第311話 後後186 トリミング
アニャータ来てからすっかり忘れていたトリミングを再開しました。
素直に、
「まるっと忘れてた!ごめんよ!」
というと、皆アニャータを見て、ためいきついて、
「仕方ないよね」
と快く許してくれた。
すげーよねアニャータ効果!
アニャータは、一日中ガクのやることを見ていた。
一日中、自分がされていることを外からみることができた。
こーんな感じ、で、私がここまできれいにさてたのね、、と最初は思い、
そのうち、毛並みがきれいに成っていく様がわかり、
最後には、久々にトリミングにきました、今までろくに手入れしてませーん!!の人が来て、コレは酷い、、と少し憤った。
でもガクが手を入れていくにつれ、どんどんきれいに成って柔らかくなっていく。とても面白い、と思った。
夕飯時
「アニャータ、一日中見てて飽きたんじゃないか?明日は泉さんに付いて回ってみる?」
と、ガク。泉は強いのでボディガードにうってつけ!
となりで聞いている泉もアニャータを気に入っている。2人とも泊まりは村長宅だ。そこでは女性陣が泉とアニャータを可愛がるが、アニャータも何かと泉に気を使う、自分がオネーサン的位置に居て、泉を妹としてかわいがっているらしい、というのがわかる。泉にとってそれは悪いものではなかった。つか、なんか居心地良かった。
「まぁ、大したことしないが、いろいろうろつくから面白いかもしれんな」
と泉さん。GJだ泉さん!と思うガク。邪険にしているのではない。村をうろつけば更に皆とアニャータが仲良くなれると思っているのだ。
「それじゃお願いします、いずみさん」と、素直なアニャータ。
ーー
翌日。
早朝稽古(アニャータも毎回参加している)のあと風呂に行き、朝食を食べにシューレの食堂に行き、その後泉は村をブラブラして、暇そうな者を見つけちゃ剣や気の稽古を付けていた。その度アニャータも興味深そうに見ていた。流石あの女公爵の親戚である。
その泉の相手は大体がひとだったが、村内には獣姿になっている獣人もいる。アニャータはたまにそれを目にすると、無意識に毛並みの評価をしている。毎日毛並みを洗っていないのかな?風呂入ってきれいに洗えば良くなるだろうか?トリミングしなければぼさぼさかな?等。
昼近くなったので戻る途中ガクの屋敷前を通ると、幼い仔達の声がする。窓から覗くと、ほとんどが人の姿だが、一部は獣姿になっている仔達。わっさわっさと尻尾を振るアニャータ。
あ、狙いつけている、、とわかる泉。アニャータの目はまんまるく見開いて黒い瞳が丸くでっかくなっていた。
ザッ!!一瞬にして窓から飛び込んで仔狼2匹を抱き込んでモフるアニャータ!!
動きが全く見えなかったことに動揺する泉!!
(見えんかった、、、俺が?何を?え?え?・・・・・・・・・・・猫って、こんなすごかったっけ?)泉
ネコ科のスピード、特に初動速度は半端ない。だてにあの体がうにゃうにゃなわけではないのだ。
他の子どもたちも獣に変態し、アニャータにかぶりつく!もう、毛玉の世界!ガクが見たら恍惚だったろうなぁ、、とか思う泉。
先生役の子は、あーあ、ってな感じで諦めている。もう昼だしね。
シューレの食堂
「すごかったわ、、俺が見えなかったなんて、こっちで強くなってから初めてじゃねーか?」泉
「・・おはずかしい、、習性といえど、、、」アニャータ
うん、モフるのは猫の習性じゃないよね?個体の性格?(ガク)
ネコ科の習性は、早く動くものちょこまか動くものに飛びつく習性だろう。もっふもっふの可愛いのに飛びつく習性って聞いたこと無いし。勿論この場合爪は出さない。にくきうで抱きついたり押さえたり。
「あの子達、ものすごいモッフモッフでした。すごかったです」
「だろう?子供の毛並みは手入れしてれば最高なのだ!」ガク
「私も手入れしたいです」
「んじゃ今日もトリミングする?」
「いえ、私もトリミングする方になりたいです」
・・・・??
「えっと?俺みたいなことをしたいってこと?」ガク
「そうです、教えてください」
「大変だぞ?ガクはモッフモッフに命というか人生掛けているからあれのみだからどーあっても楽しくて仕方がないんだが、そうで無い者には、結構きついと思うぞ?こ汚いのも来るからな。先に風呂に行かせるけど、、」
「あ、私の時みたいにですね!」
そーだった、ボロ雑巾みたいだったんだっけ、、(ガク)
食事終え、アニャータにデザート食べさせてのんびりさせてから、トリミング小屋にアニャータと戻るガク。
「俺もついていこ」と暇そうな泉さん。
泉さんが暇なのは世が平和だということ。いいことである!
ガクがトリミングをしながら、一つ一つコツなどを説明しながら行う。ふんふん、と真剣に聞くアニャータ。
(なんとなくやってるのかと思ったが、、アタマ使ってるんだなぁ、、)失礼な泉w
途中から手を出す泉、
うひゃひゃひゃひゃ、、い、いじゅみせんせやめやめてーー!!とか悲鳴をあげる被害者
くすぐっちゃぁだめだと言われ、、いや、そのつもりはないが、、、と思う泉。何が違うんだろう?と。
夕方、狩りから帰ってきた小さな子たちから一人協力してもらって、ガクの屋敷の風呂を使って、シャンプーの仕方をアニャータに見せる。
狼だから毛並みが毛並みなんで大変だが、アニャータの毛あしも長く似たようなもんで、アニャータ自身のシャンプーの参考にもなるだろう。
最後にきれいに湯で流すと、細い体型がよく判る。狼は子供でも締まっている。流石に子供隊であれほど戦えるわけだ、と思うほど。
「せんせー、いつも自分で洗ってるときと全然違うー」
「だろう?いつも時間かけてゆっくりでいいから、同じ感じできれいにしててみな。ずっとすげー毛並みのままでいられるからな!」
「がんばるー」
シャンプーだけで小一時間かける。何がどうしたらここまで頑張れるのだろうか?と、アニャータは思ってしまった。
その後、拭いてある程度乾かし、食事に行かせた。食後に戻ってこいと言って。
アニャータとガクも夕食に行き、早めに戻ってくる。
子供は戻ってきていた。
そのままトリミング。
子供は気持ちよいらしくすぐに寝てしまった。
丁寧にこれでもかというほどブラシをかけ、ブラシもとっかえひっかえ。最後に手に何かを塗り、それを毛に塗り込んでいる。しつこいほど。
そのうちガクの手も毛もさらさらに乾いてきた。
最後に別のブラシをかける。
「完了!」
さわってみな、と言われ、触ってみる。
・・・・・・!
「これが、子供の毛並みだ。すごかろう?」
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