第291話 後後167 村が国な王子たち


ハリセンでも扇子でもない其の世界の其の時代。

其の場所で。


「爺、ニャラッパーの遺跡はどうだ?」

「はい、変わりはございません」

ふむぅ、、、

と、王子らしき子供は難しい顔をした。


武国がある大陸の南の端、そこいらは巨大な森林地帯になっており、武国は手を付けていなかった。

海沿いにも道を作れるような余裕もなく、高い断崖も多く、しかも森林なので魔獣も出るだろうし、手を付ける意味が見つからずに放置されていた。

が、


その奥、先端の海のそばに、小さな小さな国があった。

海風の防風のためか、海側にも少し林を残しているので、その国の街があるとは、海側からもよく見ないとわからない。

よく見る暇人もいない。


なので、その国は未だに「発見」されていない。


新大陸発見とか、言い方がアレ極まりないと思うけどw

もう人がいるとこを「発見」ってのもあれだよねぇ?

ジャイアニズムww


まぁそれはそーとして、、


王子はダンジョンを作れないかなーと思っていた。

この国にはダンジョンはなかった。

物語で知ってたくらいで、国の者が外の世界に行ったときに、本当にあると見てきたのだ。

「ついでに冒険者登録してきちゃいました!」と。



ちなみに、ガクはたまに冒険者という単語を出してい入るが、この世界で冒険者を見たこと無いし、冒険者ギルドなど見たことも聞いたこともない。ほぼ各国の軍が魔獣を抑えているから。一体、本当に、あるのだろうか?いるのだろうか?



冒険者も今まではおとぎの世界のことだった。

この国では狩人が獣や魔獣を狩るのだ。

なのでダンジョンを作れば、そこに潜るのは冒険者。我が国にも某検車が生まれる!と。

自分がその第一号になるぞ!と意気込む王子。


で、ちょうど遺跡があったので、そこに、魔石を撒いてみました。

それが一月くらい前。



ちなみに、ガクはこの世界で魔石があることを知らない。というか、武国でも農国でも日のいずる国でもどこでも聞いたことなかった。



「王女様が呼んでますよー」ボボンガ

またかよー


暇だと弟を呼ぶのだ。

ジクラの油で作ったろうそく、のみ、ナイフ、のり、紙、などをポケットに詰めて、姉のいる森の邸(山小屋風の小屋)に歩いていく。30分もかからない距離。

そこが陸兵本部になってて、獲物をさばいたり干し肉に加工したり、毛皮を加工したりする拠点でもある。


「おそいわ!これが戦争だったらどーすんの!」

「走るけど。」

「では今も走りなさい」

「いや、戦争じゃないじゃん、、」

「屁理屈ね!」

姉が理不尽なのはどこの世界でも同じようだ。


いつもの通り、あれの動きが悪い、これが壊れた、など言われて直す王子。

村一番の鍛冶師だ。もちろん炉も使える。

ナイフや槍の穂先なども作れるが、好きなのは夢があるものだ。


以前。遠く沖合を通る船団を見た。

その中で2隻程ほど帆を持たないで煙を吐いて進んでいる船があった。

王子の目には、明らかに機械で動く船に見えた。



川砂も少なく、良い剣の材料もさほど取れないこの国、山がない森の国だから。

王子は、いつか外に出て、様々なものをその目で見て確かめたい、という思いに焦がれていた。


村の船は50人で15艘、つまり3−4人しか乗れない一枚帆の船。沿岸でも未知の遠くに行くには心もとない。


が、もし、知っていたら王子はすぐにとびだしたろう。

その小さな帆船でも、順風ならば2日半ほどで、東にでも、北にでも、どちらでも武国の港が見える位置に行けることを。



東の大陸の軍事国家、西の大陸の西の国。大きな国は目立つし技術もそれなりにあるので、手が長い。

が、西の大陸南側のドラゴニア連邦各国でさえ、武国の大陸の者たちにはしられていなかった。


ましてや森林の中に隠れている村規模の小さな国を、知る機会は早々ない。

ちなみに、耳が尖っていないしタカビーでもない、ごく普通の人間の国だ。

森には魔獣がいるが、獣人は見たことすらない。

魔法もおとぎ噺程度で知っているだけだ。


そういう村な国が、まだまだあるのだろうか。

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