第24話 覇気の力

「葵ちゃんの話をする前に

どうしても みんなに聞いて貰いたい事があります!」


「何だい?ラック!

どうしたのだ?」

皆口々に 応答した


「はじめて父さんに連れられて

リムラ村に行った時 僕はまだ幼く

リムラ村に漂う不穏な雰囲気に圧倒され 

正直恐れを・・・感じていました


近くの村が 廃村化し

人々が希望を失い 力を失っている

そんな弱っている村に対して 

僕は目を背けたかったのです・・


無関心・・これはとても卑怯で

自分に関係がなければ 見て見ぬふりをする

自分が子供だから 何もできないと決めてしまう

それはすごく恥ずかしい態度であったと

反省しています。。


今から話す事は 

初めて告白する事なのだけど・・

聞いてください!!


実は僕は夢の中で 

何度も助けを求める叫びを 聞きました!


今思えば その叫びは

葵ちゃんだったのでは?と思っています!


「えっ!わたし?」

葵は少し驚いた表情をしていたが

ラックがとても真面目な

表情で話しをするので


「もしかしたら・・

そうかもしれない」と思えた


「つまり ラックは

夢の中で 助けを求める声を

無視できなくなり

私と一緒に リムラ村に行ったという事だね?」


「そうだよ!父さん!」


そしてそこではじめて

意識を失って倒れている

葵ちゃんを発見した!


「あの日 ラックが 

葵ちゃんの発見を少しでも

遅れていたら・・葵ちゃんは命を

落としていたかもしれない・・・


そう思うと 神の導きがあったと 

思わずにはおれないなぁ!」

ヨーデルが叫んだ!


「つまりラックは

葵ちゃんの命の恩人という事なのか?」

アニーは 少し驚いていた


「そんな格好の良いものではないよ・・

僕は臆病で ずっとリムラ村に来る事を

避けてきた人間なのだから・・・


でも不思議な夢を見て

それは おそらく神様が僕を

葵ちゃんに出会わせる為に 

語り掛けてくださったのだ!と

今では そう確信している!」


「私も大切な話をさせて下さい!」

サラさんが大声で叫んだ!


「実は...葵ちゃんに 初めてあった日

本当に不思議な感覚だったのだけど 

幻の国「ワールドの息吹」を感じたのよ!


これは・・伝説なのだけど

妖精族の守護者の中で稀に

特別な力をもった存在が現れる!と聞きます


初代巫女様は 

もともと妖精族の守護者だったそうです!

しかし神から特別に愛され 

世の中を救う為に

「覇気」という力を与えられた


「覇気」とは巫女様と勇者にしか

備わらないものだと 聞きます


「覇気」の能力は 時代の流れを見定め

正しく導く 特別な使命を抱き

革命的な指導力と 勇気が備わるそうよ!


その事を思う時に 

今回のダンさんの問題は

親子としての二人だけを見ると 

大きな問題ではあるけれど


世紀末の時代として

全体を見わたすと

はじまりの中の小さな問題だったのかも?しれない


葵ちゃんは一個人では収まらない

もっと大きな使命をもって

生まれてきたと!私は強く感じています


リムラ村が廃村化に追いやられ

時代が 世の終わりに近づいている

まさに世紀末の激動の時代だからこそ

神は必要な人材を備えてくださる!


私は妖精族の守護者として

今魂が強く震える感覚がしています!

この感覚は 葵ちゃんに出会い

妖精の涙を使用した「パサラ料理」を食べて

何か大きな 聖霊の波が 

押し寄せてきたように感じています!


葵ちゃん 

あなたがこれからどのような運命が

待ち受けていようと 恐れる事なく

突き進むべきよ!


ラックもその為に 

神様が ラックに幻を見せられたのね!

あならも供えられた人材と言えるわ!


だからダンさんとの問題も

神様が必ず 解決してくださる!

と信じていきましょう!


今晩、葵ちゃんの為に

私達は集まったのだけど・・


葵ちゃんの話は聞いてはいないけど

もう大丈夫なのよね?


「葵ちゃん・・・」

皆の視線が集まった!


□◆□◇◆


「私は大丈夫です!!」


葵の言葉に 力強さが感じられた

ラックの希望に満ちた発言に

呼応しているようだった


「今日父さんが来たのは

私を連れ戻す為ではありません!

それにわたしは以前のような

弱むしな人間でもない!


「葵ちゃん以前のような

人間ではないって・・・

どういう事?」


「それは ラックが私を助けてくれたあの日

実は どん底にいた私を

助けてくれる存在との出会いがあったの!


あの日を境に私の内に

大きな変化が生じたの!」


(わたしは生まれ変わりの経験をした!

起源の存在:神との出会いによって!!

はじめて異世界に導かれた あの日

私は 神の癒しの言葉によって

失われた魂に 息を吹き込まれた・・・

そして漲る力を 与えられたのだ!)


そして目が覚めた時に

目の前にラックがいて 

私を助けてくれた!


□◆□◇◆


「あの日まだ不安定な父さんと

少し言い合いになりました!

でもはっきり自分の意見が言えました!


『父さん聞いて!!

わたしはこれからサラさんのお店で働いて

みんなに役に立つ人間になりたいの!

お願い!このまま働かせて!』


「...................

分かった!

勝手にしろ!!」

(そう言うとダンはその場から姿を消した)


私は一瞬力が抜け・・

バランスを崩して 転倒した時に 

怪我をしてしまったようなのです

だから父さんが暴力を振るった訳ではありません1


私がまだ心のコントロールが

出来なかっただけなのです!


「葵ちゃんの話が 本当だとしたら

今回怪我は不慮の事故という事で!

みんな それでいいな!」


「はい!」

(ラック アニー デル)

そしてエリーおばさんとサラ、カムイは頷いた

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