ドッキリ
吉川 「てってれー! ドッキリでしたー!」
藤村 「うわっ、なんだよぉ! 勘弁してくれよぉ。寿命縮まったよ」
吉川 「いやぁ、完全に騙されてましたね」
藤村 「だって絶対に信じるじゃん、あんなの。じゃあれか? 昨日アマゾンからの配達で置き配で配達済みのメール来たけどなんにも置いてなかったの。あれもドッキリかぁ。参ったな」
吉川 「え、なにそれ? 知らないけど」
藤村 「え? ドッキリじゃないの? 荷物は?」
吉川 「知らない」
藤村 「まじか。だって配達済みのメール来てたんだよ? えー。問い合わせしなきゃじゃん。それはドッキリじゃないのかぁ。でも手が込んでるよ。あのアマゾンで送られてくるバッグに現金を詰めて運べっていうのなんか本当に膝が震えたもん」
吉川 「や……。知らないですけど。なにそれ?」
藤村 「メールで指示したでしょ? 現金を詰めて持ってこいって」
吉川 「してない。それもうドッキリじゃなくて犯罪じゃないですか」
藤村 「またまたー。わかった。ここまで含めてドッキリってことね。ダブルで。あっぶねー、気を抜くところだった。いくらなんでも俺の秘密を告発されたくなければ金を払えなんてのは笑えないよ。あそこは全然笑えなかった。逆に今本当にほっとしてる」
吉川 「それは、知らないですね。なにかの犯罪に巻き込まれてるんですか?」
藤村 「はいはい。もういいよ。てってれー、ドッキリです。みたいな? あんなの公表されちゃったら人生お終いだから」
吉川 「本当に知らないです。なんですか秘密って?」
藤村 「言えるわけないだろ。あ、逆に? 逆にこうやって俺が口を滑らすのを狙おうってハラ? 参ったねー、上手いね」
吉川 「いや、勝手に知らない物語がどんどん進んでるんですけど。全部知らないです。今まで言われたの。全部」
藤村 「上手いんだよ。第二弾が特に上手い。この追い打ちは焦るよ。ただもう出して欲しい。こっちは感づいてるから」
吉川 「なにがですか?」
藤村 「いい加減ちょっとしつこいというか。もうドッキリのスイートスポット外してるよ。ここだよ。出すなら」
吉川 「……?」
藤村 「なにその顔。おやつまだもらってない振りをする小型犬みたいな顔やめてくれない?」
吉川 「本当にわからないんで」
藤村 「ドッキリでしょ?」
吉川 「はい、それは」
藤村 「でしょ? ドッキリでしょ? これ全部」
吉川 「全部っていうかこれです」
藤村 「これって?」
吉川 「ブーブークッション」
藤村 「それはいいんだよ。そこは別にそれほど驚かなかったよ。ブーブーに至るまでの経緯だよ」
吉川 「いや、ブーブーのみです」
藤村 「ブーブーのみ? ブーブーのみでドッキリのプラカード出すの?」
吉川 「はい」
藤村 「コストがあってないじゃん! ブーブーのみは笑って終わりだよ。このプラカード作るのだって大変でしょ」
吉川 「ハンズで」
藤村 「ハンズで買ってわざわざ色塗ってブーブーのみってのはおかしいんだよ。もっと色々な起伏がありつつの、最後に手のかかったドッキリのプラカードでしょ?」
吉川 「これ作った時点でもうエネルギーが残ってませんでした」
藤村 「プラカードをピークに持ってくなよ! 仕掛けでピークを作ってくれよ」
吉川 「それに関してはすみません」
藤村 「それに関してじゃないよ。じゃ、なに? 俺の秘密を告発するってのは?」
吉川 「……?」
藤村 「だからその顔! ドッキリじゃないの? もういいよ、ドッキリじゃないです風ドッキリはいいんだよ」
吉川 「ブーブーのみで……」
藤村 「ブーブーのみをそこまで信頼してるやついないよ。なんだよもう。破滅じゃねえかよ!」
吉川 「すみません。とりあえず落ち着いて。飲み物買ってきますから座っててください」
藤村 「最悪だよ。まじで……(ブー!)」
吉川 「てってれー! ドッキリでしたー!」
暗転
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