第11話 勇気の心

葵が父ダンに無理やり連れていかれる

突然の出来事にラックは 

大人の男性と子供の力の差を思い知った


「くそ!!」

自分にもう少し力がったら

威圧的な態度をするダンに対して

示すべき態度があっただろう!


父さんなら 何て 

声をかけただろうか・・


ラックは、自分が無力で 

情けない存在に感じて

胸が張り裂けそうな思いになっていた・・・


「僕は、男だ! 男なんだ!

か弱く 無抵抗な少女を守れなくて

何が男だ!!

子供だから出来ないなんて! 

それは言い訳だ!

たとえ 大人に敵わなくても・・


彼女を守る態度を示したかった!


ラックは悔しい思いにふけっていたが

このまま後悔の念を募らせたくない!


今からでも 遅くない・・

ダンさんと葵ちゃんを追いかけて

自分に出来る事をしよう!!

そう決意した!!


恐らくデムの実の

運搬作業が始まるだろう!


僕も葵ちゃんの力になりたい!

さぁ!行くぞ!!!」


ラックは 強い決意をもって

葵を追って 走り出した!


人生には強い意識をもって 

立ち向かうべき時があるのだ!と

今回の出来事を通して 学んだような気がする・・


ラックの心に小さくはあるが 

勇気の炎を、胸の内に燃やす事ができていた!

それは今までの自分にない 

心の強さが芽生えている事に

ラックはまだ気付いてはいなかった!

 

それは葵という少女に出会った事により

開花した現象であるといえた・・


ラックは、葵を通して

自らが「強くありたい!」

願う心の在り方を

導きだす事ができたのである!


□◆□◇◆


ラックは葵達に追いつき

森林から戻ってきた


「ラック!

葵ちゃんの手伝いをしてあげなさい!


「勿論だよ!父さん」

ラックはとても張り切って 

葵の手伝いをした


ラックが手伝う事を

ダンは少し嫌そうにしていたが・・・

親方の命令なので・・・渋々承諾した


「葵ちゃん!僕も手伝うよ!」

「ありがとう ラック!」

ラックは張り切って手伝った


ラックは重たい箱を葵と持ち

バランスを崩しそうになり 

倒れそうになるが、必死でこらえた


「葵ちゃん頑張ろう!

僕が手伝うから!」


「うん!!

ありがとうね!」


2時間かけてようやく作業が終わった


「よし!いいだろう!!

ダン!約束の金だ」

ヨーデルは銀貨3枚をダンに渡し 

葵とラックにお駄賃として

銅貨を1枚づつ手渡してくれた


「これで町に遊びにいってきない!

いいだろダン?」


「えっ!まぁ・・・」

親方の命令に逆らえず 

渋々葵とラックが遊びに行くことを許してくれた


「葵!夕方までに帰ってこいよ!

分かったな!」


「はい!ありがとう 父さん」

葵はあまり気乗りしないようだったが 

父ダンが 外出を許してくれた事が 

とても嬉しかったようだ!


「疲れただろう!葵ちゃん?」


「いいえ 大丈夫です!ヨーデルさん」


「葵ちゃんはガデム村に

行ったことはあるかい?」


「いいえ ないです」

葵はこれまで村から出たことがなく 

はじめての体験だった


「葵ちゃん 

僕が村を案内してあげるよ!

とっても美味しいランチが食べられる店があるんだ!」

(ラックはどうしても葵に

栄養のある食事を食べて欲しかったのだ)


「いいでしょ!父さん!!」

「ああ 勿論だ!」


「えっ そんなの悪いです。。」


「葵ちゃん 

人の好意は受けるべきだよ!

葵ちゃんは日頃から大人並みに働き

労働をしているのだ!

働いた労働に対して対価というものがある 

葵ちゃんも十分な対価を受けるべきなんだよ!」


「1時間働いて対価は幾らだと思う?

今回君の父さんに支払った報酬は銀貨3枚だ

銅貨100枚と銀貨1枚と同等 

大人が一日働いて受ける報酬は銅貨10枚が相場だ」


「1時間たと銅貨1枚ですか?」


「そうだ!

葵ちゃんは頭が良いね!」


葵が褒められて

ラックは自分のことのように嬉しかった


「さぁ!サラの店に着いたぞ!

今日はワシがご馳走するから

ラックも葵ちゃんも好きなもの注文して良いぞ!」


お店はとても繁盛しており

奥の間に1席だけ空いていて

そこに葵たちは案内された

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