第68話 中−34 神機能?チートに気づく!! チャパティとダルバート


アザーンは、夕方のそれが一番なのか哀愁が漂うように聞こえる。

この緑豊かな温泉の町でさえ、そう聞こえる。

もし、砂漠の中の小さい町だったら、なおさらだろう。


日に数回アザーンがあるが、寝ていても起きない。特にうるさいとか感じないのだ。

歌声みたいに聞こえるからだろうか。

・・・・ド下手だったら起きてしまうかも?w

んなことを、目が覚めたベッドの上で思った。



この朝起きた時、ふと思ったことがある。

それを確認すべく、朝食をとりに下に降りた。


「おはようございます!」亭主と挨拶を交わす。

亭主がチャパティとダルバートを持ってくてくれる。


「あの、亭主さんは武国語を話せるのですか?」俺

「武国語?いやー、、少しだけ、かな?おはよう、ありがとう、これはなんですか?これはいくらですか?・・くらいかな?」

やはり、俺には全部同じに聞こえる。日本語に。

この国に入った最初の頃はさっぱりだったが、耳にしているうちに言語チートとでも呼ぶのがいいのか、そういう転生特典?みたいのが働いてるみたいだ。


「俺は武国人なんですが、俺のこっちの言葉はどうでしょう?」

「あ?そうなの?農国人と全く同じ話し方だから?、昨晩聞くまでわからんかったわ・・?。あの譲ちゃんも武国なんだろ?あれ?・・・ああそうか、最初、なんか武国語話してたよな?、その時に、ああ武国から来たんだなーって思ったっけ?。あと服装が少しこっちと違うかな?って感じしたしなぁ。」

随分いい加減なおやじみたいだが・・・国際色豊かなのだろうか、このオーウトは。

そういう場所だと、何国人とかほとんど気にしないよね!


「二人共、すごいね?何?こっちで何年暮らしているの?」

「あはは、、、、、、、まぁ、行ったりたり?」

「ふーん、、何にしても、すごいわ」



なんの付与も無くこっちに飛ばされたと思ったが、、

多分、転移者全員に、この言語理解の能力はあるのだろう。と思った。


言葉が違う国々を旅して、各国に1週間くらいいたら、全言語話せるように成るな!!

まぁ、あまり使い道ないけど、、。


実際、武国の言葉と農国の言葉は、近いけど遠い?みたいな感じ。

イギリスの英語とオーストラリアの英語?

いや、

日本の標準語と秋田のばぁちゃん達の秋田弁並くらいに違うかも。

まくしたてられたらぜってーわからん!!くらいの差はあるだろう!!

全く違う単語少なくないし・・・


(ちなみに、某カード会社に居た時、私は英語やタイ語担当、ある女史は秋田語担当、とかなっていた。その女史にはたまにお願いしたものである。昼間に電話かけるとさ、だいたいどこのウチでもばーちゃんしか出ねーんだよねw全く聞き取れなかったよ!!)



暇なので食後に近所をぶらついた。路地裏とか好き♪。もろそこの人たちの生活臭がするんで、他の土地に来ているんだなー、と実感できるし、見ているだけでいろいろおもしろい。


小さいモスク?町内礼拝所、みたいなところが数ブロックに一つ、みたいな感じである。

とてもきれいな小さなモスクがあった。

外から眺めていると、

「はいんなさい、、見たいんだろう?」と老人が話しかけてきた。


「いいんですか?」

「ああ、いいとも。靴は脱ぐんだよ?」

「はい。」


入り口の足洗い場で、手を洗い、口をすすぎ、足を洗って入った。


中は、全体的に薄めの水色。ああ、元の世界でも青いモスク、有名な青いモスクの写真見たなー。

元の世界のイスラムと同様に、偶像は無い。そのかわり唐草模様みたいな模様に囲まれた文字が掲げられている。

窓の上に飾り窓があり、その飾り窓の全てにはステンドグラスがはまっていた。薄いベージュ、オレンジ、ピンクなど暖色系。床に落ちたその光達は壁や床の色と迎合しあい、より美しく見せている。


「ボクの居た世界ではムースラムをイスラムと呼んでいます。挨拶は、アッサラーム・アライクムだった。」

隣り村に農業研修と称した低賃金労働者達が来ていた時、知り合ったパキスタン人に教えてもらった言葉。カレーも彼らにいろいろ指導された、善き思い出である!


