第161話 葵巫女の辛い心境

MIKOハウス

オープンハウスパーティ

終盤にさしかかる頃

クリス王子は

ロイヤルファミリーのテーブルに座り

従妹たちの相手をしていたが


ふと葵巫女に視線がいった


「どうしたのだろう?

葵巫女様

何か表情が暗いような・・・」


クリス王子は葵巫女が座る

壇上に上がると、声をかけた


「葵巫女様

どうかされましたか?

少し浮かないご様子ですが・・」


「クリス王子

別に何でもないですよ!

私は大丈夫です!

それよりみんなとても楽しそうですね!


しばらく忙しかったですから

ゆっくり寛いで欲しいですね!

クリス王子も楽しんでいますか?」


「ええ!勿論です!」


「クリス王子にひとつ

お尋ねてもいいですか?」


「はい!勿論です

私に答えられる事なら何なりと

おっしゃってください!」


「クリス王子にとって

大切な人は誰ですか?

誰が一番好きですか?」


「えっ?

えっ・・えっ?

誰が好きって

どういう意味ですか?」

(葵巫女様どうしてそのような?

もしかしたら・・僕の事を?)


「好きな人にずっと会えなかったら

どんな気持ちになりますか?」


「好きな人とと・・ですか?

そうですね・・・

それは寂しい気持ちになって

何とかして会いに行くでしょうね!」


「でもクリス王子も私も

立場があって自分の思うように

事が運ばない事ありますよね!

それでも会いにいきますか?」


「勿論です!」


「そうですよね!

私にとって大切な存在である父は誘拐され

異国の地に連れ去られています・・・


すぐにでも助けて行きたいのですが

まずこの国の人達を救う事が先決・・

自分の我がままを通す訳には行かない


でも早く父を救出に行きたい!

行きたいのです!!︎

それが・・私の本心です。。」


「葵巫女様のお父様は確か

ジキルとハイドに連れ去られたまま・・・」

(葵巫女様は真面目に話しておられるのに

自分はなんて不謹慎な思いを・・・すみません・)


「私にできる事はありませんか?」


「いえ!

あなたはこの国で

すべき事が山ほどある筈!

王子としての務めに専念してください!


でも陰ながら祈って

支えてくださいね!」


「勿論です!」

葵巫女に少し笑顔が戻った


≪葵巫女様は

とてもお辛い心境なのだな・・

巫女である為に・・自由な行動ができない・・

本当はすぐにでも御父上を捜しに行かれたいのに・・


葵巫女様!

一日も早く御父上が見つかるように!

毎日祈る事をお約束します!!≫


■□■◆◇


夕暮れには涙が宿っても

朝明けには喜びの叫びがある

私は平安のうちに言った

「私は決して揺るがされない」と

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