第134話 後後9 アスカにて 武国の甘味処
駐屯地に戻り、会議室で今日の感想。
「これ終わったら飯食っていいからなー。でもいい加減だと終わりにしないからな?良い結果を出せば終わりにしてやる」泉さん
もう日が傾いているが昼は食べていない。
軍隊は作戦中に食事する余裕がなければそのままだ。
そのくらい慣れていないければならない。
が、皆の顔を見る限り、、、
彼らの上司はケロッとしているのに、、、
会議というか感想会議は最初は速く終わらしたい気分に満ちていたが、すぐに熱くなっていった。
若さである!獣人真面目だし!
自分がそこに配置されたら、と思う気持ちと、それならここまでできるんじゃないか?と、自分がそこに行こうがいくまいが、できるだろう的な意見とがぶつかり始め、そこから、だったらこーしたほうがとかあーしろとか、
上司や泉さんは口出ししたいこといろいろありそうで、たまに口をもごもごさせているが、それでも黙っている。
複数の頭で、目線で考え、昇華させていくのを見守っている。
それなりにまでいくだろうと踏んだので、放置できているのだろう。
同年代の俺から見ても「若いなぁ」と思ってしまう。
何の差なのだろうか。
「よし、今日はここまで。」泉さん
議論がループし始めたので、もう彼らの疲れが出たと判断したか。
どんな場合でも議論は打開できる。
相手の言い分とこちらの言い分をまとめるだけでも一つの打開なのだ。
平行線なら平行線でしかないと判明できれば、それは結果だ。
でも今回は違う。俺の目から見ても明らかに先に進むことができるのに、今までの意見をまとめることができなくなっているのでループに陥った、ということだろう。
各自紙にいろいろ書いているので、
泉さんが、
「明日、今度は街なかを見回り、今日のと同様のことをする。その後、今日のこの続きをする。いいな?」
「では解散」と締めくくった。
各隊長達は泉さんにしっかりした敬礼をして部下と部屋を出ていった。
「隊長達、泉さんのやりかたを気に入ったようですね」俺
「ああ、わかるんだから、いけるんじゃないかな?」
「ええ」
それから外に出た。
「街もろくに見ていないうちに王様に連れてかれちまったからなぁ、、市場の周囲からの裏道みていないよな?」
泉さん、さっそくケーキ屋ターゲット、、、王に釣られたときに死ぬ程食っていたのに、、まあケーキだからな、飽きないし。
まぁ、昼飯まだ食べてないし、、泉さんはケーキが飯代わりでいいか。
この日のいずる国は大体農国と同じように、喫茶店みたいな感じのケーキ屋で食事もできる。というかそれを食堂と呼ぶ者も多い。
それとは別に蕎麦屋みたいな食堂がある。というか、蕎麦屋って皆呼んでるので蕎麦屋だね。でもそば以外にもケーキなどこっちでいう洋菓子以外ならだいたいある。酒飲みは結構蕎麦屋。
で更に、宿屋の一階が食堂兼飲み屋になっている。
基本的にはこの3種類の食堂?レストラン?が外食屋になってる様子。
「泉さーん、、ここに銭湯あるから、食事の前に先にほこり落としません?」
馬に乗って外周ってたんで、結構汚れている。
「あ、いいk,、、やめ、、こっちだガク!!」
獲物を捉えてしまったか、、、
喫茶店を発見し走っていく泉さん、数件先の民家みたいなやつだな、、
良くもまぁあんなのがわかるもんだ、、
鼻だろうなぁ、、喫茶犬かよ
でもよかった、
旨い。
パスタもあったんで、シチューパスタを頼んでみた。デミグラソースっぽいやつ。ウサギ肉でうまかったー。
半分泉さんにとられたけど。でも泉さん久々のケーキなんで、
「今日はケーキのために腹を使うのだ、他のものが入れない、」とパスタを全部奪うことはしなかったw
この店のケーキは特にシュー系が美味い。やわらかいのからかたいのから自在に作れるみたい。シューにわずかに味付けたり香りつけたり、余計なものいれてよく膨らむよね?
