第20話 預言者アブラハの計画

葵がサラ夫婦と暮らす事が決まり

葵は 自分を必死で守ろうと愛を示してくれた

ヨーデルやサラ夫婦の優しさに触れ

幸福感に満たされながら

清々しい朝食の時を 過ごしていた


「サラさん!

私 父以外の人と

朝食を 食べるのは初めてです!」


「これから いくらでも

食事の団欒を楽しむ事ができるわ!

葵ちゃん!あなたは 

私にとって大切な家族よ!」


「ありがとうございます!サラさん!」


「葵ちゃん あなたは

これから もっと大きな幸せを掴む筈です!


私は妖精族の守護者として

人の人生の未来を少しだけ 

見る事ができるの!


昨日 はじめて葵ちゃんに会った時から

ずっと感じていた事なのだけど・・

話しても構わないかな?


もしかしたら 

少し重荷に感じるかも?しれないけれど

私は あなたには受け止める力があると

信じています!」


「サラさん!

聞かせてください!」


「分かったわ!!


葵ちゃん目を瞑って

少し力を抜いてくれるかしら?」


葵は深呼吸をすると

気持ちをリラックスさせた


「それでイイわ!


葵ちゃん あなたは この世に生を受けて 

12年間生きてきた訳だけど

すでに多くの苦難を経験してきた訳だけど


これから あなただけではない!

もっと多くの苦しみにある 

人達と出会う事になる!


あなたの人生には 

とてつもない人との結びつきがある!

避けようのない 人の人生の宿命を背負う道が

備えられているように 思います!


それは 非常に大きな責任があり

いばらの道のような険しく 

ひとりでは抱えきれず

とてつもない苦難を伴うように思うけれど


あなたの背後には 沢山の仲間が見えます!

そして神との絆があるように思う!


この「神の絆」は

妖精族の守護者は持っているものだけど

葵ちゃん あなたの絆は 強くて太い

推し量れない 親と子の絆に近い


葵ちゃん!

あなたも間違いなく

妖精族の血が流れているように 

思えてならないわ!


葵ちゃんは

父さんから お母さんの事

何か聞かされた事はないの?


「父さんからはあまり母さんの事

聞いた事はないのです!


ただ私を産んで

すぐに消息が 絶ってしまったらしく

生きているのか?死んでいるのか?


全く分からないそうです・・


ただ預言者アブラハ様という方が

失踪した直後に 父さんに会いに来たらしく

とても励まされ 世話になったと聞いています!


その方が 妖精族の守護者だったと

父さんは 言っていました!


「何ですって!!

預言者アブラハ様が

あなた達 親子に会いに来た事があるの?」


「ええ」


「それは 凄い事よ!

あの方は 神に選ばれた人で 王族や貴族 

特別な人しか 会う事ができない人であり

大陸エデンにある リエラ民族という

神の民のリーダー的存在の方よ!


そして 私をこのリムラ村に

派遣された方でもあるのよ!」


「サラさんを この村に?」


「どうしてですか?」


「それは・・よく分からないわ!

長く話過ぎたわね!

また今度 続きを話ましょう!!


葵ちゃん 今日のお昼のランチから

お店の手伝いを してくれるかしら?」


「勿論です!」


「ありがとうね!」


(サラは 預言者アブラハの話題になった時

12年前からの 全ての計画の全貌が

分かったような気がしていた・・・


間違いない!!

預言者アブラハ様は

葵ちゃんの存在に 

この世界の未来を感じていたのね!

この世界を救う『救世主としての未来』を!!


もし私の想像が 本当なら

これから 凄い事が!

この世界は 大きな混乱の時代を迎えるけれど

大きな希望を抱く事になるでしょう!!


サラは 胸を熱く滾らすのであった!!


□◆□◇◆


ラックはメーラレン湖での釣りで

エンゲルを3匹釣ることができた


「あっ!そうだ!

この魚をサラさんに届けにこう!」


葵ちゃんが気になるし

会えるかもしれないから


ラックは舟から飛び出すと

サラの店へと急いだ!


「こんにちは

サラさんいますか?」

ラックは店内に顔を出すと

いきなり目に飛び込んできたのは

可憐なレースのエプロンを身につけた葵だった!


「葵ちゃん!?

何してるの?」


その姿は・・いったい?

ラックは可憐な

葵の姿に見とれてしまう


驚いているラックに

サラが声をかけた


「実はね!葵ちゃん今日からこの店で

働いてもらうことになったの!」


「ええええええ--!!!」

(ラックはかなり驚き 嬉しさが込み上げてきた)


ラックは

父ヨーデルと村長夫妻が

葵の父ダンと話をつけ

しばらくサラ夫婦と暮らす事になった話を聞き


飛び上がる程の歓喜で胸がいっぱいになった

「良かった!本当に良かった!!」


ラックは思わず葵の手をとり

抱きしめたい衝動にかられたがさすがに・・・

思い留まった


「恥ずかしいよラック!手を・・・離して!」


その様子をサラも

嬉しそうに眺めていた


「ラック!!

葵ちゃんをお嫁さんに もらうには10年早いよ!」


「えっ!お嫁って!!」

(ラックの顔は真っ赤に・・・)


「さぁ!帰った!帰った!

私も葵ちゃんも 店の仕事が忙しいんだ!:」


ラックは追い出されるように店を出た


「まぁ!いいか

サラさんの店ならいつでも来れるし

これから毎日だって会えるんだから!」


ラックはこれからの生活に期待

を大きく膨らませるのであった

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