧乏人しか住んでいないよ!
宿はないが
村長の家は大きいから
連れていってやるから
頼んでやろうか?」
「ありがとう!
助かります!」
「付いて来な!」
ラッセル一行は男を馬車に乗せて
村長の家まで案内してもらった
「ここだよ!」
到着した村長の家は
村の中心部にあったが・・・
「えっ!?
ここですか?」
ラッセル伯は絶句した!
村長の家は古民家で
屋根が剥がれ、かなりボロボロで
人が住めるような家ではなかった
「村長!
村長はおるかい!」
「何だい!
旅の商団一行が宿を探してるんだが
村長の家は泊まれるかい?」
「いいよ!
こんなボロ家でよければ
泊まっていきな!
ただしベットはないが
納屋に藁は沢山あるから
自由に使ってもらって構わないよ!」
「えっ!!
ここではちょっと・・・」
ラッセル伯やアーバス隊長が
言葉を失い、固まっていたが・・・
「父さん!
ここにしましょう!
藁のベットなんて寝心地は最高だと思うわ!
村長さん!
わたしは葵と言います!
宿を提供してくださって
ありがとうございます!
私達12人いるのですけど
みんな一緒に泊めて頂いても
いいですか?
勿論宿賃はお支払いします!」
「宿賃なんていらないよ!
ボロだしな!
ハハハハハハ!!!!」
村長は馬糞が匂う
納屋に案内してくれた
(ここは酷い・・・)
「ちょっと待ってください!
葵巫女さ・・・いや葵様・・葵さん
ここでは・・・あまりにも。。
我々は良いですが
葵さんを泊まらせる訳には!!!」
(難しい・・・何と呼べば・・はぁ・)
「父さん何を言ってるの?
私がいいと言ってるのですよ!」
「村長さん!
ここに泊まらせてください!
新しい藁も沢山あるし
何も問題ありません!」
「しかし葵ちゃんと言ったか?
あんなたの父さん達は
渋い顔しているようだが
本当に納屋で良いのかい?」
「勿論です!
ねぇ!父さん!!」
「ああ・・はい」
「ご親切にありがとうございます!
今晩はここで泊まらせて頂きます!」
ラッセル伯以下
クリス王子、アーバス隊長は
絶句し・・・言葉にならなかった
(葵巫女様に逆らう事はできないし
しかし・・・ここは匂いが酷い
絶対寝れないな・・今晩は・・
ラッセル伯は深いため息をついていた)
◆◇
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