第116話 後−43 日のいずる国 プチビーレ


街の中央広場の鐘が鳴った。

10時の鐘。

2時間置きに鳴る。こっちではなんと言ったっけ?

武国だと、暁闇、朝、朝後、昼前、昼、昼後、午後、夕方、夕刻、夜、夜更け、深夜、という時間で呼び分けている。

こっちは街になっており、中央に鐘が在りだいたい2時間置きくらいに鳴る。日時計を使っているらしいんで、冬はあまり鳴らないらしい。

「機械時計はよく壊れる」と、まだ普及はしていない様子。

いらないと思う。だいたいでいい。時間なんか大体でいいのだ、でないと時間に縛られ、その縛られクセが人間をせせこましくしていく。

それはこっちで学んだ大きなことだった。


国境超えの馬車は鐘ごとに出て、昼が最終になるという。

俺達の乗った馬車は混んで居なかった。

多分、途中で客を拾うのだろう。



がたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごとがたごと


馬車通りが多い道だからか、馬の足音より車輪が出す音のほうがでかい。

今日もいい天気である。湖から吹く風が気持ちよく、、


・・・


「おい、起きろ、休憩だ」泉さん

「ん、うーん、、気持ちよかったー、、結構揺れたのに、、ゆりかご効果?ww」

もたもた起きていたら、


泉さんはちゃっかしもう茶店に座っていた。

「おう、そばがうまそうだぞ!!」

先に食べている客のを顎で指し示した。


湖の小魚?甘露煮が2−3尾のっているのだろう、うまそうだ。

「泉さんと同じものでお願いします」

「おねーさん、注文いいか?あれと同じそば2つと、冷酒2つ。あと、みりん干しな」

お!気が利く泉さん!!


ゆったりとした休憩時間。この路線はかなり短いようだ。


そのとおりで、夕方になるかならないかのうちに国境を超えた先の街に付いた。ここに国境詰め所がある。

詰所を超え、街に入った。


馬車の客に聞いた宿に向かう。その話をしている時に、御者も「ああ、ソコなら間違いない。いい宿ですよ」と言っていた。


「ごめんなさい、満室で、、、」

断られた、、

「もっと早い時間の馬車だったら空いていたんですが、、」

とのこと。

で、

そこで紹介された小さな宿。

裏路地に入っていくと、モスクと教会に挟まれた場所にあった。


「こんちわー、」

というとすぐに

「ああ、もう表のが一杯になっちゃったんですねー」

と帳場の女の子。ここの娘さんだろう、働くにはまだ若すぎる。自宅の手伝いというところだろうか。


「うん、表のと知り合いなの?」

「ええ、親戚です。うちのお客さんって、年寄りが多いんですよ、教会やモスクがそばだから。」

ああ、敬虔だろうし、行くのに楽だからだな。年取ると歩くのも辛い人も少なくないだろうし、、


と言っているそばから、泉さんが老人の荷物を持って一緒に二階に上がって行く。

「あ、ごめんなさい、ありがとうございます!!」少女

「気にするな」泉さん


「この街って、旅行者にとってはどうなの?数泊する人そこそこ居る?」と訊く

「そうですね、常連さんは3泊くらいしていく人多いですよ」

ということなので、とりあえず2泊分。朝飯つきで。

風呂は外の銭湯。ここも温泉があるという。塩湯も。


ちいさめなブートッチ、って感じかな?とつぶやくと、

「そうですね、そんな感じです。なので、食事も美味しいですよ!」

「それは楽しみだ!」


町の名前はプチブーレだそうな。

でもなんか日のいずる国というイメージから日本と似ているのかな?と思ったが、

「ドコの街もこんな感じで農国と似ていますよ」

と少女。

「この国の者は”ビージスレイ”もしくは”エッ”と呼ぶのが一般的ですね。」

ああ、日本がジャパンとか呼ばれちゃうのと一緒か、、

ジャパンはねーよなぁ?にっぽんがどーしてじゃぱんに聞こえたんか?って小一時間問い詰めたいわw



小さな宿なので部屋も少々小さめ。だけど大概外出ているので問題ない。


宿で晩飯を取り、少々休んでから銭湯に行き、帰りに飲むかケーキか、みたいな毎度のパターンにする。



晩飯は、ブートッチの宿に引けを取らなかった。大合格!!

「どうでした?」と得意げに訊く食後の茶を持ってきてくれた少女。

「ああ、ブートッチの宿並にうまい!!」俺

「でしょう?食事は表より美味しいって評判なのよ!」

「お!表が満員だったのがラッキーだったんだな。」

「そーゆーこと!」少女



茶と一緒に小さいケーキも付けてくれた。

・・・「うまいな、、茶と食うと」泉さん

「・・・・、、ええ、一緒に食うとかなりうまい、、」


「この街のケーキ屋も、期待できるな。」

「ですねー」

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