５４５話 リーゼロッテの最新ステータス
俺の寝室で、ミリオンズの秘密会議を開いている。
ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナ、マリア、サリエの最新ステータスの共有を終えた。
「次はリーゼロッテだな。リーゼロッテも結構レベルが上がっていたし、たくさん強化したよな」
「そうですわね。日々の狩りだけでなく、水魔法による農業改革の支援や、治療回りもありましたし……」
リーゼロッテがそう言う。
彼女が言う通り、レベルが上がったのはそのあたりの要因が大きいだろう。
サリエと同じようなイメージだな。
「いつも助かっている。それで、リーゼロッテが伸ばしたのは……」
「主に魔法関係の補助スキルですわね。魔力強化をレベル５に、ＭＰ消費量減少をレベル３にしていただきました」
リーゼロッテのお家芸は水魔法だ。
ただし、水魔法自体はレベル５に既に達しているためこれ以上は伸ばせない。
代わりに補助系スキルを伸ばすのは有効な選択だ。
「そうだったな。纏装術の練習は順調か？」
「ええ。以前より、概要だけは両親から指導していただいておりました。タカシさんの力により水魔法の練度や魔力が向上した今のわたくしなら、簡易的な術式纏装は可能です」
「おお……。さすがはリーゼロッテだ」
術式纏装は、最先端の魔法技術だ。
魔法学園都市シャマールで研究が進められているらしい。
そして、一部の高ランク冒険者などでは既に半ば我流でどんどん取り入れられている。
ミリオンズで最初に会得したのは、モニカだ。
『雷天霹靂』という術式纏装である。
雷の力を身に纏うことにより、移動や蹴りの速度が増す。
さらに、雷魔法の威力が向上する。
超強力な技だ。
ブギー盗掘団の捕縛作戦、ファイアードラゴン戦、ラスターレイン伯爵家戦などでも大活躍した。
モニカの次に会得したのは、俺だ。
『獄炎滅心』という術式纏装である。
炎の力を身に纏うことにより、身体能力がひと回り向上する。
体温が向上しており、相手が俺に迂闊に触れたら火傷する。
火魔法の威力が大きくなるし、火に対する耐性も増す。
ラスターレイン伯爵家との第１ラウンドでは雨天下により本来の強さを発揮できなかったが、晴天下の第２ラウンドではリカルロイゼたちをフルボッコにした。
３番目に会得したのは、マリアだ。
『不滅之炎』という術式纏装である。
炎の力を身に纏うまでは俺といっしょだが、その方向性は異なる。
オリジナルの魔法を開発するときもそうだが、込める魔力やイメージにより、魔法はある程度の応用が効くのだ。
彼女の場合は、再生能力や回復能力が大幅に増す。
ファイアードラゴンのブレスを受けて炭化した状態から復活を遂げたことには驚かされた。
先ほどマリアの最新ステータスを整理したように、彼女の再生能力はさらに増している。
もはや、彼女が通常のダメージで死亡してしまうことはほぼ考えられない。
後は、術式纏装の亜種のような技をユナも使える。
『火竜纏装』という技だ。
ファイアードラゴンのドラちゃんと一時的に融合し、力を借りるようなイメージの技である。
彼女がこれを行えるのは、テイム術レベル５によりドラちゃんのテイムに成功していること、火魔法の力量がレベル４と高い水準にあること、獣化術レベル４により炎の精霊の加護を多く受けていることなどに起因している。
その効果は、火魔法の威力や速効性の向上が主だ。
口からブレスを吐いたり、５本の手の指から同時にファイアーアローを撃ったりすることもできる。
また、身体能力が増すなど副次的な効果も多々ある。
この状態のときのユナの戦闘能力は、ミリオンズ内でも相当に上位だと言っていいだろう。
ミリオンズ１０名のうち、纏装術を使えるのは以上の４名だ。
一方のミティ、アイリス、ニム、サリエ、リーゼロッテ、蓮華の６人はそれぞれ練習中である。
ただし、リーゼロッテは今聞いた通り簡易的な術式纏装なら可能とのこと。
それ以外の者も、それぞれ得意魔法はあるし近いうちに習得できてもおかしくない。
今後に期待したいところだ。
「ええと……。魔法系のスキル以外にも伸ばしたものがあったよな。確か……」
「測量術ですわね。レベル３にしていただきました」
リーゼロッテがそう言う。
測量とは、各地点の位置関係や形状・面積などを測定することだ。
測量術というスキルの恩恵は、器具を用いた測量の技術が向上するだけにとどまらない。
目視による位置関係などの把握力の向上や、それを脳内で整理する能力も増しているような感覚があるらしい。
戦闘に直接関係するようなスキルではないが……。
「ああ、あれか。確かに、役に立つ場面もあるだろうな。ダンジョン探索とか、未踏の土地を探索するときとか……」
「ええ。西の森の奥地の採掘場には、ダンジョンがあると聞いております。わたくしの測量術が役に立つこともあるでしょう」
「頼りにしている。それに、ハイブリッジ騎士爵領には西の森以外にも未開発の地域や未踏の地域があるからな。そのあたりを探索したり開発したりする際にも便利そうだ」
「はい！ 未知のおいしいものを探すために、頑張りますわ～！」
リーゼロッテのやる気はかなりのものだ。
彼女に限らず、ミリオンズの皆は頑張ってくれている。
そんな彼女たちのためにも、俺はもっと強くなっていかねばならない。
俺はそう気持ちを新たにしたのだった。
さて。
最後に、俺自身の最新ステータスを共有しておくことにしよう。
レベル２５、リーゼロッテ＝ラスターレイン
種族：ヒューマン
身分：リールバッハ＝ラスターレイン伯爵家長女
役割：測量士
職業：水魔法使い
ランク：Ｃ
二つ名：”蒼穹”のリーゼロッテ
ギルド貢献値：２８００万ガル
武器：蒼杖ラファエル
防具：レザーアーマー（上）
ＨＰ：２００（１５４＋４６）
ＭＰ：３０７（９３＋２８＋１８６）
腕力：１１１（８５＋２６）
脚力：１２１（９３＋２８）
体力：１１１（８５＋２６）
器用：１４３（１１０＋３３）
魔力：４６０（１０７＋３２＋３２１）
残りスキルポイント：０
スキル：
ＭＰ強化レベル４
魔力強化レベル５
水魔法レベル５「ウォーターボール、アイスボール、アイスレイン、ブリザード、水魔法創造」
治療魔法レベル３「キュア、ヒール、エリアヒール」
高速詠唱レベル２
ＭＰ消費量減少レベル３
ＭＰ回復速度強化レベル２
測量術レベル３
称号：
タカシの加護を受けし者
アヴァロン迷宮踏破者
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます