第35話 葵の懸念・・

「ヨーデルさん

リムラ村の子供達は 私の同郷です

彼らの中には 少なからず私に対して

自分だけリムラ村を離れ ガデム村で生活を続け

学校にも通えている事に対して

妬みや嫉妬を感じている 子供達がいると思うのです。。


それに・・・父さんの存在も・・

昔はともかく この1年は

決して評判はよくなく


近所の子供達も父さんを怖がっていました

私はその娘なのです・・

彼らは 私を受けいれてくれるでしょうか。。」


「・・・・・・・・・・・・

葵ちゃん 君の気持ちは よく分かるよ・・


君は自分の事を

どこまで分かっているか?

分からないが・・・

妖精族の血が流れているのは分かるね?」


「はい!

サラさんと同じように 人の心に働きかけ

人生に迷い 苦しみ 困難を覚えている人に対して


元気になれるように 力を尽くす

その力は サラさんの店や学園に通う中で

まわりの人達に 少なからず影響を

与えられているようだと 私も感じています!


しかし私自身

人々の心に変革を与える影響を

本当に与えられているのか?

まだいまいち 実感がないのです・・


私はあくまでも 

自然に接しているだけなのですから・・」


「そうなのか・・でも

葵ちゃんを通して

元気になっている人々がいるのだから

素直に 喜んでいたら良いのではないか?」


「そうですね!」


「それに 君が生まれ育った

リムラ村を救いたい!という気持ちが 

人々を巻き込み 

大々的に活動が始まろうとしているのは


少なからず 起源の存在;神の御意志が!

導きがあったからだ!と

私は確信している!


全ては葵ちゃんが中心に

リムラ村とガデム村の多くの人達が

大きな変革に 向かいつつあるのだ!と


その事を葵ちゃん自身

しっかり受け止めるだけで良い!と私は思う


一度進みはじめたら 後は

心が向くままに 迷う事なく

突き進むだけで 良いのではないだろうか?


私はそう思うんだよ!


私は13年前に 借金苦で

とても苦労し・・人生に大きく絶望した事がある!


でもあるお方が 私を助けてくださり!

私は窮地を脱する事ができたのだ!


私は多くの施しを受けたが

まだ十分な恩返しができていない!


人は受けるだけではダメだと思う!

受けた恩は 何倍にも恩返しができる人生こそ

本当の幸福ある人生と言えるのではないだろうか!


私がこのような考えに至ったのも

これまで 私を支え 助けてくれた

多くの友人達 そして葵ちゃん!

君のお陰だとも 思っているのだよ!」


「私ですか?

どうしてですか!


私はヨーデルさんに命を助けられた

存在ですよ!

それを私のお陰など・・とんでもありません!!」


「葵ちゃん!

君は 妖精族の一族として

特別な使命を受けて

この世に生を受けたと思っている!


まだ確信はないが

これからリムラ村復興計画が始まる前に

私が思うところを はっきり伝えさせて欲しい!


私は・・・葵ちゃんが・・

『巫女様』なのではないか?と思っている!」


「巫女様・・・ですって!!?」


「そうだ!

もし本当に巫女様なら

私は 君に対して 尊敬の念を込めて

皇帝に話すような 態度を

改めるべきだと思っている!」


「何を言い出すのです!!

ヨーデルさん!

私が 巫女様の筈が ある訳ないですよ!

何を根拠に そのような事を?」


「君も気付いている筈だ!

数日前 私の家で 君が偶然に触れた

笛は神具「琴笛」の出現は

巫女様の存在に反応したからだと!


神具「琴笛」は

初代巫女様が 起源の存在:神より授かり

魔王と戦う為に 用いられたとされる!

伝説の神具なのだよ!


葵ちゃんが触れてから 

「琴笛」の輝きは

衰える事なく 今も尚光を放ち続けている!

これから 悪根の呪術者との戦いに

大いに 用いられていくだろう!


それにこの「琴笛」の力によって

葵ちゃんが 心配していた

リムラ村の子供達との 

深い溝を埋める役割を果たしてくれると

私は信じている!


悪根の術を 打ち破る事が

リムラ村復興の一番の近道であるからだ!」


「さぁ!葵ちゃん!

明日はいよいよ 救済計画 初日になる!

起源の存在;神に祈り

共に備えていこうではないか!」


「はい!

ヨーデルさん!」


その晩

葵が巫女として覚醒する為に

再び「ワールドの世界」への扉が開く

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