第70話 ヒナタの回復
「ここは・・どこ?
あなたが私を助けてくれたの?」
「ハイ!
僕はアニーと言います
用があって、ガゼノ渓谷を渡る時
川岸に倒れていたあなたを
偶然発見し、テントに運んできたのです!
ご気分はどうですか?
随分身体が冷えていたようです・・
このまま発見されなければ
命も危なかった!と
軍医の先生は言っていました!」
「私はヒナタ
訳あって一人で旅をしています
昨晩、川を渡ろうとした時
どうやら足を滑らせてしまったようです・・
迷惑をかけてしまったようでごめんなさい!
でも私は大丈夫!
あなたも大事な用事があるのでしょう?
もう行っていいわよ!
私も行くところがあるの・・・」
「どこに行くのですか?」
「リムラ村よ!
噂を聞いたの・・・
リムラ村に救世主がおられるって!
あなた知らない?
救世主の情報を!」
「救世主!?
もしかして巫女様のことですか?」
「そう!巫女様よ!
巫女様にどうしてもお会いしたいの!
そして助けて欲しい事があるの!
詳しいことは言えないけど
私にとってとても大事な事・・・・
(少女は言葉を詰まらせた・・)
「巫女様のことなら
僕はよく知っているよ!
今回の用事は、巫女様の命令でリムラ村に
調査に行くところだったんだ!!
ヒナタさん!
リムラ村に巫女様はいないよ!
巫女様はスンツヴァル王都の
巫女宮殿におられるんだ!
今回の調査が終わったら
王都に戻るから、ヒナタさんも一緒に行こうよ!」
「スンツヴァル王都!?
そこには行けない・・・」
(ヒナタの表情が暗くなった)
「どうして?」
「私はそこから逃げてきたの・・・
もう行かなきゃ!!」
ヒナタは思い詰めた表情で
ベットから起き上がると
テントを出て歩き出した・・・
「待って!
その身体では
また倒れてしまうよ!」
「大丈夫!
巫女様にお会いしたいけど
王都にはどうしてもいけないの!
行けない理由がわたしにはあるの・・・」
ヒナタは外に出ると
川沿いに沿って歩き出した!
しかし10メートル程進むと
ヒナタは倒れ込み、動けなくなってしまった
そして地面に蹲ると・・・
(小さな声で・・・泣いているようだ)
「ヒナタさん・・・
王都に行けない理由があるんだね
それなら直接、巫女宮殿に入れるように手配してあげる!」
「そんな事できる訳ないわ!?
巫女宮殿のことなら、よく知ってるわよ!
あそこは巫女府の役人や兵士達の厳重な警備がなされ
一般市民は近づくことすらできない!
そんな所に私のような得たいの知れない者が
行ける訳ないじゃない!!」
「巫女様はとてもお優しい方なんだ!
そして僕の友人でもあるんだよ!
それにこれから巫女様とシェアハウスで
一緒に暮らす事にもなってるんだ!」
「シェアハウス?」
「何それ?」
「巫女様はリムラ村出身で
今回、巫女宮殿での生活よりも
友人達と仲睦まじく暮らしたい!と望まれたんだ!
とても庶民的な方なんだよ!
だからヒナタさんの抱えている問題も
きっと理解して
力になってくださると思う!
だから一緒に行こうよ!!!」
「・・・・・・・
分かったわ
でも約束して欲しいの!
わたしは・・
王都市街地には入れないの!
理由は聞かないで・・・」
「ヒナタさん
約束は必ず守ります!
僕を信じてください!」
■□■◆◇
その頃タスクじいさんは
ヨーデルと数人の兵士を連れて
イゼベルの実が栽培されている
洞窟に案内していた
「タスクじいさん
この洞窟の奥で本当に
イゼベルの実が栽培されているのか?」
「そうだ・・
以前は村人の出入りもしていたようだが
リムラ村が復興し
みんな真面になってしまってから
出入りが禁止されてしまったんだ!
まだジキルの手下が数人いる筈だから
気をつけて入った方が良いぞ!」
「何者だ!!
ここは出入り禁止だぞ!
怪しい奴らだ!
すぐに捕らえよ!!!」
「しょうがない
戦うのは本意ではないが
タスクじいさん離れていろ!」
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