第30話 膨張限度


だん! ずざざざざーっ、

「むんっ!!」

ずばっ!!

ずさっ!

だっ!だだだっ!ひゅん!だんっ!ぶずりっ、、、ぐりっつ!

ぐらっ、、ずしーん、、、


子どもたちが4mクラスのオーガを見っけてくれた。子どもたちは領主様のメンツのためだって、前日から探していたんだよねでっかいおーが。

ありがとーなーみんな!!!


「ふうっ!!」

にかっ!!!


「久々の獲物だった。剣の鍛錬は今でも毎日欠かさないが、使ったのは本当に久しぶりだ。

流石武だな!唯一の親友だけある!!」

「もうお代わりは出ませんよ?こんなクラスいるほうが珍しいんだから」

「おう!、、皆も大義であったな!!」



熊チームによる将軍様の離宮建設は無事に終わり、金はかけねど工夫をこらした露天風呂。冬には床暖房。夏には天井から水車動力によるもったり扇風機は、池にひく川からの小さい水路を利用した。

王宮の何十分の一だろうが、小館の粋を極めたものだ。

勿論王様滞在中は小館隊の者達が警備に付く。

今日は獲物が見つかったので狩りに出た。


上村、下村からも特産品の献上が続々。


「こっちを本拠にしちゃだめかな?」

とか言い出した将軍。

「何言い出してんですか。たまにくるからそう思えるんですよ。田舎だから、本気で住んでしまったらあなたなんか不便で1ヶ月ももちませんよ。忘れたんですか?10歳くらいでしたっけ?」

「わかったから!!言うな!!」

結局うちの領主様と宰相が話し合って、「宰相の許可証(日限付き)があれば来ていい」という話になった。

「おまえら俺のおかんかよ?」と将軍様(王様)

「今頃気がついたのですか?」宰相

最初だからと一緒に来た宰相も、建物や警備について何も言わなかった。満点ということだろう。さすがうちの領主様ですな!。


で、そんちょが、どーせだから宰相のお部屋も後ろに作ってくっつけちゃえ!と。

嫌がらせにならなきゃ良いが、、、


結果、

よかったんだかわるかったんだか、、

王様はちょくちょく来れるようになった。でも宰相と一緒で、しかも仕事も一緒。


「悪いが執務室も作ってくれ」と要望され、熊大張り切り。


昼間使用なので、窓の外にはすだれを吊るし、中が見えないように。狙撃されないように、という意味もある。

重い執務机を置くので冬にパイプを床上にひくことができないから、床下にパイプ固定で、夏にはパイプに流水を通して涼気を流す工夫をした。


余計小館にくるようになりそう、、王都の夏は暑いからなぁ、、


いつの間にか、宰相は王都から小館への道に全て石を引いて爆走できるようにしていた。

領都によらずに小館直行。強行すれば、王都を朝出て翌朝には着く。

これには領主様あきれていた。w

「宰相殿も、か、、、」と。 なんだかんだ宰相も小館が気に入ってしまったということだ。

で、更に、

宰相はそんちょに「領主様に納めた特製馬車」を夏用と冬用それぞれ2台注文。

「朝出て途中馬を変えれば夜には着く」と評判だから。

「4頭立てにすれば、替えずにどうにか?」とかそんちょにそそのかされ、それを注文していた。

なに?オレ知らないけど、熊いつの間に開発?すげーな熊!!オレ安心!!そー言えば前回は4頭立てだったかな?中にいたからよく覚えていないけど、、内蔵シェイクだけはよく覚えている、、、

クマー後輩育成もたのむなーっつ!! オレは何もしたくない♪



そんちょ屋敷、夕食時

「領主殿、

「はい姫ちゃんあーん

もぐもぐもぐ 

「もぐ、、将軍と宰相はあれでいいのでしょうか?

