第18話  ルスタの妖精族の秘術

翌朝ガンメル村長と妻ルスタ

ヨーデルの3人はダンの家まで 

馬車を走らせた


ダンの家の前に来ると

ダンの叫び声が 辺りに響いていた


「葵!どこだ!どこへ行ったのだ!

いつになったら帰ってくるんだ!!

葵!葵!葵!!」


ダンの声は震えており 異質な声であり

かなり精神不安な状態である事が伺えた


「ヨーデル!

ダンさんはもともと 

心優しい父親であった!と

言っていましたね?」


「そうです!ルスタさん」


「それなら 彼の心に妖精族の秘術を用いて

語り掛けましょう!!

悪根の呪いを解く必要があります!


私にできるか?分かりませんが

葵ちゃんの為にも 

彼には正気に戻ってもらう必要があります!


ダンさんを呼んできてください!」


「ダン!入るぞ!」

ヨーデルがダンの家に入ると

家の中は酒瓶が 床に落ち我ており

かなり散乱して 

足の踏み場がない状態であった


「これは・・・何て事だ・・・」


「ダン!

しっかりしろ!ダン!」


「誰だ・・・ヨーデルさん?

ヨーデルさん!

聞いてください!

葵がいなくなってしまったんです!


どこに行ったか 知りませんか?

知っていたら教えてください!」


「ダン!しっかりしろ!

忘れたのか?昨晩伝えにきただろ?


葵ちゃんは昨晩 

サラの家に泊まる事に

なっていただろう?」


「サラさんの家?

そんな話 聞いたような・・

聞いていないような・・」


ダンの精神状態は明らかにおかしく

記憶が曖昧で・・目は虚ろであり 

意欲が低下し 

生気がまるで感じられなかった


そして心が落ち着かず

酒に手を出し 

泥酔状態になっていた・・


「しっかりしろ!ダン

とにかく ここの椅子に座るんだ!」


ヨーデルがダンを

椅子に座らせ

井戸から冷たい水を汲み 

ダンに与えた


□◆□◇◆


「ダンさん!

私の名はルスタ!

妖精族の守護者をしています!


私は あなたを助けたい!

だから 私に心を開いて 

信頼して欲しいの!いいわね!!


あなたは 昨年のリムラ村を襲った

悪根の呪術者達の陰謀の被害者です!


何があったか?

教えて貰えないかしら?」


「すみません・・何も

覚えていないのです・・・」


「そう・・無理に思い出さなくてもいいわ!

少しあなたの手を 握らせてね!

もしかしたら あなたを苦しめている原因が

分かるかもしれない!」


ルスタは 静かに目をとむると

妖精族の秘術を用い ダンの手を握り

心の奥を 探った


□◆□◇◆ □◆□◇◆


1年前 リムラ村を覆った

恐ろしい 悪根の呪い

背後に 強大な悪の存在が・・あった・・


「何?

何て恐ろしい呪いなの・・

この呪いは 闇の世界を支配する

力のある者による術かもしれない・・


彼はよくもこの闇の世界に支配され

生き続ける事が 

できるわね・・


ルスタは酷く驚いた!


並の人間なら・・1日ともたず

精神汚染で 発狂し 死んでしまうだろう・・


ダン!あなたは・・

あなたは 悪根の呪いをかけられてはいるが


心の根底に 深い愛を感じる・・

それに・・・これは!

信じられない!


これ程 優れた 聖なる力を

私は 見た事がない!


巫女様?

いえ・・・そんな筈はない!


巫女様は 

この世界では・・

まだ誕生されている筈は・・


□◆□◇◆


「ヨーデル!

ダンさんに かけられている呪いは

悪根の古来の秘術に近いものだった・・

誰が・・このような恐ろしい術を?


私に 彼の呪いを解く事は 無理だわ!


でもね!希望はあります!

彼の心の奥底には


彼の心をガードする

妖精族のかなり高度な秘術が

施されていたわ!


もしかしたら

昨晩話していた

葵ちゃんの母ソルナさんによるものなのか?

分からないけれど!


彼がこんなに苦しみ

精神状態が不安定であるのは・・


もしかしたら 

呪いが解けかけているからかも?しれない・・・


とにかくしばらく様子を見ましょう!

今の状態の彼の元に 

葵ちゃんを家に戻す訳にはいかない!


例の条件を提示して

しばらく 私達で葵ちゃんを

守っていきましょう!!」

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