当然だが、こっちでも抹茶クリームは在り、甘くない小豆のあんことの組み合わせが超絶だったね!それにみかん一切れ、ってのがなんか効果的だったのが不思議。見た目でもそうだが、味的にね!で、番茶があう。ほうじ茶。あったかい麦茶でもあうかもね。
まったく、こういうの作る者達は、魔法使いよりすごいよねぇ、、、ああ、妖精がその人生の大半を使うくらいに嵌っちゃうんだから仕方がないか、、
「でも、今更、というか、毎回思いますが、絶対小館にケーキ屋ほしいっすね!!」
「おうよ!!!領都をケーキ屋の本場、武国の農国とか武国の日のいずる国とかにしたいな!!!」
「なにそれ?wwwwwでもよくわかるけど!!wっw」
久々にケーキを腹いっぱいくった気分、、、というか、、久々かな?
あったら、見かけたら食う。無かったら仕方がない。というスタンスが自然になっているので、ここで王に掴まってから、
あ、プチビーレでフィジニの試作ケーキが最後か、、
あ、
「いずみさん、忘れてたけど、あのプチビーレからここに来る時飯食わしてくれた、ほら魚養殖してるっていう、、」
「あーあー、、いたな、、息子達が、、ここの王城に騎士で、、、って、あの軍にいるってことだな。」
「ですねー。でもそれがどーしたとかになちゃうけど、、」
「うーん、、まぁ事業に魚の養殖も入れられたら入れるがいい、みたいな?」泉さん
なにそれ?だけどよくわかるわ。プロが居るんだし、、ってとこか。親喜ぶだろうし、、?喜ぶかな?あそこんち皆微妙だもんなぁ、、
裏道散策し、和菓子屋?みたいな店もあったので入ってみたら武国人の店。
移住者だという。嫁さんが日のいずる国のひとで、、、というパターン。武国の男どもは、、、
カウンターで甘味みながら選んで注文。
席について
「あれじゃないすか?農国でもここでも武国の男だけ集めたら軍隊一つくらいできそうですね?」
「ああ、あまり外に出ないはずなのに、なぜこんな移住者が目に付くんだろう?」
「・・・こっちに来た武国の男たちって、ほぼ全てがこっちで嫁さんみっけちゃったんじゃないすか?」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
そんなバカな、と自分で一笑に付そうと思ったが、、やめた。
あの武国の男どもである。単純である。あるいみのバカである。
よめの尻にしかれて、喜びそうかな?
・・・ありえる、、、
「かもなあ、、、、それくさいよなぁ?そーかもなぁ?、大体武国の男の旅人って見てないもんなぁ、、皆入って早々に虜になっちゃってんじゃね?」
「ははは、、ありえる・・・」
こっちに入ってから若い子は美人が多い。武国から来たら舞い上がってしまうのは仕方無いというもんだ。
で、相手にされないんなら諦めるだろうけど、相手にされるんだよね。こっちの人って、見た目とかあまり気にしないようなんで、男の中身を気に居るか気にいらないかで決まるみたい。
なので、見た目の釣り合いがとれてねー!!ってカップル、夫婦をよく見るし、それが「普通」になっちゃったからもう見ても違和感無い。
「・・・おもしろい国っすよね、、ここも農国も、、」
「ああ、だから余計に居着きやすくなるんだろ」
だろうなぁ、、
「俺らは、帰るからな?」念を押すか?泉さん
「勿論、小館は俺の故郷だしオレの家だ。皆家族だ。土産を持って帰るから」俺
そう口から出すと、どんどんなんか郷愁が、、、、なんか胸に・・
俺も泉さんも黙ってしまった。
どんどんやってくる甘いもの達をもくもくと食った。
くさもち、やきだんご、きんつば、ごへいもちみたいなの、みつまめ、、
食い終わったあと、店の親父が茶のお代わりを持ってきてくれた。
「・・・わかりますよ、、わしも、、ときたま、、みょうーに郷愁に引かれるときありますからねぇ、、。でもお客さんたち、そのうち帰るんでしょう?くにに。いーじゃないですか、、その気持ちがどんどんどんどんたまって、いざ帰国した時の嬉しい気持ちったら!!大事に我慢するんですよ。」
「大事に我慢する、、か、、なんかわかるな今なら」泉さん
「うん・・・」
王様への土産に、武国の甘いものを一通りつつんでもらった。
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