第30話 case30
4人は広い草原で出来たダンジョンの中を、魔獣たちを倒しながら歩いていた。
深い森の中を抜けると、広い草原の中心で、大きな熊の魔獣が咆哮を上げている。
大きな熊の魔獣は、ノリの一撃で息絶え、魔法石と素材に姿を変えていた。
「なんかあっけなくない?」
ノリが片刃アックスを担ぎながら言うと、焦げ臭いにおいが鼻についた。
「あの時と一緒だ」
くるみが呟くと、セイジが「離れて構えろ」と指示を出し、4人は離れた場所で武器を構える。
広い草原の中心から、ゆっくりと小さな煙が立ち込め、徐々に大きな煙になっていく。
すると、大きな爆発音と爆風を起こし、大きな火柱を上げた。
煙に咳き込んでいると、煙の中からは大きすぎるくらい大きな魔獣の影が。
「何あれ…」
ノリは小さく呟き、4人は息を飲んだ。
大きな魔獣は煙が落ち着くとともに、その姿をあらわにした。
ライオンの体にヤギの頭が付き、尻尾は蛇の形をしている。
「…キマイラだと? 実在していたのか!?」
セイジが呆然としながら呟くと、ライオンの頭は鼓膜が破れそうなほど、大きな咆哮を上げた。
それと同時に、キマイラは太一に向かって一直線に突っ込み、太一は木の陰に飛び込んだ。
「太一!!」
「生きてる!!」
ノリの大声に、太一が大声で反応する。
すると、くるみがライオンの頭に向かって勢いよく飛びかかった。
「待て!」
セイジの言葉に反応するように、くるみの体は空中でピタッと止まる。
すると次の瞬間、蛇の頭がくるみに向かって牙を立て、襲い掛かろうとした。
が、くるみは勢いよく後ろに飛び、木の上に飛び乗る。
「近付けない!! あのヤギ、魔法を止める!!」
「何!?」
セイジがヤギに向かい炎の魔法を打つが、魔法はヤギの目の前で弾け飛ぶだけ。
「どうすりゃいいのよお!!」
ノリが叫ぶと、セイジは「一度撤退する!!」と叫んだ。
が、キマイラは地上にいる3人に向かって突進してくる。
間一髪のところで、くるみが3人を吹き飛ばし、自分も風の魔法でみんなの元へ。
キマイラから離れた場所で、4人はポーションを飲みながら話をしていた。
「おそらく、ライオンが本体だと思っていい。 ヤギと蛇は飾りだと思え。 こちらに意識を向ければ、魔法も効くはずだが、一番厄介なのは蛇だ。 姫はヤギ、俺と太一でライオンを引き付ける。 気を逸らしてる間にノリが蛇を切り落とす。 まずはそこまでだ。 いいな」
セイジの言葉に3人は「うぃっす」と言い、ゆっくりと立ち上がる。
ノリはゆっくりと歩きながら「It's Show Time」と言い、くるみと太一は「はは」っと笑う。
『危険すぎる… 口ではふざけているが、切羽詰まっている証拠だ… ノリの余裕がなさすぎる… やはり蛇はくるみに? 嫌ダメだ。 あいつは無知で無邪気すぎるあまり無謀すぎる… このダンジョン、ノリにかけるしかない』
セイジは眼鏡を上げながらそう思っていた。
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