第49話 モテ期のはなし
久保ミツロウ先生の漫画『モテキ』を読んだ。
非モテ男が急に異性から連絡をもらいまくって、「モテ期が来た!」と勘違いし、連絡をくれた子たちにアタックしていくがなかなか報われず、むしろ古傷をえぐったりするような内容の漫画で、ヤケにリアルな既視感を感じて身につまされる想いと、「ちょwwwwあるあるwwwwwwwwww」と共感する笑いが交互に襲ってくる作品だった。
モテ期は急に複数の異性にモテまくる時期の事だ。
僕は「幸せな時期」だとか「モテ期」の様な特殊な期間は「無いもの」だと思っている。
幸せというものは好きな人と一緒に過ごす時間だったり、旨い飯を食ったり、気持ちいい風呂に入ったり、心地よい眠り、趣味に没頭している時などに感じるものであって、「高校の頃」とか「社会人一年目」とか「○○ちゃんと付き合ってた頃」が幸せな期間だった訳でも無ければ、これから「幸せな期間」がやってくる訳でも無い。
幸せは日々の生活の出来事とかに感じるものだから、こっからここまで不幸期間であっちからあそこまで幸福期間なんて事は有り得ない。
それと同じで、モテ期というものも無いと思う。
しかし、若い頃は「夏特有の新たな出会いの予感」みたいな感じで、ある種の期待をしていた。
ここらで、ちょっと「モテ」という状態を僕なりに定義してみたい。
「モテ」とは「持て囃される」という事だが、イメージ的には異性から持て囃されるというニュアンスで使われていると思う。
もっとも「俺、女の子からはモテないけど、何故かオカマにはモテるんだよな…」という使い方もあるので、老若男女問わず、他者から持て囃される事もモテると表現される事もある。
しかし、基本的には「異性からモテる状態の事」というニュアンスが強いと思う。
同性の友達が多い人の事を「アイツ、モテるからなぁ」とは言わない訳で。
「モテ」は、セクシャルな側面が無いと成立しない言葉である。
更に深く突っ込んでみると、ここでの「異性」とは、「異性として意識する異性」の事であって、「異性として意識出来ない異性」は除外されると思う。
先ほどの「俺、女の子からはモテないけど、何故かオカマにはモテるんだよな…」に当て嵌めてみるならば、「アタシ、イケメンからはモテないけど、何故か男として見れないヤツからモテるんだよね…」みたいな感じだろうか(ちなみにこの言葉は、女性が使ってもオカマが使っても成立すると思う)。
ストーカー被害に遭っている人が、「いやー、モテちゃって困るなぁ」とは言わない。
「モテちゃって困る」とは、一応「選り取り見取り」感が無ければならない。
つまり、「この人とだったら付き合ってもいいな」というレベルの異性から持て囃されている状態が「モテる」という事になる。
上記の理由から、外部の人間が「アイツ、モテるからなぁ」と僻み混じりに発言したとしても、当の本人は「(眼中に無いから)モテていない」と本気で思っている可能性がある。
そう考えてみると、僕の人生にはモテ期は無い。
告白した事もされた事も、付き合った事も振られた事もある。
好きな女の子と付き合って幸せだなぁ、と思う事もあれば、振られて不幸だ!と思う事もある。
人生なんて、そんなもんなんじゃないだろうか。
…でも、中学のサッカー部のヤツらはモテてたよなぁ、実際。
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