第72話 中−38 おばはん剣士VSおっさん幼女剣士
昨晩、朝飯はいらないことを言い忘れていたんで、宿の朝飯を食った。美味しいことは美味しいんだよなー、ただ、あの店のメニューが面白いからあっちにしたいってーだけで。
「昼の一刻前くらいに、って言ってましたね。茶会からそのまま昼まで食わせてくれるのかな?」
「昼直前に、それじゃーな、はないだろ、俺だったらそんな恥ずかしいことせんなー」泉さん
さっき鐘が鳴っていたんで、多分元の世界の8時を過ぎた頃だろう。スマホが充電できればなー、、もしくは腕時計を常にはめてりゃ持ってこれたのに、、。でもまぁ、こっちの世界の人たちは時間に鷹揚だから、そのほうがいいけどね。
5分ちこくぅー、とかせっこい奴ってすっげームカつくよな?俺は待たせるの嫌いだから先に着くけど、30分以内は誤差範囲な感覚だ。待つのは苦じゃないしね。なので、ここのやりかたは俺に合っている。
宿のおっちゃんに名刺を見せて、「どこらへん?」と尋ねると、
「こりゃ、辻馬車拾って行くほうが良いぞ?。遠くはないが、でっけー屋敷なんでなぁ、、中をトボトボ歩くと日が暮れるかもなーはっはっは!」
まあ体裁ってのもあるんだろうし、、助言を聞くことにした。
ただ服装は言われたとおりこのままってのは、、「もしかしたら我が国の顔に泥ぬっちゃうかもなー、」泉さん。
なので貸衣装屋に行って、ほんの少しぱりっとしたものを借りる。
「昼食食べる予定なので、汚したら?」と訊くと、
「ああ、大丈夫だ、ほとんど洗えば落とせる。もしー、落ちないなーって汚れのときは、これだと大銀貨1枚、あんたのは大銀1と銀5だなー。」
よかった大して高くない。
泉さんは騎士なので、剣士っぽい服装で帯剣。
俺は学者仕様。魔法使えないんで導師とかじゃないのが少し惜しい、、、
勿論俺の剣は置いていく。
で、辻馬車拾う。名刺を見せたらわかってくれた。
30分ほどで着く。
「あのオバハン、なんで遠いあの小さな教会にまで行ってたんだろうなぁ、、」泉さん
「そうっすね、他にも古そうできれいなの多そうですし、、、あの教会の近所の人が知り合いだとか、そこに訪ねていってただけとか。」
「でも馴染みの喫茶店も近くだったぞ?」
「あ、、なかなか、、昔あそこら辺に住んでた、とかー」
「そんなところかな」
通りはなんか高級な店屋や商会みたいな数階建ての建物が多くなってる。歩く者はそう多くな無い。が、馬車が多くなっている。
その通りを抜けるといきなり巨大邸宅区画に。
「「ほっほう、、、」」
・
・
まだまだ進む。
・
「ここ?王城の真横じゃん、、、、」俺
「あれだ、ここいら王宮周辺の場所は王宮内での位置を表していると思うぞ・・・」
んじゃ、王の横?兄弟とか、姉妹とか、かなぁ、、
「ま、俺らも武国王様直下だからな、王様の親友の直臣でもあるし、、」
「まー、そーですねー、、なんか実感したことないけど、、」
で、その屋敷の門番は素直におれらを通してくれた。屋敷の中を進むこと数分、馬車回しで降りると、ちょうど扉が開き、真ん中からあの老婦人が出てきた。扉は使用人が内側から押し開いていた、なんか自動扉みたいな感じに見えたけど。
偉そうに見えないが、そういうのが板について自然だ。生粋の上流階級ってこーゆーのかな?
じゃなきゃ、俺も老婦人とは言わず、おばあさん程度の表現だったろうなー、などと考えが頭の中に。
「ご招待に甘え参上いたしました。今日はご招待ありがとうございます」泉さん
流石だなー。挙動の仕方がわからず挙動不審に後ろで突っ立っている俺。
さぁさぁ中へ、と老婦人に促されて中へ。
何?お茶会用の部屋?
