第315話 後後190 太公望ねじくれる


よく晴れた日。午後も早い、丁度気持ちよく昼寝ができそうな時間。


川べりに糸を垂れている。釣りだ。

おっさんが釣り竿を軽く握ってぼけーーーっとしている。


(あ、将軍様?何やってんだ?いや釣りだろうけど、、)

土手を降りて近づいてみる

かく言うガクもトリミング客が少なかったのでアニャータにまかせて散歩しているのだ。


「しょーぐんさまー、釣れますかー?」ガク

「・・お、、おお、、、ガクか、、どうした?」

寝てたな?

「いや、珍しいですね?」

「そうか?昔は、、、そうだな、子供の頃は結構釣りをしてたんだがな、、」


「村に泉さん居ましたよ?鍛えなくっていーんですか?」

「・・・うーん、、なんかさあ、、もういいかなーって、、」

え?!!天変地異かっつ!!??


「・・・いや、そこまで驚くか?、、まぁ、、そうかもなぁ、、でもな、最近、、若い者にはかなわねぇなぁ、、ってな・・」

「泉さんは別格です、普通の若者と一緒にしないでください」ガク、きっぱりと!

「いや、人狼とかも、、」

「うちの人狼は別格です。他の人狼達と一緒にしないでください」キッパリと!!

「・・・・いずみ村の熊人とか、、」

「泉さん関係は一般的な生き物と違います。一緒にしないでください!」


「多すぎんじゃん、、」

「いやいやいやいや、、いずみ村と小館関係除いたら、将軍様はふつーに相手にできるでしょ?!」

「そりゃー、まー、そーだけど、、」


「泉さんは、それだけで一軍に匹敵しちゃうでしょ?」

「そらぁ、、、」

「で、それに、泉さん関係の者達を含めりゃ、一国以上の戦力でしょ?」

「いや、小館のはおまえんだろ?」

・・・・・

「違います!」

「なっつ?いやいや、おまえ、子供隊とか泉関係ねーじゃん?」

「俺も関係ないですうー!!」


「んじゃ、誰だよ、あんなんにしたの、、」

「ありゃー、、、、そう、あんときは太狼だった、、太狼ですよ?彼が子供隊を作り出したんです!!」

「・・・・おまえ、監督だったじゃん」

「名ばかりのっつ!!」

ほんとかよー?


「おまえ、いろいろ奇抜なことやるからなぁ、、」

「よく考えてください。思い出してください。俺は軍関係、とくに強さとか全くわからなんですよ?よ・わ・い・からっつ!!」


「んじゃ、あの東の大陸に攻めてったときのロボは?」

「ありゃ発案だけで主にオータさんとシューレと、農国の若手達じゃないすか!俺のせいにしないでください!」


「んじゃ、西の大陸は?」

「戦艦は、ラフは俺が案を出しましたが、主導したのは福田さんでしょ?」

「現地でいろいろやったじゃん」

「泉さんがいたから」

・・・・・・・


「あれ?んじゃ、ガクは、、、、、モフ神とか馬車とか便所とか?」

「なんか変なのばかり意図的に覚えている気もしますが、、灌漑とか上水とか、水車とかきのことか、養殖とかも、ですね」

「・・・そうか、、戦闘系じゃない方か、、」

「やっと判ってもらえましたね?」


「・・・・・んじゃ、泉があーなったのは?」

「主に領主さまのおかげじゃないっすか?」

「あいつかっつ」

「いや、国の戦闘力爆上げなんだからいいことでしょーよ」

そりゃそーだけど、だけど、、だけど、、とかぶつくさ言うしょーぐん


「つまり、わざわざ世界で最もおかしな集団の中に浸ってちゃ、そうなりますよ、ってことです。だいいち、ここにはドラゴン王達も入り浸ってるじゃないですか?誰があの集団に敵うってんですか?居ますか?」

「居るわけねーだろっつ!!」

「でしょ?仕方ないってことですよ」


「仕方ない、、かぁ、、、まぁ、、なぁ、、」

めんどくせーおっさんだなぁ、、


「大体ですね、死ぬ直前になってすんげー強いのが現れて指一本で負けてごらんなさい、あれ?今までの人生って何だったの?ってなるでしょ?強さのみを求めりゃそんなんなっちゃうんですよ?」

「そらそーだけどぉ、、、でもちがうんだよおおおお!!」

・・・このおっさん、、


「まぁ、、わからんことはないけど、、」

「だろう?」


ふと気づくと、結構ギャラリーが楽しそうに見物していた。


シューレと泉さんもいた。

「・・・シューレと泉さんは、アニャータ見学じゃないんですか?」怒!

「いーや?、おまえとアニャータが一緒にあれこれしてるのが面白いんで見ているだけだ。今は分離しちゃてるんでな、暇なんだよ」

何この暇つぶしのひまつぶし方!!!


他の連中は

あーあ、将軍様の出番終わっちゃったかぁ、、

残念!も少し見たかった!

面白くなったなウチの王様

おう、、随分よくなったよな

ああ、他の国のに敵うかな?

いけるんじゃね?


とかいいながら去っていく。

一体どういう規準で「敵う」なんだろう?ヒ王とかの規準かな?漫才で敵うとかなのかな?


あ、将軍、気を良くした、、、おっさん、、、


「将軍、釣れてたらさばいて料理してやるぞ?」シューレ

「お、おお、、頼みます」

流石人物的に大物、ちゃんと大精霊だから丁寧語とか使うね!好かれる理由の一つだね!


皆でぞろぞろシューレの店に帰る。

で、飯食って、ちびちびやって、

ガクはアニャータに「きりのよいとこで飯食いに食堂に来てね」と言いに行き、


強者ども(ドラゴン王達)もやってきて、、


また、いつものようになった。


ーー


西の大陸


荒野だった大地に、少しずつ草の芽が出始めている。ところどころ、早く育って緑の絨毯になりつつ在る。

僅かに残っていた貧相な森も、今では葉が生い茂っている。下草もらしくなっている。


川には水が少しずつ増え始め、小魚なども見え始めている。


全く人の気配のないこの元西の国の場所。死の荒野と化していたところが。


遠くの海べりにフィジニのテントが見える。というか、フライシートのみをテントにしてる、って感じ。主に日よけかな?

そこで、スリ鉢でごりごりごりごり何かをスリつぶし、時おりそれを風にのせて飛ばしている。


生の土地になりはじめた精霊フィジニの土地。

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