第五話 宿命が彼の名を呼んだなら-5

 一方その頃、スカルプリズンのどこかに存在するCOMBの本拠地ではカミキリと五人の配下が円卓を囲んで会議をしていた。


「さて、各々の報告を聞こうか」


 カミキリは甲冑姿で椅子に上座に腰掛け五人の配下に言った。


「では、ますは私から」


 一番初めに名乗りを上げたのは髪が膝まで届く程に長い青髪の美青年だった。


「本日の高校襲撃テロは断髪式によって阻まれました。それにより、私の部下のノンセットが捕えられてしまったようです」

「オーホッホッホッ! 簡単に負けてしまうなんて情けないですわね!」


 青髪の青年の報告を聞いて高笑いをしたのは五人の中では最年少の金髪縦ロールツインテールの少女であり、青髪の青年は苦々しい表情をする。


「ちょっとちょっとー、喧嘩はお止めなさいあなたたち、今は会議中よ」


 そう言ったのは紫髪を後ろで一本の三つ編みにしているおネエ口調の男。

 紫髪の男は五人の中でも最年長だった。


「姐さんの言う通りだZE! 失敗してしまったものはしょうがないNA! 次は上手くやればいいんDA!」


 天然パーマとグラサンが特徴的な赤髪の青年が言う。

 赤髪の青年は青髪の青年と同年代であり、会議中にも関わらず机の上に脚を載せていた。


「…………」


 その四人の様子を一瞥した緑髪の少年はすぐに顔を手元のスマートフォンに戻す。

 緑髪の少年の年齢は金髪の少女よりも少しだけ年上で、両目は前髪で隠れており、髪で覆われた彼の目はスマホゲームの画面しか見えていなかった。


「君たちは纏まりがないな」


 だが、カミキリが口を開くと五人は静かになる。


「今回の議題は報告だけではない。明日の計画の準備は進んでいるのだろうな?」

「ええ、もちろんですわ」

「お任せください、カミキリ様」

「アタシも大丈夫よ」

「…………俺も準備は整っている」


 カミキリに問われて赤髪の青年以外が答える。


「なあ、カミキリの旦那……」


 赤髪の青年がカミキリに声をかける。


「どうした? 君はこの拠点で待機だろう?」

「明日のショッピングモール襲撃に俺を参加させてくれねえかNA?」

「何故だ?」

「だって、明日もやってくるんだろ? あの右左原ハサミとかいう断髪式の副隊長が」

「ああ。COMBが絡んでいる知れば、彼は必ず我々の邪魔をしに来るだろう」

「だったら、そいつの相手は俺に任せてくれねえかNA? COMBのテロをたった一人で阻止したっていうそのハサミとやらと俺は戦ってみたいんDA!」

「……わかった。好きなようにしろ」

「よっしゃ!」


 カミキリがそう言うと赤髪の青年は手を叩いて歓喜する。


「いいのですか? カミキリ様……」


 金髪の少女が気に食わない様子でカミキリに言う。


「構わない。それよりも君たちは明日に向けて最後の調整をしておけ。失敗は許されない」


 カミキリは配下たちにそう言い残して会議室から出ていった。

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