居間ではなく、客間というわけでもなく、東屋を模した感じの部屋の中?緑多し!
冬が長いから、こういう部屋も作るのかな?
「ほほう、、凝っていますな、、」泉さん
「ええ、寒い時期が長いですからね、我が国は」
さあどうぞ、と東屋に模した席に促され、着いた。
ほどなくメイドが茶を入れてくれる。
で、紅茶ケーキが出てくる!!
「あ、、」
「ええ、あなたが昨日あの店に作らせたクリームですね。我が国の女性たちは、食べ物、特に菓子類にはとても執着がありますのよ?ほほほ」
ほほほ、は、どちらかというと、はっはっは、に近い音だった。騎士?
「お主、騎士だったのか?」傍若無人なおっさん少女!
「あら、やはりわかるかしら、、」
「まぁな、、学、お前もわかったんだろう?」
「、、はぁ、、まぁ、、かなー?ってくらいには、、」
「まぁまぁ、流石武国の王直属騎士さん達ですわね」
調べてるんかー、
「いろいろやること早いな、しかも、明かすのも早い。」泉さん
「剣士は速さよ?」
「そうでもある、な」
わかった、この人も武国の者達といっしょだ、、戦い好き、、、泉さんとやりたいんだ、、
昨日の接触から、なんか普通の人ではない感じがうすうすしていた、腑に落ちた。
「ほう、学、わかったか、、」泉さん
ニタリとする老婦人
「でも、まずお茶ね。ケーキ、まだまだあるわよ、新作よ」
「お!!それはそれは!!ごちそうに成るぞっつ!!!」
さんざん食ったあと、、
「さて、腹ごなしの時間か、、」
「もう?まだお腹にたまってるんじゃないの?」
「あー、このくらいで動くと消化が早まるんで、また食えるんだ」
「じゃ、腹ごなしの後は昼食にしましょう、パスタを用意したんだけど、他に要望があれば変えるわよ?」
「あー、俺はパスタも好きだ、あまり辛くなければなー、、、」
と、立ち上がりながら、メイドが持ってきた木刀を受け取る。
で、部屋のテラスから外に出る数段の階段を降り、そのまま前庭の開けた場所に先導する老婦人。
え?そのままで?
でも、老婦人がメイドに助けられてこの場でドレスを剥ぎ取ると、、パンツ姿、乗馬用に近いもの。最初からこれ目当て、と完全に言えるな。
「ほう、、んじゃ、俺らのことはほぼ知っているのだな?」泉
「ええ、西の国相手の武勇伝までも♪」老婦人
「怖ぇーな農国女は」
「ええ、昔から周辺国では有名よ♪」
・
・
結構間を明けて構える2人。
わずかに、じりじりと詰め寄る、、
泉さんの間合いのほうが広いはずだが、、相手も剣士、、
はやい!まだ間合いが詰まっていないと思ったが、老婦人の方も釣られるように前に踏み出していた、、
ザン、、
「ふう、、あたしが釣り出されるなんて、、初めてじゃないかしら、、、」
「んー、、出てこなかったらそりゃそれで、あるしなー、引かれても、そりゃそれで、、」
「わかったわよ、、一服したらまた一回ね、その後お昼でいい?」
「ああ、なかなか楽しい♪。」
老婦人のほうは汗が目立つ。一方泉さんはけろっとしている。若さの体力の差、もあるだろうが、力量の差がでかいな。
汗が引き始めたら
「さて、
「そうね、
今度はもっと長く見合っている、、、じりっじりっ、、とわずかずつ前に
バサバサバサッ!! 近くで鳥が飛び立っても微動だにしない。
俺の頬に風を感じた瞬間、泉さんは老婦人の目の前にいた。
昼食
「ほう、美味いな!!♪」
「でしょう?貴方方の好みも結構把握できたんだから」
老婦人、泉さんにゾッコンだなーー、
食後
居間で茶を飲んでいると
人が入ってきた。老婦人が立ち上がり迎え入れた。
「私の友人達を紹介したいのだけれど、いいかしら?」
「おう、勿論だ!」
「はい!」俺 もう完全おまけ化しているけど、まあよくあることかな?
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