第160話 後後35 和ケーキ、蒸留酒とケーキ


それから少しだけ話し、更に2−3杯貰ってからアルージの家を辞して宿に帰る。

宿で刺し身で朝食を食べ、すぐに寝た。


昼過ぎに目が覚めたので、泉さんを起こして風呂屋に行く。

真っ昼間に酒の匂いを抜きに風呂屋、を頻繁に繰り返す俺ら。まぁ旅だからね?


流石にこの街で、昼から酒臭い奴はおらず、船が着いたばかりで数日の垢を落としに来た船員がほとんど。

彼らも酒臭い者など、いいなー、と思いこそすれ、悪く思う者はほとんどいない。

もしくは、市場の者で遅く終わった者達が少し来ていただけ。大体昼ころに仕事を上がり、すぐ銭湯に来て、それから家に帰る。昼飯は市場で食べてしまうようだ。


小館村で、規則正しい生活をしていたなんて、今思い出しても、ホントにできてたのかなぁとか思えるほど、いい加減な今の生活。


国内に入ったのだ。後少しで旅は終わりだ。


帰ったら、、子どもたちは大きくなっているだろうなー、、成長は速い。1年もあればぐんぐん伸びているだろう。

特に3歳くらいの幼児組の子達。忘れられていないだろうか?


などと考えていたら、のぼせそうになったので水を浴びて出た。


外では珍しく泉さんが先に出て待っていた。

そのまま入ったことの無い裏通りに入り、ほどなく泉さんがケーキ屋(茶店)を見つけた。


和洋折衷ケーキ屋喫茶。

「まー、よくも考えたものだなぁ?」呆れる泉さん。

きんつばをガワにして中にクリームと薄切り果物。南部だから生果物もあるから。北に上ると、ドライフルーツを使うじゃないかな?

ホールケーキ、スポンジに抹茶入れたもの、具にあんこも使われている。トッピングにきなことか。それを八等分で売っている。

シューの中に、クリームとあんこ。もしくは抹茶クリームとあんこ。

白玉パフェ。みつ豆パフェ。

和風タルト。

砂糖醤油を塗った薄い餅とクリームの一口サイズが4つで1つ。

おいなりさんの皮にスポンジとクリームが入ったのは疑問だが、、

東の国とは違い、生魚とか使われていないのが救われる?ふつー使わねーよw


飲み物は、番茶は無料でサービスしてもらえるが、クリーム系ならやはり紅茶だ。

ケーキを注文し、席に座るとメニューがあったので見てみる。

食事もできるようだ。

・・・・・・・

蕎麦・うどん、焼き飯、焼き魚、煮物、ごった煮の小鍋、おでん、いいねぇ!。

で、ケーキ出してる店で、刺し身?まぁ、店には生魚の店独特の臭いが無いから、生魚の厨房は離れているんだろう、、。あのバクテリアの臭い?がしたら、ケーキ食えないよなぁ?

南部は気温が高いから繁殖しないのかな?


ケーキはまぁ美味かった。有れば食うかな?てな感じ。

紅茶もまぁ広まったばかりにしてはうまく淹れているほうだろう。


「領内が、こーゆーのばかりだと、、少し寂しいな」泉さん

「ですよね。ここではまだカレー見ていないっすけど、、あれもかなりアレンジされちゃってるんでしょうかね?」

「うーむ、、どんなんなってるか、少し怖いな?」


「でも、アルージの酒は広まってほしいなぁ、、あれは美味かった、、」

ブランデーでもあまり寝かしていないものだった。少々棘が残っていたが、とんがっておらず少しまるまっており、そして甘さの丸みがその棘と反発せずうまく共存しててよかった。ちゃんと寝かせたらどんどん良くなっていくのではないか?

つーか、そういうのは秘蔵してあるだろうなー。

「樽でほしいな、持って帰って10年位寝かせたい、っすねぇ」俺

「いや、すぐにみっかって飲まれちまうだろ?奴等鼻も良いからな」

「確かに、、」


「領主様と、王様と、村長に、なんか良さそうな酒あったら買っていきますか?」

「ああ、アルージの叔父さんの酒蔵がなんか出しているだろう」

「ですねー」


「あ、、ブランデー、今朝のんだ酒がそういう種類なんですけど、あれ、ケーキのスポンジに少し入れたらそれはまたうまくなるんですよねー」

「おう、アルージの店に行こうぜ!やらせよう!」


ということで、すぐさま残りをぜんぶ食い切って、アルージのケーキ屋に向かう。


がちゃ、カランカラン

「おう、正統派ケーキばかりだ!!」嬉しそうな泉さん

なんか、見てて安心してしまえるなぁ、、正統派wケーキは。


幾つか注文して席につく。

程なくケーキが来たので食べると、、やっぱうめぇ、、妖精の血筋だけある、ってやつかな?

「やっぱうまいな、、向こうと遜色ない。」

「俺らがケーキをこっちに引き込む前からやってたんじゃないですかね?」

「かもな。和ケーキじゃないし、あまり広まらなかったんだろうな」


店員が通りかかったので、少し話いいかと訊き、大丈夫とのことだったので、

「ケーキのスポンジにブランデーを少し入れたのは無いですか?」

「うーん・・・・、僕は知らないので、聞いてきます」と奥に行った。


「売ってはいない、ということなのかな?」泉さん

「ええ、多分、気づいて作ったことはあると思うんですけどね」


程なく、アルージが先程の店員に連れられてきた。

アルージ、店員にありがとう、知り合いだと良い、店員を戻す。

「やぁ、来てくれたんですね!」アルージ

「いやな、学が、、」振ってくる

「ええ、ケーキのスポンジにあのブランデーを入れたのがあるのではないかな?と思って来たんですけど」

「ああ、あまり出なかったんだよね。こちらではさほどウケなかった。」

「ええ!!うまいのに!!」びっくりだね?


「うーん、私もうまく出来たと思ったんだよね。蒸留酒の味が広まっていないからかもしれないね」

「あー、、、臭いかも?」

「うん、、、あの匂いがいいんだけど、、知らない者には」

「醸造酒とは違いますからね」


「内側を焦がした樫の木で作った樽で寝かせると、いい匂いになるんですけど」

「知らないな。そうなのか?」

「ええ、オレの世界では結構出てました。あと、果物のブランデーとか、コーヒーや抹茶の味の蒸留酒もありましたね。酒精分が高い蒸留酒に唐辛子をまるごと漬け込んだのとかも。」


「へぇ、、何でもやってみたんだろうなぁ、、」

「蒸留酒が醸造酒より飲まれていましたから」

「へぇ!裕福だったんだね!」

「うーん、、売れたから、大量につくれるようになって安くなったので、一般的になった、のかな?」

「ふーん、先が長いね。」

「ええ、でも透明なのを作っておけば、それを元にいろいろ漬け込めるでしょ。」

「ああ、焼酎と一緒だね」

「そうですね」

「いろいろ教えてもらってありがとう。こっちで手に入りやすいものから、やってってみるよ。」



それから3日ほど刺し身生活をして、北に向かう馬車に乗った。

ウイスキーが売っていたので、3本買った。泉さんは自分用に買い、福田さんと大田さんと飲むと言っていた。

喜ぶだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る