ぐびぐびぐび

「そうさのう

ぐびっ

「まぁ、政に滞りなし、支障なしなので、今の所様子見でいいじゃろう

もぐもぐ

「ひめ、あーん

もぐもぐもぐ

ぐびっ


俺とそんちょは、

なんかいいのかなー、みたいな、、、



というか、小館村、、領主様と王様達の避暑地?避寒地?になってしまった、、

治安は、保安は、国内一だろうし、、

つーか、この東武領軍と小館隊+子供隊に勝てる軍団あるのかなー

武国全軍VS東武軍でやったらどうなりますかね?と領主様に聞いたことがある。

「それ言ったら、全ての領から演習申し込まれるぞ?」

はいよくわかりました



なんだかんだと細々としたことが立て続けにあった最近。

まったりした以前の生活に戻りたいよ、、

と思ってたら、最近王様他国との付き合いで忙しいらしくこっちに来ない♪

領主様もそれに同行している、小館隊領都部隊と王都部隊連れて。


はっはっはー!俺達の天下がもどってきた!!神様ありがとう!!


朝起きて、子供達に剣を振らせ、朝食。村を巡回、その後狩り。昼食後、勉強して音楽少し。

で、お風呂、ブラシ、夕食、ブラシ(年長組は音楽)、就寝。

このルーチンを久しぶりに繰り返す。

あーモフ☆モフ天国♪嬉しいっす神様!!





「えーと、、、熊、何やってんの?おまえら、、」

「は?王様直々に注文を、、迎賓館だそうで、、」

・・・・・

この上外国人かよ!!!!!!!!!!!!



そんちょに直談判

「そんちょ?俺引っ越そうと思うんだけど?子どもたち連れて!!」

「なにいきなりっ!!!」

「俺らの平和がどんどん破壊されているんだけど?どういうこと?」

「・・・・・だってさからえないじゃん、、、」

・・・・・・・

・・・・

・・

!!

「んじゃ、金かけるけど、全額王様に請求できるんだよね?」

「ん!」

「んじゃ、迎賓館は川向うの川岸に作って。川の上に張り出し部分も作って、夕刻には川風を受けられるように。

で、そのよこに、こっちと向こうをつなぐ橋。ゆるいアーチ橋にして、美しさを強調するような造りで。

で、温泉はあっちにも引いて。アーチ橋の下側にパイプを通して、向こうで沸かし直しができるようにして。

で、建物の裏側、川とは逆側に馬車回し、つまりそっちが正面玄関に。広い庭と厩舎など必要なもの、衛兵所なども。

勿論人狼部隊の詰め所も。

で、

建物は3階建てにして。」

「なにそれ?」

「領主様の邸、背が高かったでしょ?あれも3階建てだった。

建物を縦に3層にして、各層を階段でつなぐ。はしごじゃないよ?年寄りでも昇り降りできるような安全な階段。

あと建物全体にかなり重量がかかるから、一階部分の強度は5倍くらいにはしておいてね」

「熊、わかるかなぁ」

「今の熊ならわかるからダイジョぶ!」


と、無理やり変更させた。




思ったより時間掛かったが、その訳は出来上がってからわかった。

すげー、熊すげー、、、

全室川側張り出し付き。最上階はVIP用2つきり。

2階は8部屋が川側と内側にそれぞれ。

一階は川側に食堂と大浴場2つ。と貸し切り用中浴場1つ。橋側に小さい茶店。

よくもここまでデザインしたものだ!!

階段はだんだんが低めの子供や年寄りにも使いやすくなっており、横幅も広めで多くの人が通れる。手すりも壁側にもちゃんとある。だんだんは滑りにくいように、端の方に切れ込みを入れている。この気配り熊!!!

手すりも滑らないようにというのと見栄え両方を活かし、模様を薄く彫り込んでいる。

最上階の2間は、龍の間、虎の間。

2階は野の華の名前になっている。

全和室。つまり人数制限に余裕を持った。

で、伝声管のようなもので使用人が3階や2階から1階の受付と会話可能。

厨房端に、井戸のつるべの方法を利用した手動簡易物品用エレベーター。

よくここまで思いついたものだ!

熊、とうに俺を超えていた!!ありがとう!俺はもう絶対必要ないなっつ!!!神様感謝!!!


領主様どころか王様も超びっくりしていた。だろうよ、ふふん♪

二人共俺が関わったと思っていたが、「まったく!ぜんぜん、いっさいかかわっていません!!」と断言したら二度目のびっくり!!熊、国宝級じゃね?


まぁ最初にそんちょに勢いで言いつけたことだけあとでバレたけど、でも殆どが熊考案なんで、やっぱり驚いていた。


で、

「領主様?もうこれ以上、小館に何も増えないですよね?」

って釘刺しといた。

「今回だけは、もう引っ越そうかな?と本気で考えました。」

って。

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