第52話 消えたダン

葵の父ダンが拉致され

当初、リムラ村救援チームの護衛部隊と

アダム皇帝直属である

ヘルシングランド隊率いる連合軍が

夜通し追跡を行っていたが

スンツヴァル王都の国境あたりで

完全に見失ってしまった


「おかしい!何故だ!?

ダン殿をのせた馬車は

大陸ピジョンの北北東を通り

国境を通った筈だが・・・


何故、途中から馬車の形跡が消失したのだ?

一体どうなっているのだ!?


よく探せ!どこかに必ず 

手がかりが残っている筈だ!!」

ヘルシングランド隊

隊長アーバスが叫んだ!


しかし数時間 

辺りを徹底的に捜索するが

手がかりを見つける事はできなかった。。


「このまま 何の成果もなく

葵巫女様に 報告する訳にはいかない!

しかし我らは軍隊は100名を超えており

敵に こちらの動きを察知される可能性は高い

それに・・・奴らが逃げ込んだ国は

恐らくギルデロイ王都であろう!


あの国に入られたら

我らは 関与する事は難しくなるのだ・・


ギルデロイ王都は敵国であり

「赤い星」組織本部がある

武装国家アーサー国の友好国であり

スンツヴァル王都とは

長年戦争が続いているから

僅か100名で潜入しても

壊滅させられてしまうだろう・・・


「悔しいが・・帰還するぞ!!」

隊長アーバスは命令した!


□◆□◇◆


その頃、ダンを拉致した

アンヌ・マリー家当主ハイドの部下ジキル一行は 

ピジョン川下地域を舟で横断し 

ガゼノ渓谷へ向かう川路を通っていた


「奴らめ!

まさか我らが川路を通っている事には気付くまい!

このまま渓谷を越えると

いよいよギルデロイ王都だ!!


あの男は意識を取り戻したか?」


「はい!

しかし奴の様子がどうもおかしい・・

我らにまるで抵抗しないのです・・」


「抵抗しないだと?

ここへ連れて来い!」


「お前が巫女の父親か?」

ジキルは両手を組み

力を込めて何かを念じた!


するとジキルの手に暗光が発せられ

あたり一帯に深い恐怖が漂ってきた・・・


「これは・・・おかしい!何故だ!!」

ジキルはダンから悪根がなくなり

正常な人間になっている事を察した!


「何故!

お前から悪根が消えているのだ!!

お前たちは昨年、村全体を悪根で侵し

我々の支配下に置いた筈なのだが・・・

もしや!奴らの仕業か?


いや!それは考えられない!

リムラ村の守護者に

そこまでの能力はない筈!何故だ?


やはり巫女が覚醒したと考えて

間違いないだろう!


フハハハハ!!!!

全て計画通りだ!


世紀末のこの時代に

たとえ巫女が現れようと

もう遅いのだ!


巫女にどのような優れた力があろうと

我ら『赤い星』組織の

敵ではない!!!」

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