第69話 中−35 オーウト最後の日。アザーン


中央市場でやぎ肉食ってから、宿に帰った。

泉さんが起きそうなので起こした。


ぼーっとしてるので、水を飲ませ、、

かおあらいまちょうねー、、と顔を洗わせ、、

泉さんはぼけっとしているときはその本体のまま?みたいで子供そのもの。


少しづつ目が覚めてきたようだ。

下に連れてって朝飯を食わしていると、途中から泉さん復活。

きのう、結構飲んだんだね?


「で?」泉

「うん、泉さん、こっちの人たちと話している時って何語使ってます?」

「そりゃー、、、、、、、武国語、、、、、????」

「うん、そう、なんかおかしいっすよね?で、宿のおっちゃんは農国語で僕らと話しているって。で、今の俺の農国語は上手で、農国人と変わらないって」

「ほう、、、」

「泉さんも同じだと言っていた」

「・・・なるほど、、、」


「わかった?そうなんですよ、俺らは自動で言葉を覚え、勝手にそれを使うみたいです。俺らには日本語としか認識できないけど、実際は違う。

ただ、その土地に居て、その言葉をある程度聞いていないと、覚えられない。多分1周間もいれば覚えるんじゃないかな?」


ふーん、とさほど驚きもしないで朝飯を片付けていく泉。

げふー、、うまかった、、

「んじゃ、ケーキ食いに行くか?」


一体ドコに入るのか?という以前に、満腹時でよく食欲湧くよな?



外に出ると、泉さんは結構物売りとかに声をかけている。言葉を使って確認している?使うのが楽しいって感じかな?

「どんどん使って、その能力伸ばすのだ!!」泉

まぁ、実際に伸びるのは使う農国語。特殊な言い回しとか単語とか覚えたいなー、王様などに対する敬語とか、政府関係の用語とか、、




俺達は翌日オーウトの町を発つことにした。

農国人狼軍人のゲルセイ達はまだ宿におり、あと数日はのんびりするとかだった。

まぁ、奴らが帰るときは馬車など使わん、走るだろ、好きなんだから。と泉さん。

まーそーか、、



昼は市場近くの食堂で、

「カレー子供用にあまりからくしないってできます?」俺

「ああ、できるよ、何カレー?」

「やぎ!!」

「知ってるなぁ、、、んじゃ、チャパティかな?」

「あたり!で、アチャー、香辛料いっぱいいれてねー」

「ほう、、わかった、特製な!」

と、いろいろ物分りのよい食堂店主。



「カレーにはやぎ肉があうのか、、、」泉

「ええ、一番ですね。次が鶏肉かなぁ、、」


チャパティで右手だけで食べる食べ方を見せたら、たちまち覚えてうまく食べる泉さん。

武芸達者だけあるな。

おかわりは軽めにダルバートにした。


泉さんの額から汗が吹き出している。もう出来上がっているカレーを少量別鍋に移し、ミルク(牛とは限らない、ヤギ乳も少なくない)と果物やスや醤油などいれて、口では辛さを感じないようにするのが一般的な辛さを減らす方法。尤も、何日も煮込んでたら辛さも飛ぶのだが。



午後は俺が朝散歩した路地を泉さんを連れて回る。

あの小さなモスクにはやはり感心していた。



夕暮れ。町を歩いていたら、またザーンが流れてくる。

この町とも明日でお別れだ。

音が大きいのに、夜中だろうが明け方だろうが、全く気にならなかった。きれいな歌声みたいにしているからだろうか。


アザーンは不思議だ。

それまでただの異国の風景であった眼の前の、周囲の、風景が、アザーンの唄声とともに、幻想的な異国になっている。

砂漠の、土漠の、小さな町。土壁の、高さのさほど無い小さな家々がいくつかあるだけの小さな集落。そういう集落で、夕方のアザーンを聴いてみたい。

その集落で、星空、月夜を眺めながら、夜中のアザーンを聴いてみたい。



たまーに、初心者の練習?みたいな?、あー、、雑音に近いかな?ってのも、ほんとたまにあるけどね。皆、愛嬌だ、と思っている様子だった。



晩飯は

「またカレーが良い」泉

つーんで

他の店で試してみることに。当然混んでいる店。居る客が何を食べているのか?を観察し、ここでは何が美味いのか?を推測する。で、結構ヤギ食っている人が居るんでOK♪!!

ヤギカレー、一つは辛くしないで、と言おうとしたら、泉さん「いらん普通の試す」と。

ァチャーも一緒に頼んで、

「辛ければ、この熱いのを飲んでくださいね」と。

「ああ、わかっている、今度は大丈夫だ」泉さん


おかわりはダルバート。パターン化したかw

で、ァチャーおかわり。チャパティーもたのんで、ァチャーに浸しながら食べる。茶菓子としてのチャパティ。


「よく知っているなぁ、、」と横の席の家族連れの主人らしき男が声をかけてきた。

「ええ、好きなんで、、」俺

「ムーサリムかい?」

「いえ、違いますけど、美味しいものは万国共通だから」

「そりゃそうだ、でも、くい方もきれいにうまく食べるし、チャパティをァチャーにひたして食べるなんざ、今時老人しかしないやりかたなのに、、」

「うまいぞ?」泉さん

「そーだよなー、、おーい、こっちにチャパティ6枚、ァチャーおかわり!!」と注文する主人

「うちも食べたくなったようだ、、あっはっは、」と、早速来たチャパティとに向かう。


ーー


夜も更けて部屋の寝床にもぐっている2人


「学、まだ起きているか?」

「ええ、、なんすか?」

「・・旅って、面白いもんだなぁ、、、」

「そーっすねー、、まぁ、俺ら、こっちに来たこと自体が旅みたいなもんっすけどねぇ、、」

「まぁ、な、、」

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