第73話 ヨーデルの目覚め

「父さん!

しっかりして!!父さん!!!」


「ここは・・・

どこだ・・・?」

ヨーデルは長い眠りから目が覚め

息子ラックの声が ようやく届いた・・


「私は・確か・・・

イゼベルの洞窟で

奴らに襲われ・・意識を失って

そこから・・何も思い出せない・・


痛っ!

頭が割れそうだ・・」


「もう話さなくていいよ・・

まだ完全に回復はしていないから・・・


でも父さん!安心して 

意識さえ戻ればすぐに元気になる!って

お医者様が言われていたから

(意識が戻って・・・本当に良かった・・

神様ありがとうございます!!)

ラックは父が目覚めないかも?と

不安で 寝ずの看病をしていたのである


「父さんは 3日間も

意識を失っていたのだよ・・」


「3日もか?

そうだ・・サイカじいさんと

護衛の兵士達はどうなった?」


「サイカじいさん達は軽症だったので

昨日、目が覚めたところだよ!

すっかり元気になって

さっきまで見舞いに来てくれていたよ!」


「そうか・・彼らも無事か・・

良かった!!

本当に良かった!!


しかし長い夢を見ていたようだ・・

私は・・先のない真っ暗な闇の世界を

ひたすら歩き続けていた


全身の筋肉がひどく痛み・・

息苦しく 死ぬ事すら許されない

まるで地獄の世界を彷徨っていたのだ....」


「恐らく・・・

イゼベルの実の魔薬の影響だと思うよ・・

非常に危険な薬で・・父さんは

奇跡的に回復する事ができた・・」


「何故 私は助かったのだ?

私は 夢の中で不思議な夢を見た・・


突然光が 天より投じられ

神の声を聞いたのだ!


『我が子ヨーデルよ!

闇がお前の魂を覆っており 

もはや自らの力で

抜け出す事は不可能である・・


しかし私が共にいる!

私は決してあなたを見捨てない!!!」


すると光輝く御手が

私を包み 闇に覆われていた

私の精神と身体が

一瞬の内に浄化されていき

私は 命を得る事ができたのだ!


「さぁ!目覚めよ!!

お前は まだ休むには早すぎる!!

何故なら大切な使命が 

あるのだから!!


そして目が覚めた時

目の前に お前がいたのだよ・・

もうラックに会えないと思っていたから

どれ程嬉しく 思った事か・・


「父さんが

イゼベルの魔薬から解放できたのは

葵巫女様より預かっていた

神具「琴笛」のお陰だよ!


僕はリムラ村に派遣される前に

「きっと役に立つは筈だから!」

託してくれのだよ!


そうか・・

お前と葵巫女様のお陰で

私は 命を繋ぐ事ができたのだな!


父として 

お前を誇りに思っているぞ!!

本当にありがとう!!!」

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