ACT31 消えた少女
「そういえばディア。もう一人呼んだはずのお客さんの姿が見当たらないけど?」
アスキスが放った言葉に、クローディアとヴェルははっとして周囲を見回した。
(リッカが居ない)
だがいつから居なかったのかが二人にはわからない。
直前の記憶だというのに、まるで幼い頃の記憶を紐解くような曖昧さをクローディアは感じた。
(そもそも、リッカが居ないことに何故誰も気付かなかった?)
あれだけの人の目に晒されていたはずなのに、辺りに居た人間の全員をいとも容易く出し抜き、その少女は忽然と姿を消してしまったのだ。
「リッカ……聖典術か」
クローディアが呟く。
「まぁいいさ。二人とも疲れただろう。部屋は用意させてあるから、今日はそこでゆっくりと休むといい。でもその前に食事だな。そういえば、今夜はメルディアット騎士団長閣下が晩餐会を催されるそうだ。君達にも招待状が来ているから、是非とも参加するといい。きっと騎士団長も若い来賓に喜ばれることだろう」
「あの、アスキス先生……」
「彼女のことは、僕に任せてくれればいい」
「でも――」
「大丈夫、居場所なら見当がつく」
「……アスキス先生は、リッカの事をご存知なのですか?」
クローディアの問いに、アスキスはふっと笑みを浮かべた。
「知っているとも。この世界の誰よりも、ね」
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