剣魔武技大会、準備期間

第13話

剣魔武術大会


学園で年に一回、剣術、魔術、武術を2週間かけて競い合い、選抜された各1学年10名は学園の隣にあるコロッセオにて観客を入れて優勝者を決める大会だ、島全体も祭りのように賑わいになり、最終日には、魔族国ファリャと王国ヒュリャの王が訪れて優勝者に褒美を渡すのが恒例となっていた。



某所に数人が集まっていた。


?「大会まで後一か月、各々準備は順調に進んでるか?」


?「あぁ、順調だ。」


?「こちらも順調だ。」


?「私の方は少し遅れているけど許容範囲内よ。」


?「順調だ、ただベンガ、今度はへまをするなよ。」


ベンガ「分かっている!部下の引き締めは済んでいる、既に武器は用意できているし、人も手はずは済んでいる!」


?「決行日は最終日!狙うは各王ども!もう一度我らの家が名門に返り咲くために!」


「「おう!!」」


そして彼等はまた日常へと帰っていく、巨悪な陰謀を内に秘めて。



ベンガ ヒューマン30歳


島ではそこそこの商社の頭取だ、ただ戦争中は王国でダントツトップの武器防具商社だったのが、戦争が終了したことで売り上げが激減、商品を変え、多くあった支店を切り、何とか生き残ったのが実情だ。


それを幼い時から見てきたベンガは忌々しく思っている、戦争が続いていれば王国で美味しい思いをしていたはず、そしてまた戦争が起これば返り咲ける、そんな思いで今は我慢をしていた。



シンジ 竜人


薬剤調合士をしている、かつて魔族の軍師家系だったが戦争が終わり、軍から離脱し細々と生活をしている。


特別客室にて。


「お待たせいたしました、シンジ殿。」


「これはこれはベンガ殿。」


「いつもご協力、感謝いたします。」


「いえいえ、微力ながらベンガ殿のお役に建てるなら。」


「実はリューカ草を使った眠り薬を大量に調合していただきたいのですが。」


「ツ!…あんな危険な物を大量ですか?」


「あぁ、期限は一か月の剣魔武術大会までに、量は5Lほど。」


「大会でご使用に?」


「これ以上の詮索は止めていただきたい。」


「…分かりました、手を尽くしますが、レア種ですので量は保証しかねます、それと取扱いには十分お気をつけ下さい、少しでも間違えれば死体の山を見ることになりますので。」


「分かっている、量は出来るだけお願いする。」


「では、失礼いたします。」


シンジが退出後。


「ふん!いけすかない魔族のくせにわしに意見をしおって!」


「まぁよい、用が済めばあの偉そうなやつらと一緒に消えてもらうだけだ。」



リューカ草を使った眠り薬


効果抜群の眠り薬、正し15㎖以上飲めば死人が出るほどの劇物。


しかもポーションが混ざると、猛毒になり1滴で数人を殺せるほどになる。



自分の家に帰ったシンジ、魔法通信を使い誰かと話しをしている。


「ベンガがリューカ草を使った眠り薬を5Lほど用意してほしいと言ってきました。」


「なに!死への眠り薬を5Lもか!」


「はい、しかも奴はポーションを買い溜めしている様子。」


「まずいな…」


「ですので、ニッカ草の眠り薬を彼に渡そうかと。」


「うむ、そうしてくれ。」


「ではまた何かありましたらご連絡いたします。」


「たのむ。」


シンジは魔法通信を切りため息をつく。


「まったく!厄介なことになりそうだ!」



ニッカ草の眠り薬


強力だが取り扱いは楽で、同色で、匂いも近い、よっぽどの事がない限り死人は出ない。

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