第147話 後後22  東東の国王都


この王都、”東東の国王都”というのが正式名称だそうだ。

隣の「東の国」が、南部諸国群の大本の国だという。

だから東の国の王都は「中心都」と呼ぶんだという。

ほかの国の王都は、「**国の王都」と呼ぶそうだ。

わかりやすいのでよいね♪


諸国連合の会合はつまり親族会議。長男の位置に居る東の国が議長。

東の国の王家の長男だけは、物凄く厳しく育てられ鍛え上げられるという。

一族総帥ってやつだな。諸国群全ての民衆を率い、導き、この国々を安寧させる責任を一生背負う。


そんな一生や、巨大な責任は、

「僕には逆立ちしたってむりですね」俺

「おう、俺もできねーし、やりたくない。」泉さん

「しかも、権力の臭いに寄ってくるゴミムシどもを御さねばならないんだろ?できるわけねー」泉さん


「それをやるために、本人も他者の倍も勤勉で聡明でなければいけないのが大前提。その上で、具体的な努力。

をやって、やっとどうにか諸国群をまとめられる。ってんでしょうね」

「一生が、そのためだけにある、って感じだな」

「ええ、実際そうでしょ。日のいずる国の王だってそうだったでしょ。」

「ああ、まぁ、そうだったなぁ、、、韜晦ばかりしているから判り難いけど、、」

そう見ると、なんか小さい国の王のほうが大変だなぁ、、と思う。

人間の絶対数が少ないんで、人材が見つかりにくいんだろうけど。


翌朝、朝食の時の会話だった。



また、

「ココの王都は多いですよ。表通りは値段が高いので、裏のほうがおすすめです。」

というのが、

泉さんが「街にはケーキ屋あるか?」と食後の茶を淹れに来てくれた者に聞いたときの返答。


んじゃ、と、食休みも早々に立ち上がる泉さん。

仕方がないからついていく。まぁオレもココのケーキを知りたいし。



宿は裏通りにある。表通りにある宿は高いのだ。どこの王都でもそんなもん。だから宿も食事も買い物も裏通り。

価格を考えずに「良いもの」が必要な時にだけ、表通りの店を見てみる。


歩いていると面白いのは勿論裏通り。

国や場所によっては怪しい感じのところがある時がある。その場合そこに入り込まないのが良い。

昼間でも危険なところもある。


ただ、こっちの世界ではそんなところをまだ見ていない。もしかしたら無いのかもしれない。そーだったらいいなー、とは思う。



「こっちにも、数は少ないけどもムッサリムの礼拝所があるんですねぇ」

「おう、俺も気がついていた。やっぱ教会とはさほど離れていないな。どこでも仲いんかな?」

「みたいすねぇ、、俺ら向こうから来た者には驚きですよねぇ」

「あー、でもいいよな、羨ましいくらいだ。」

「確かに」



教会の近くに喫茶店があった。


「教会の建物の持ち主なんですよ、、でも教会のみで生活できないでしょう?だからこっちが生活用の本業。稼ぐための仕事はいくらでも変えることができるけど、教会は”うち”の本業なので変えることもやめることもしないの。」

注文したケーキと紅茶を持ってきたオーナーさん。


「んじゃ、ここのケーキ食べれば清められたりとかー」

「神ってのはそーゆーんじゃないのよ?ひとびとが心を善くあるために利用するの、神を。

善き人になるために、神が在るのよ。」

すんません、、


ケーキを食いながらなんか考えこむ2人。


「うまいけど、、少し考えさせられるな、、、」泉さん

「ええ、なんか、神の位置が、うちらの世界のそれと違うんじゃ?」

「だよなぁ、、」

「教会の者がこうだから、信者はおかしくならないですよね。逆に諌められちゃうでしょうね」

「ああ、、、しかも、ああ言われると、、なんか、、あーいう人徳者になりたいと思うし、そーすっと、ここの神を利用して自分も、とか、な」

「ええ、まぁ泉さんとかうちの領主様と将軍様は、”俺様神”持ってるから不動でしょうけど、、」

なんじゃそりゃ、

と言いながら泉さんはおかわりを注文。


何気にここのケーキが気に入った様子。

控えめで、うまい。

クリームも、「幾つも食える系クリーム」だし。




結局3コづつ食べた後、他の喫茶店を巡った。


昼は食堂でこっちの料理にまたチャレンジし、ひーひー言いながら熱いコーヒーや紅茶で辛さをどうにかし、口直しにまた喫茶店を巡った。


夕方一度宿に戻り着替えを持って銭湯に行く時

「でも、最初の教会の喫茶店のケーキがダントツうまかったな」

「ですねぇ」


「風呂の帰りに寄ろうぜ」泉さん



結局、帰りに寄って「ひとつだけですよ!また明日来ればいいでしょ!」と長居しそうなので止めようとした。

が、

「ここにも飯あるだろが、ここで晩飯も食えばいい」泉さん

なるほど、、


で、晩飯注文し、ひーひー言って食い、口直しにまたケーキを2つほど食べて宿に帰った。



こーゆー、なにもないなんでもない日が楽しい。

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