第273話 後後148 ごっこ王宮。
今日はガクは朝食後、素直にトリミング小屋を開店させていた。
もう余計な事しない!と、心に決めたのだ。
なんか旅から戻って、あまり良い出会いはない。西の大陸でのドラゴニアくらいか?マシだったのは。でもありゃ日のいする国国王の親戚だからな、出会いと言うかまー、、。
「今は動いちゃいけない時期なんだ。きっと。」
とガクは思った。
動かなきゃ大丈夫だと思いたいわけである。
午前中は、あとの順番の人(人狼)たちも早めに来て茶を飲んでだべって待っている。
まぁ、言うなれば老人の寄り集まり場になってる。
狼に変態しちゃえば可愛いモフだけどな。・・もふだけどな、、
・・・・
・・・・もふ、と、もぐ、、、
これか?
これで、あの、へんなのを出したんか?・・・
っっろっくでもねーーーーっつ!!!
原因の、というか理由の一つが判明し、納得行かねーけどわかっただけまあ安心感は少し多めに、みたいになったんでよしとして、
ガクが老人狼のたわいない会話にまじりながら幸せなモフリミングを楽しむ今日を送っている頃、
王都では
「セバスチャン!セバスはおるかぁー!」
と王宮に声が響く。
「はい、これに」
シュタッと現れた老執事。
本名、源次郎・バスチャーヌ・シュッタルト。父の家系を農国に持ち、母の家系を武国に持つダブルである。母方祖母は現国王(将軍)の家系。次期王の育成を前王時代から任されているおうちである。
よって、よって呼びつけたのは姫。
姫は最近博子に染まって、ごっこにはまっている。
今はなんだかしらんが、源次郎をセバスチャンと呼んでいる。
源次郎は最初、セバスちゃん、だと思っていた。なんか幼き子になったような気がしたが、セバスチャン、で名前らしい。
その名前だと幼児時代は、セバスチャンちゃん、と呼ばれて、周囲がめんどくさいんじゃあないかな?とも思った。
現王の子供時代は分かりやすかった。何事にもストレートだったから。子供の頃から武人そのものだった。
姫も、最近まではその気が強かったが、、なんか、博子が来てからおかしな方向に行き始め、源次郎も掴みかねている。
なので博子ともよく会話し、傾向を知ろうと努力してみたのだが、、アホ?なんです、みたいな感触しか未だつかめていない。脳筋系アホに近いので安心は安心だろうとは思う。
まぁ、つきあってればそのうちわかるだろう、とは思っているのだが。
「戦だ!戦にいくぞー!」姫
姫、一体今度はなんのごっこなのだろう?まったくわらん、、、と源次郎。でも武人系なので一応系統としては予測しやすい方なので助かった、と思った。
「姫、どことの戦に赴かれるので?」源次郎
「うむ、良いことを訊くな!それをセバスに頼もうと呼んだのだ!」姫
よくわからない、、見回しても博子は居ない。さてはあやつ、面倒臭がって適当に姫に押し付け放置したな?
よくあるのだ。
「姫、その意気は大変よろしゅうございます。が、今、我が国はとんでもなく平時でございます。戦と平時は糾える縄のごとく、その流れを乱すのは天の意思に逆らう如く、、、いかがでしょう?魔獣平定で民の安寧を助けては?」
「・・・うむ、、仕方がない。平和を乱すのは余の目指すものでもない。民の安寧こそ国の要じゃ。」
途中が少し抜けている気がするけどまぁいいか、乗ってくれたから、と源次郎。
この辺が「ごっこ」でもなりきっていないところで、最近は少し物足りないセバス源次郎である。
「博子を呼べ!ひろこー!!」姫
呼べと言っておきながら、めんどくさがって自分で呼んでしまう姫。
もっとなりきってほしいものだ、と、ここでもセバス源次郎は思った。
瞬時に現れる博子。
近くから見ていたのであろう。さきほど、セバスが姫に呼ばれてここに現れてからなーんか付近でワクワクした気配がしていたのだ。
(こいつ、、、)と源次郎セバス
「魔獣討伐に行くぞ!馬をもて!」姫
は!すぐに!とか言ってにこにこしながらシュタッと消えていく博子。
このように天賦の才はあるのだが、、いかんせんおつむが、、、と、博子の素質を目にするといつも残念に思えて仕方がない源次郎。
姫もすたすたすた、、と玄関の方に行ってしまった。
はぁ、、どっからあーゆーネタを持ってくるのだろうか?
それが知りたい。その話を読むことができれば、もっと良く、徹底した演技もできるだろうに、、、
いかんせんネタ元が博子だ。無理である。
以前、ごっこだとまだ知らない頃、わけわからず途方に暮れていた源次郎は姫に解説されたことがある。その時は、伊豆ヴァローン伝説という温泉の話だろうと表題からは察するのだが、全く違くって、えすえふ?なんか、当時の世の全てのSFとファンタジーを愛する少女達が泣いたとか、、女子に限らずSF男子まで総じて泣いたとかどーとかいうほどの名作で、今も歴史にその名は冠たるものとして輝いているとかどーとか、、今でも全くわからない。でも姫は、そういう解説を博子から受けてわかっているらしい。すごい能力である。
それから伊豆のおどり子号とかいう、移動宴会馬車の話だった。それももっと理解不能だった。なぜ焚き火を飛んで超えるのが見せ場なのだろう?宴会芸なのだろうか、、、。そう言えば、どこかの民族に焚き火を素足で踏んで歩いて成人の儀式にしている、とか聞いたことがあるような、、似たようなものなのか?。
で、向こうでは「伊豆」が付くと評判になるんだろうか?
セバスがそう思考しながら仕事に戻ると、将軍が通りかかった。
「あ、セバスセバス!、」
将軍までセバス呼びである。今回のごっこは範囲が広いのかな?将軍もなんか役どころを与えられているのだろう、、
「おまえ、見当ついた?さっき姫と話していたろう?」将軍、つまり姫のお父様だ。
将軍とはおむつ替える時代からの付き合いの源次郎。
「残念ながら、初回接触でしたのでまったくもって。武家方向かな?とは思いましたが」源次郎
「だよなぁ、、俺もまったくわからん、設定くらい教えてくれないと対応に困るわ、、、」
「まぁ、姫と博子のコンビなので、、なにか心のシンクロみたいな感じでその物語をわかりあっているのでしょう。余人にはそこまで入り込めないと、、」
「はぁ、、最近で、もっとも脳みそつかうわ、、、速攻で分析しなけりゃならんよな、、相手してみて反応がよくないと、あ、間違ったー!ってなるし、、、、」
「それです。かと言って漠然としすぎた対応すると不満みたいだし、、」
「それなー、、しかも、俺ら毎回役割あるだろ?」
「それですねぇ、、役付けされると、外から見学して方向性を見るとかやりにくいです。」
まぁなにか見当ついたらまた話し合おう、と2人は別れた。
もし、ここにガクがいたら、博子と同じ世界で同じ世代なので、幾分は見当が付いたかも知れない。
ガクは基本昭和のおっさんギャグ系だが、同世代のを全く知らないというわけではない。伊達にオールラウンダーガクと自称していたわけではない。
うそだけどw
でもそこそこきっちりやらないと気がすまないタチなので、博子に追求に追求を重ねて再現し、本棚埋め尽くすくらいまでやっちゃいそうである。そこまでになるともうライフワーク級。
いなくてよかったね!
というか、ちゃーんと、分けてくれてるんだね、混ぜたら危険な3人。大田、博子、ガク。
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