第141話 後後16 海と漁


夜明けと共に村を出た。

泉さんとなかよくなった連中が見送りに来てくれてた。



「いー連中だったなー、、、」

「ですねー、、武国からの移住者みたいっすよ、親の世代での」

「あー、んな感じだったなぁ、、」

「え?わかるんすか?」


馬を並べて進めている。全く人通りが無い道だから。


「ああ、これだけ人を見てきたら、なんとなくわかる、な。・・学だって、人形態の獣人わかるだろ?」

「まぁ、、それは、、」

「同じようなもんだ」

ふーん、、



途中、村も見なかったので昼食も無しでそのまま進めた。走っているのではないので、馬も休みたがらないのでそのままだ。

馬車をひいているのではないので、並足でも馬車より進む。

俺は自分で思っていたよりも乗馬に慣れていたのか、休みたいとも思わなかった。



廃村を幾つか通り越した。

この距離だと、農産物を王都に売りに行くには少し遠すぎるのだろう。

市は朝から昼前までだ。前夜に出るとしても、夜行は厳しい。盗賊など出ないとしても、闇夜の馬車は危険だし、2日に一度しか売りにいけなくなる。人手もとられてしまうだろうし。



野宿した。

廃村には泊まらない。元畑の脇にあった数本の木陰を利用。

保存食を少し食べ、酒を少し飲んで寝る。酒を飲む時に、泉さんが少しだけ酒を木の根元にこぼしていた。

「宿賃さ」


野宿は朝が早い。

日の出に起こされる。

軽く保存食を食べ、茶を飲み、出発。

水はあまり人には使えない。馬が結構飲むのだ、ガタイがでかいので。



奥に、東にいくにつれ、元畑も原野に還ってくる。漁港がダメになった時、早々に見切りをつけたということだ。

昼前にはもう潮の匂いがしてきた。


「近いですね、」

「ああ、夜には着くくらいじゃないかな」

まだそんなにあるのか、、、



その言葉の通り、日が沈んだ頃に海が見えた。

そこで野宿した。

「浜に行っても小屋くらいだろう、風があるので焚き火もしづらい」

とのこと。




翌朝

砂浜を南に進んだ。

朽ちた小舟、小屋の残骸、


「あれ?、、」

岩があるところで、小魚の死骸がいくつかあった。焼き魚にするにちょうどいい大きさくらいの。


「うん・・・・」泉さん


俺らはいくつか小屋の残骸の中を探し、釣り道具は見つからなかったが、投網が見つかった。使えそうだ。


それから3日間

岩礁のところで食べられるほど育っていない小魚やカニ、小エビなどを捕まえて巻き餌にし、投網をやった。

3日目でやっとそこそこ捕まえられるようになった。それまでは自分らの食用にしていたが、結構採れるようになったので、開いて海水で洗い、少し海水を残して干した。


翌々日、まだ完全に干物にはなっていないが、それらと、取ったばかりの魚を持って、もとの道を引き返す。

今度は疾駆けで。

海まで出てからわかったが、街道は少し離れた小川に沿って走っているのだった。

なので、少し林に入れば水がある。ウマに飲ませ放題ができる。



馬に無理をさせたが、夜遅くにあの村に付いた。

食堂はまだやっていた。酒場だからな。


「よう、来たぜ!」泉さん

「おお!!、いや、、なんで?」と皆驚く


「みやげだ!」

と、魚と干物を食堂のテーブルに広げる。


!!!!!!

「海が、還ってきたのか?!!」

「ああ、素人の俺達がコレだけ取れたんだぜ?投網一つでな」


「おい!明日、寄り合いだ!!、、って、その前に、、今晩は祝いだ!!」

「「「「おーー!!」」」」


俺らは宿に泊まらせてもらい、外の食堂でどんちゃん騒ぎをした。

が、翌朝、男どもはしっかり出ていった。畑作業を早めに終わらせ、昼には寄り合いがあるから。





寄り合いでは、漁の経験者に道具を持って行かせてみる。結果を見て、一部住人が海辺に拠点を作り、何人かが漁をし、干物を作る。


寄り合いには俺と泉さんも参加した。

将来的には、村や村と海の間に海水生け簀を作って、鮮魚を王都に持っていけたらいいのではないか?と。小館村の経験から。

それと、

みりん干し、作るの面倒だが、売れると思う、と意見を言って置いた。と、自分(ガク)の好みからw


どうせ戻るのだから、と海に向かう村の連中と一緒に海に向かう。

途中、村の連中は廃村に泊まった。

「ここは知ってる村だったんだよ、だから問題ない。」とのこと。

「ここに生け簀作れば、海からここまでなら魚も死なないだろう」と、村の連中。

「海水も頻繁に取り替えられるしな」

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