第270話 後後145 老人狼
その日から、ガクは老人狼をトリミングするときには、普段どのような食事をし、毎日どのように過ごしているのか聞きながらトリミングをするようになった。
で、
少し多めに老人狼をトリミングするようになった。
こっちに来てから老けた人狼も多い様子だ。
食事とかだけじゃないな、、、とガクは思った。
思い当たったのは、退職後のサラリーマン。退職後、バイトとかすればいいのだが、大した趣味も無く何もしていないと急に老けると聞いたことがある。だから趣味を持て、と。
老人狼チームでも作って、うさぎとかでも狩るようにさせるほうがいんじゃないか?
で、
村長と泉さんと長老も呼んで話した。
「ボケ老人狼村になりますよ?」と。
「「「は?」」」
これこれこーで、シューレには食べ物でお願いしたけど、根本はそこじゃないと。
ちょーろーは、人狼村のときは老人もふらっと狩りに行き、一人でうさぎや山鳥を狩っていた、と。
「多分、野生の勘でしょう。ぼけないように、衰えないように自分をそう活動させていたのでしょう」ガク
「でも、ここに来たら生命の危険はない。ぼけぼけでも食べていけるし、襲われる心配はない。幸せな人生末期を過ごせるのはとてもいいんだけど、でも狼であることを忘れたらいけないんじゃないの?」ガク
「武士でもいるわな、侍になる(仕官する)とデブり始めるとかな」泉さん
「まー、同じですね」ガク
で、うさぎ狩りチームを作ったらどーだろうと提案。
それを売って酒代にしてチームで飲めよ、と。
「いんじゃね?」皆
「で、その指導は?」ガク
「君?」皆
「ふざけんな。俺はモフで忙しい。どんだけ人狼が居ると思ってるんだ?!」ガク
・・・・・
「なので、子供隊からリーダー候補を選んで、何人かやらせてみては?そんなかで一番”やりたい!!”って子をリーダーにすれば?」ガク
まーそれでいいか?
となった。
今の子供隊のリーダーは5子(ロク狼のいっこ上の姉)なので、5子に言って、やってみたいというものを立候補させてね?って。
いなかった。
皆、いやだって。
うざいんだって。
口うるさいだけだから、とか。
泉さんは老人狼を集め、隊を編成していた。
なので、こんな感じなんだけどどーしょーか?と相談。
「そのまま言えば?」薄情泉
言った。
折れて崩れる老人達。
「いや、おまえら、仕方ないだろ?日頃言っていることは正しいかも知らんが、モノは言い様ってだな。」泉
「それこそ、今のもいいようがあったろーがっつ!!」老
「より長く生きているんだぞおまえら、、もっと、こう、、立派になろうとしてくれよ?」泉
これがとどめだったw
年取ったホンモノの狼って孤高でカッコイイの多そうなんだけど、人狼は違うのかな?
「いや、個体差だろ?こいつらだから、こーなんじゃね?」泉さん辛辣!
しかたねーなー、と、その日から泉さんが尻を叩きながら老人達を追い回した。
2週間ほどたったら、少しずつ獲物を持って帰ってくるようになった。
現金なもので、売れて酒代になり始めると、威勢がよくなる。が、それほど伸びない。まぁやる気ないより全然マシなんだけどね。
2ヶ月ほど経ったら、
週に二度ほど、シューレの店の前にテーブル出してもらって、飲み食いできるくらいにまでは稼げるようになってた。
この際に、ガクが頼んだ料理が出されている。
その頃から、目立って毛皮のたるみは激減してきていた。
いつの間にか、ガクは陰で「町医者(モグリ)」とかとも呼ばれ始めていた。そのうち省略されてカッコ内だけになった。
ちなみに、うさぎ刈り部隊(どういうカットだよ?)は、陰でボケ狼部隊とか、面と向かってボケ狼部隊とか、言われているとかいないとか。
そう言えば、狼王ぼけろーとかなかったっけ?
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