第178話 後後53 最新技術 戦艦武国の戦力


「タラップ上がるだけでも一苦労だな」

と体格が子供だけど体力異常な泉さんに言わせるほど高い。5階建てくらいあるんじゃないか?もっとか?

俺、途中で何度か休憩しそうになったが、旅でのおかげだろう、しないですんだ。ちったぁ体力ついたってもんだw


船腹に入り口を作らなかったのは、外洋航海のために少しでも堅牢性を保ちたかったんだろうな。

船体は木製。鉄にしなかったのはできなかったのか?敵側に長距離砲の艦があるという情報は無いのだろう。

射程距離で一方的な砲撃戦ができると踏んでのことかな?


甲板は広く、中央よりやや後ろに低めの艦橋。その前に主砲2門の鉄製砲塔。回転砲塔のようだ。口径120mmくらいだろうか?砲身長いな?多分弾頭は椎の実型だろう。砲身内部には少ないがライフリングが刻まれていたから。

砲塔は凄い重さになっているはずだが、見えないが船の竜骨は金属かもしれない。排水量的には支えられているのだが、重量を分散できなければ砲撃時の衝撃に耐えられないかもしれないから。


帆柱は無い。帆船を装うつもりはないということか。


艦橋に上がる。

前方を見渡せるぎりぎりの高さか?

やはり砲塔が甲板にある重心の高さを考量しての、艦橋の低さになったとかか?。


んじゃ、内燃機関はかなり下だな。

すると、排水管と排気管は船尾かな?


そのとおりだった。

なので、石炭も最下層に入れてある。補給はほぼ見込めないんで、往復分。最下層の蒸気機関とポンプ以外の場所はほぼ石炭倉庫。


竜骨はやはり金属だった。クロスフレームの組み合わせの、見たことのない変った骨だ。ねじれそうだが、前後とくっついているので大丈夫なのだろう。


あとは、一般艤装は普通の、東の国から乗った船と似たりよったりだった。


旗艦だが、積載能力に余裕があるようで、移送する将兵も乗せる様子で、結構な部屋数があった。


転移門は、船のちょうど中心になる場所にあった。最も守られている場所、と言っても良いかもしれない。

専用の部屋。

そして、門専用の農国からの援軍の魔術師3名。門の稼働には彼らは欠かせない。

この船で最も守るべき人たちになる。



途中食堂で休憩になった。

福田さんを捕まえ、聞きたいことを訊いてみる。


「この世界の、武国以外の海軍の最新装備を把握していますよね?」俺

「ええ、知っています。知りたい、ということですね?」福田さん

よかった、福田さん成長していた。今までだったら”知っています”で終わってたからな。


「特に戦艦について教えてください」俺


「帆船です。泉さんとガクさん、野上チームで、以前西の国の船を鹵獲しましたよね?あのときの複数の帆柱を持った船が最新です。排水量もあの程度が限度でしょう。多分、あのクラスが最新最大です。

で、海戦装備ですが、あの鹵獲艦にはありませんでしたが、通常船体の右舷左舷にずらっと先込め式の大砲が並ぶそうです。先込め式の銃もあるみたいですが、全く届きもしないので使われないそうです。で、その大砲の射程ですが、せいぜい800メートル、再装填に10分ほどかかるようです。冷やして再装填するとのことです。」


「この船の主砲は?」

「尾栓式、薬莢を使うタイプです。口径120mmなので大きくはありませんが、船の設計の上で、砲塔旋回式だとこれが限度だと思われます。

有効射程は2キロ、10m四方内の着弾精度です。砲に据え付けてある照星と照門で100m単位で狙いをつけます。2−3分に一度発射できるまで訓練しました。海上での距離目測はかなり難しいですが、砲兵達はベテランに近くなっているはずです。

砲身にライフリングがいくらか切ってありますが、今の技術ではこれが精一杯でした。ただ、対陸上砲撃など、精度を無視できるのであれば、8キロくらいはいくと思われます。今回いろいろ試してもらいたいものです。

砲弾は200発あります。手作りなので、製造量に限界が在ります。

以上、今回はこれが限度でした。」


「ありがとうございました。カートリッジタイプまでにしてしまうとは思いませんでした」

「大田がやたらこだわったので」


それから、この船を作る時の苦労をいろいろ聞いた。

戦国時代並のところに、黒船並のを作るというのだから、かなり無理がある。

技術も無いし、それ以前に材料も無い。

よくも作ったもんだ。


だが、技術の封印で、今までこの世界の人の心に平和な世界が維持されてきた。

今回西方征伐を終えたら、この船は封印してもらいたいものだ。

陸の方は鉄道馬車までは許容できても、蒸気機関車は許容できないな。

俺も、なんか将軍達の封印基準がわかってきた気がする。旅のおかげだろうか。


今回に関わる封印技術の特別利用は、この戦艦武国に関してのみだという。

ひとまず安心かな。



俺達は艦内視察を終え、陸に降りた。

将軍は俺の顔を見ていただけで満足した様子で、他に視察に行った。


「どうじゃった?」領主様が俺に訊く

そうだろう、泉さんはこの凄さがわかってない様子。ちょうど泉さんの時代の当時の造船先進国の船、俺の時代の数段前の時代の砲なんだ。


「この時代、この世界にこれほどのモノを作ってしまったのは脅威ですね」俺

「そう捉えるか、、やっぱりおまえはこの国に合っているな、あっはっは!!

おまえ、特に食堂で福田と話している時、悲痛な顔していたぞ。この国、この時代に最も必要な者の顔をしていた。儂と将軍は、もうそれを通り越し、決意を固めきってるからな、こーんな顔していられるんだ。はよここまで来い、ガクよ。」領主様



「そうなのか?」泉さん

「武士、いらなくなっちゃいますよ?いいんですか?」俺

「・・・・・今回の戦が終わったら、この船封印だよな?」泉さん

「でしょうね、全て取り壊し、金属は鋳溶かして原型無くさないと。設計図も全て燃やす。全く形跡すら無くさないと、火種は残るでしょう」俺

「まぁ、そこまでやらんとだめだろうな」領主様

「まぁ、そこまでやるなら安心だな、」泉さん



この中で、それを知っているのは俺、福田さん、大田さんのみ。

福田さんと大田さんは封印の必要性をどの程度わかっているのだろうか?

重要なことだな。

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