第22話 先輩への思い

目が覚めると見知らぬ天井だった。


そうか私は倒れてしまったのか...

先輩が来た時に体の力が抜けてしまって気が付いたらもう意識がなくて...


「起きたか!!大丈夫か!!!体の調子は?...ごめん。僕が遅かったばかりにこんな無理をさせてしまって...」


「い、いえ、謝らないでください。言わなかった私も悪いですから...」


「体調悪かったのか!!なんで言わなかった!?」


「それにはいろいろ訳がありまして.........私は体が弱いので体調を崩しやすいんです。けどそれをあまり言いたくなかったんです...弱いって思われたくないんです.....だから言いませんでした。先輩には言わざるを得なくなっちゃいますたけどね...初めてですよ。言ったの。」


「え?」


「初めて学校の人にこのことを言いました。その初めてが先輩だなんて考えてもいませんでしたよ...」


「友達のは言わなかったのか?」


「いったら無駄な心配をかけてしますので言ってません。それに中学生の時に友達に言ったことがあるんですけど、それをきっかけにもう話さなくなりました。そのトラウマのあるかもしれないですね...」


「そんな最低な奴がいるのか...」


「最低でも何でもないですよ、私はその友達に嘘をついていたわけですからね、ただ運動神経が悪い人ってね...」


「それで本当のことを話してなんでそんな静さんが傷つかないといけないんだって話だな...そういう奴らのことを上辺だけの友達っていうんだろうな...嫌ならはっきり言ってくれたほうが楽なことだってあるのにな......」


「先輩もたくさん苦労してきたんですね...」


「静さんに比べたら僕は紙切れみたいなもんだよ」


「いえ、そんなことありませんよ」


「仮にそうだとしても僕は感情というものが死んでるから何も思わないし感じない。感じられないんだ。だから苦労はしてない、そんな思い出もない......」


「じゃあなんで...なんで..そんな顔してるんですか...?」

「今の先輩はとても悲しい顔をしています。それが感情のない何も感じない人の顔なんですか?」


先輩は少し驚いた表情でこちらを見てきた。


「そんなのは勘違いだよ...僕がそんな人に見えるか?」


「先輩は優しい人です、まだ会って1ヶ月くらいしかたっていない人の話を聞いて、まるで自分かのように悲しんでいます。そんな人が優しくないわけないじゃないですか...」


「いい捉え方をし過ぎだよ、僕はそんな人なんかじゃない...」


「先輩はもっと自分の評価をあげたほうがいいと思います!!いつもマイナス発言ばかりで自分の良いところを消しています!!」


「は、はあ......でもそんなこといわれてもな~~、あんまり人の考え方は変わらないものだぞ」


「そうかもしれませんけど、かえるんですよ!!」


「そんなことでできるわけないだろ......こちとら最弱職の陰キャラだぞ?」


「あ~~~!!!いきなり弱音はいてる!!!そんなんだから超ヘタレ陰キャなんですよ!!!あ~~キモイキモイ!!」


「ちょっと!?急にひどいこと言わないでくれない!?ってかもう治ってんなら僕はいくぞ!!もう夕方だぞ!!はやく家に帰りたいんだ!!」



「もう夕方!?ってよく見たらほんとだ。夕方ですね。ということは何時まで寝てたんですか私!?!?」


「ぶっ倒れたのが11時前だったから5時間くらい?」


「その間先輩が私を?」


「まぁそうだな。ホントは友達呼んであげたかったけど知らないしな。それに手が離せる状態でもなかったしな」


「そう..なんですか...その...ありがとうございます...こんな長くまでいてくださって」


「良いよそんなの、大したことじゃない、静さんが元気で良かったよ。ちゃんとキレッキレで僕をディスってたし」


先輩は優しいです。

こんな私を心配してくれている

こんな生意気で先輩をバカにしてホントは怒られてもいいようなくらいだ。

それなのに先輩は明るく私に接してくれている

怒りもせず、

なんならキレキレでツッコミを入れて来てくれます

そんな先輩が優しくないわけないですよ......


「そうですね!!これからもディスりますね!!先輩!!」


「そろそろ容量オーバーしそうだがな......」


「それと...静さんじゃなくて...凪沙でいいです...」


「お、おう。そうか...じゃ、じゃあ...凪沙これからもよろしく頼む」


「はい!!先輩っ!!」


「じゃあ僕はこれで帰るよ、凪沙も気を付けて帰れよ」


「はい!!バイバイで~~す!」


そう言って先輩は部屋を出て行った。




「....先輩、私になんて感情抱かせるんですか...よりにもよってあんな陰キャラを好きになるなんて...」


「先輩のバカ......」


私は一人、部屋の中でそうつぶやいた。


「けど...とってもカッコよかった」


助けてくれて、そばにいてくれてありがとうございます先輩


                        つづく



あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

いかがだったでしょうか??

後輩ちゃんも参戦してきますよ!!

明日はコンテスト応募作品とbijodou投稿予定です!!

時間があったらTWOWORLDのほうも投稿しよう思っているのでよろしくお願いします!!!ではまた明日!!          立花レイ

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