第307話 後後182 持ってる者!・・・何を?


マンダジ。だいたいどこのムスリム食にも、これとサモサはある。サモサは小麦粉を練って薄くしたもの真ん中に具を入れて三角に折って揚げたもの。マンダジは丸っこい甘い味付けの揚げパン。

自然でシンプルすぎるところが美味い原因じゃなかろうか。


しかも、歩きながらたべられるし。

抱え込んだでかい紙袋にいっぱい詰め込んだマンダジとサモサを歩きながら食べ続ける博子。


ん!、と手を出す華子、マンダジを乗せる博子。

サモサいい?と手を出す大田。サモサを乗せる博子。博子の口のもごもごは止まらない。次から次へ放り込まれるから。


「なんか、、お腹が出てきちゃったかも、、、」大田

へぇ?って目で見る華子と博子。

若人はやわじゃないんで少々食ったところででぶったりしない。

うらやましいね!


今日は別に博子の教育がおやすみというわけではない。

大田が「暴れん坊な将軍様話」の件で博子に協力依頼し、博子はコレ幸いと受け、大田を脅して「市中に取材に行きたいです、勿論皆でじゃないと困りまっス!」と言わせた。

遅く帰れば、あわよくばお稽古も勉強もする時間がなく、、、



ここんとこ、博子がずっとロボットみたいな感じになってたのは、自分の感情を切り離して一日中寝ていたからだ。肉体のみ周囲に反応させ、精神は日がな一日寝っぱなし。

この危機を乗り切るにはそれしかなかった。


最初はそれをわからなかった華子。ロボットみたいな博子は教育の成果なのだと思ってしまっていた。

が、流石に王妃の目をごまかすことは出来ていないようだ。

「お勉強もお稽古も、上達しなかったら一生このままですよ?本気になってやらなければ無理ですよ?」

と言われた。


取り合えず、朝のうちだけ起きて、疲れたら精神だけ切り離して寝る、というパターンに切り替えた。

そのおかげか、少しは良くなっている様だ。



「王都から、出たい、、、」博子

「まだ無理ね。博子が、、勉強はともかくとしても、お稽古の半分は十分できるくらいにならないと、お母様は許さないわね。」華子


稽古の、半分だけか、、、ダンスは難しくはない、型だと思えば良い。礼儀作法も、あれも型だな。侍女のお仕事一般も、勉強に比べりゃなんてことない。武芸はもとより問題なし。

「楽勝じゃん?」博子


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・またはじまった?」」

「いや、まじ、今度こそまじだから。いけるって、、きっと、、、」

きっとって言った!!(華子、大田)


ただ、

習い事が終了したとしても、勉強は永遠に終わらんだろうし(王妃が諦めるまで)、物語になんらかの成果をあげて執筆チームに正式に加わっても、そのチームの責任者つまりボスは王妃様である。常に監視の目は光っているわけだ。

今までが野放ししすぎていた、んだけどね。


がんば!!w


大田も執筆は少しづつ進んでいるけど、相変わらずダメ出しが多く、、、


ガンバ!w


ーー


小館には、王都からの脅威はさほどなさそうである。


ガクもアニャータもつかの間の平和を堪能できるだろう。

匕王夫妻や泉もほぼ常に見守っていることだし。見守って、、、うん、見守りでもあるよね?堂々とした覗きって。


そんちょが領主邸から戻ってきていた。

朝食時

「あ、そうそう、忘れてた、、領主様が安心していたぞ?領都中を小館隊使って捜索させてた。匂いがあっちいったりこっちいったり森に入ったり山に向かったり川を流れたり(え?川無かったとか言っていなかった?)、なんか、ドラゴンに連れ去られた形跡もあり、やばいんじゃね?とかなってたらしい。」


「アニャータさん?」

「そういえば、、なんかに捕まって空飛んだ覚えも、、川?ああ、なんか流された気も、、」

天然の冒険家?やらかされ魔?よろず被害受けます?違った意味での万屋?


向かいに座ってる泉さんも、箸が停まっている。なんかアニャータをぼうっと見つめている。

シューレも、カウンターの前に立ってお盆を持ちながら動かない。


(・・・・・・呼び込むタイプ、か?、、いろいろと、、厄介なことを?)泉

(・・これは、、どっちだ?面白い方なのか、、やっかいな方なのか、、)シューレ

シューレでさえも、厄介と思うことがあるのか?!


「まぁ、、それでもここに着けたのが幸運の持ち主だよねぇ、、流石女神以上のモフだけあるっつ!!」ガク

「いいぇ、、そんな、、たいしたことではありません、よくあることだし、、」


((よくあることぉお?!!))シューレ、泉


「ふーん、大変だねぇお嬢さん。まぁ村にいれば問題はそうそう起きないから安心してね!」村長

「ああ!アタシらが付いているからね!!」と、シューレの弟子をやっているそんちょ屋敷の女性陣達。

昨晩からアニャータはそんちょ屋敷で世話になっている。


泉はお代わりを貰いにカウンターのシューレのところに行き、お代わりをよそってもらいながら、、

(あーいうのって、運なのか?それとも何か憑いているのか?他になんか理由あるのか?)泉

(うーん、、、あそこまでじゃないが、、、運が少し偏っているってのはたまに見たが、、、憑き物は無いだろうなぁ、、、あるとしたら神レベル?)

(チッ、敵は手が届かないところか、、)泉

敵とか、、、


(まぁ、ここはかなりいい場所だ。様子見しておこう)

(わかった)



暖かく見守られるガクとアニャータ。


そのころ匕王夫妻。

「ハニー、そろそろ食事に行こうか?」

「ええ、ダーリン、もうすぐ支度が終わります、ごー、、よん、、、さーーーーーーーん、、、にーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、いちっつ!!おまたせっつ!!」


小館に合わせて、2人とももんぺにちゃちな小袖という出で立ち。

ヲッチのために風景に溶け込む必要があると思い、昨晩2人で相談して出した結論が、「村人と同じ格好をする」だった。

いねーよモンペ、、野良仕事から帰ってきたらすぐ着替えちゃうよっ!!街なかでモンペでうろつく百姓いねーよっつ!!!

あ、、ばっちゃんとか、、例外です。


ここにも生暖かくガク達を見守る強いチームがあった。

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