第279話 後後154 (そこそこ)深く静かに潜行せよ
夕食に食堂に行くと、モグラはまだ食っていた。
なんか、食堂の連中も面倒くさくなったんだろう、でっかいたらいみたいのに野菜くずとかいろんなものが入っているのを、モグラはガツガツ食い漁っていた。
えさ、じゃん、、、やっぱ。
で、晩定食たのんで食べていると、熊が来た。
「くまぁ、さっき丁稚君に良いモノ作ってもらった。ありがとね!」ガク
「いやいや、こっちこそ、丁稚のやつ、初作品でそんなに旨く行ったんで大喜びでした、、でも、、まずいかな?って」
「あ、初仕事で大当たり?まずいね?」
「まぁ、そうなんだけど、、あいつ、天狗にならなきゃいいけど、、、」
「こんなチンケな仕事はおれんじゃねぇ!とかいい出したら終わりだなー」
「そこに行く前にどうにかしたいすけどねぇ、」
・・
「丁稚君、飾り、彫れるの?」
「まだ教えてないですが、、」
「トリミング小屋の看板を新しく1つ頼もうかな、、周囲に飾り彫入れてもらって、、薔薇の花がいいかな」
「あ!ありがとうございます!やつには丁度良い仕事に成ります!」
まじ真剣に心配していたような熊。もの言いがなんか凄く丁寧になってた。自分でも気がついていないんじゃないかな?
本来の熊はこうなのかもしれない。親方になったからそれっぽくしなきゃ、とか思ってるのかな?
その後、ダメ出し10回以上。やっとどうにか見れる物になったので、OKしてやった。
新看板に変えた後、皆「ガク先生が彫ったのかい?」と訊いてきた。素人並ってわけだ。
だいたい、丁稚君が意気揚々と最初に持ってきた時、それを見た瞬間に怒鳴ってしまったガク。
「ふざけてんのかごらぁああああ!!」と。
バラどころか花に見えないなんかでしかなかったから。
めでたく丁稚くんは「村ではじめてガク先生を怒らせた勇者」と称号を付けられてた。
かつて外のモンにマジ切れしたことあるが、、、、w
新しい看板ができて数日後、、
丁稚君も己の現状がガクの工作並だとわかり精進しはじめ、他の弟子たちも己を振り返り、さらなる精進をしはじめ、熊工務店wは災い転じて・・と旨く行き始めた。
ガクはもふり毎日で、ときたま子供が多い日など天国を味わって喜んでいる。
泉さんは鍛える者達に困らないくらいなので(他国の人狼達が山盛りいるし)、毎日楽しんでいる。
平和な日常が続いていた。
そしてここにも平和な日常が産まれていた。
「・・・・・ごむたい、、おいしい?」ガク
でっけーたらいにつぎつぎにたされる残飯をガツガツ食っている人大のもぐらに訊く。
「おいしいっす!!もう天然モノなんか食っれられません!!」モグラ
・・・・餌付けしっちゃったよ、、、
「このたらいの飯(残飯)と、最初の頃食べてた定食など、どっちが好き?」ガク
「こっちですっつ!!!だんぜんこっちいいい!!」
がつがつがつがつがつががつがつ!!!
なんか、そのうちぶぉおおおお!とかいう音させながら吸い込む勢いで食いそうな感じだよなー
他の獣人とかは、餌、よりも、食事、のほうが美味いといって人型になって食堂に来るんだけど、、やっぱこいつは獣なんだなぁただ喋って会話できるってのが特殊なだけで、、、
「んじゃ、おまえを飼ってやってもいいけど、仕事するならな?」
へっ?!!
とたらいから頭を出し、ガクを振り返るもぐら。顔キタねぇよ、、風呂入らせるかな、、
「おまえミミズ食わないんだろ?うちの村、近隣の村などの畑では絶対に食うなよ?」
「はいっつ!もーあんなまずくてちまつましたのなんか食ってられないです!」
「ミミズは畑の土を良くしてくれるんだ。お前が食ったら、皆おまえを退治しなけりゃならない。わかるな?」
「・・はい、、、こわいっす」
「で、おまえの人気とりのために、おまえは畑を耕せ」
「は??もぐらですよ?」
「だからだよ。作物あらすな。作物の根より少し深い位置をもぐりまわってろ。掘った土で後ろのトンネルをちゃんと埋めながら掘るんだぞ?トンネル残ってたら畑に害になるんで退治だぞ?」
「難易度在りですね?いいでしょう、やってみます」
「で、皆から良いと言われたら飼い続けるし、もしかしたら村に飼われるかもしれないぞ?そんなんなったら、ちゃんと仕事している限り安泰だぞ?」
「わかりました!頑張ってみます!モグラだからっつ!!」
シューレの店の者に、俺が試しに飼ったから。村の畑を良くするのに貢献できたら本格的に飼うから。餌よろしく!
と言っておいた。
最初は深度がうまくいかなくって怒られていたようだが、根の先から30−50センチほどの位置を潜行したらうまくいくようで、それで掘りまくっていた。
鍬ではとても行けない深度。
先々、なんかおもしろい結果とか出るかもしれないね!
たまにガクも畑をまわって、作業してる者達に話を訊いてみた。
「いんでねーか?、すくなくとも、悪いこたぁねーなぁ」
が、総意となった。
で、夜に行けば必ずモグラいるんで、
「ごむたい、お前は合格だ。飼ってやる。だから、週に一度でもいいから、風呂に入れ。いいな?」
ごむたいは水モグラ系ぢゃなかった。
暴れるモグラを数人がかりで、でっかいたらいの超ぬるま湯に押し込んで洗った。
上がって、すぐに逃げようとするのを押さえつけ、みなで拭き、乾燥室に運んでブラシしながら乾かした。
その頃になってやっと落ち着いた。ブラシされるのがとても気持ち良いようだ。
「風呂に入れば、こう、ブラシしてもらえるんだ。わかったな?」ガク
「・・・・・・むづかしい問題です、、、」ごむたい(もぐら)
「食われるよりは、風呂のがいんじゃないのか?」泉さん
「・・・・・・たまに、ですよ?」もぐら
「臭くなったら絶対に入れ!」×全員
あ、やっぱみなクセェと思ってたんだ、、、
最初の頃はそうでもなかったが、頻繁に残飯食うようになってから臭くなってきたのだ。
臭い獣が食堂の中にいるのは、ちょと駄目だよな?
「臭くなっても風呂にはいらなきゃ、食事させてもらえないからな?」ガク
「わかりました!はいります!!」もぐら
・・・・・・・・・・
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