「ほう、こっちでは、ムッサラーム・アライクムだ。ちょっと違うんだな」

こっちのムーサリムの言葉は、ムが頭に着くのかな?。「む」が好きなのかな?

ム好き、ムフェチ、、、、ねーよw


「君は、どの神を敬っているのかな?」老人。

祈りを終えた老人と僕は隅の壁際に置かれたベンチに座る。

そのベンチからは、ほとんど何もない礼拝だけのためのこの室内全体が最も良く見渡たせ、その美しさの全体を見るとこができる。

よく考えて置かれたベンチなんだな、などと頭の片隅で思いながら、


「ボクは八百万の神達、そしてモフ神を敬っています。より人の生活に近い下級神ですね」

「・・・・ほう、よく勉強しているのかな?」

なぜ自分がそんな事を言ったのか?知っているのか?わからない。けど知ってるんだ、と初めて気がついた。


なにか、大したことではないことを幾つか話しながら、中に居た時間の多くは眺めるのに使っていたようだ。

老人と挨拶を交わして外に出た。


なんか、不思議な空間だな。何も無いのに。



そのまま路地から路地へとあるいていると、人が多くなってきた。と、

アザーンが響き始めた。お祈りの時間なのだ。ムーサリム達は、行ける者たちは礼拝所に行く。自宅や職場など、旅の途中では馬を止めて道端で、祈る。

こっちのアザーンの最初が、やっぱ違うのか、、アがワになっているように聞こえる。

・・ム、じゃないんだね?


歌うようなアザーンを聴きながら、祈りの者が居たら前を横切らないようにしながら、路地から路地をぶらつく。


通り過ぎる小さな礼拝所からは、人々の声、笑いなどが聞こえる。礼拝所の効用、礼拝の後、あーやって皆と話すのが楽しみで来る者もおおいのだろう。子どもたちも、親が連れてきた他の子達と遊んでいる。


農国は戦をしない、戦を仕掛けられない、内乱もない、飢饉も無い、平和な国だと聞いた。

黙って何もせずに勝手にそうなったわけではない、ということも聞いた。

彼らは自分たちの生活を、平和に維持できている、維持している、ということか。


武国人みたいに戦闘狂がいる話も聞かないしなー、かなり住みやすそうな国。

ただ、贅沢を望む者には無理だろう。今まで見た領主の邸は小さく、豪奢さは見られなかったから。

武国でも似たようなもんだけどね。「贅沢?ああ、武器や防具は贅沢したいねぇ!!」くらいだなあそこはw




お!

いつの間にか中央市場!


「おっちゃん、これ何?」

「あ?これか?食いもんだ。で、俺はおっちゃんではない」

「食い物はわかるが、、何味とか何肉とか、、」

「鳥?塩と胡椒味だ」

「なぜ疑問形なのおっちゃん、、、」

「うむ、、多分鳥っぽいから。おにーさんと言うべきだな」

「わかったよ、んじゃおにーさん、この鶏肉っぽい何かの肉の塩と胡椒味の串を一本と、カレー味って無いの?」

「あるに決まってんだろー?どっちの肉にする?」

「どっちって?」

「やぎととり?だ。」

「やぎって美味いの?」

「ああ、カレーはやぎだな!!なけりゃ、仕方がない鳥?だ。」

「んじゃ、カレー味のやぎ1本も」

「おいきた、今焼くからなー」


どっちもうまかったが、、やぎ、うっメー!!!!!

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