「物語の才能」をひたすら読む

 ヒロなんとかという方の、「物語の才能」というサイトをひらすら読んでいた。


「主人公の設定で一番大事なのは、秘めたる想いと、それを描いた【裏ストーリー】である」

「テーマは必要。しかし【メッセージ】という意味ではない」

 という考えが、ものすごくささった。


 裏ストーリーとは、ブレイク・スナイダーで言うところの「内面動機」という意味とも取れる。


 たとえばサッカーの試合を小説にすると、


 表ストーリー:悲願の優勝するためにがんばる。

 裏ストーリー:脚に爆弾を抱えている。


 読者は、「主人公が抱えている個人的な事情にこそ感情移入する」という。


 これがないと、「主人公がただがんばるだけの話」になってしまう。


 キャラクターを設定するときは、「主人公が抱えている問題」を描くと、より名作に近づくという。



 また、テーマと言ってもメッセージ性が必要ってわけじゃない。


「ロッキーは自分の『個人的な事情・動機』でしか動かない」

「彼は『世界平和のため』になんか、試合をしていないだろ?」


 と書かれている。


 テーマとは「作品を書きながら浮かんでくるもの」である。

 最初からガッツリと作るものではないらしい。

 それをやると、必ず失敗してしまうそうな。


 オレも、なんとなく作品を書いてみて、

「ああ、この話ってこういうことがテーマだったんだ。これが書きたかったんだ!」

 とひらめく瞬間が毎回ある。


 たとえば「コウガ」とかだと、

「なんで、こいつは『変身ベルト』に転生したんだろう? 普通は南光太郎ポジになりたいはずなのに」

 とずっと考えていた。

 ただでさえ、「身体が不自由な人間」として設定していたので、より不自然になっていた。

 五体満足な身体を得られる方が、何倍もうれしいじゃないかと。

 でも、オレはかたくなにやらなかった。


 美少女を主人公に添えたかったからだ。

 自分の代わりに傷つきながらも、戦う少女の健気さと、ここでも役に立てない申し訳なさを描きたかったのだと、オレは思い込んでいた。


 しかし、間違いだったのだ。


 そこまでして、どうしてこれを書きたかったのか。


 それがつい最近、岡田斗司夫さんによる「庵野秀明監督が作ったウルトラマンパロ」で判明した。


「庵野監督は、『ハヤタになりたいんじゃない。ウルトラマンになりたいんだよ!』と自分がウルトラマン役になることにこだわった。こんな映画監督は、前代未聞だった。普通はハヤタや本郷猛になりたいはずなのに」


 と岡田氏は当時をかたる。


 そこで、オレも思い至ったのだ。

「そうか、コウガの男主人公って、『ヒーローというガワ』になりたかったのか!」

 と、やっと主人公の思考に寄り添うことが出来たのである。


 なお、「物語の才能」は応用編がキンドル・アンリミテッドで売られている。

 興味のある方はぜひ。

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