シン・デレラ

デレラ 「あぁ、舞踏会羨ましいなぁ」


魔法使 「フェッフェッフェッ。私は魔法使い」


デレラ 「え? 魔法使い?」


魔法使 「ファイアッ!」


デレラ 「火が! すごい本物だわ。魔法使いさんひょっとして舞踏会に連れて行ってくれるのかしら?」


魔法使 「パー券を買えば行けるよ」


デレラ 「そういうシステム的な解決じゃなくて、魔法的なやつで連れてってくれるんじゃないの?」


魔法使 「ファイアッ!」


デレラ 「すごい! 火が! ドレスも出せますか?」


魔法使 「魔法使いと言っても系統が色々あって私は火系が得意なんだよね」


デレラ 「ドレスとかは?」


魔法使 「ドレスは職人がいるんだから魔法使が作っちゃダメだよ。雇用を奪うことになるし」


デレラ 「あ、意外と硬いことを言うタイプなんですね」


魔法使 「モンスター倒す方が得意だから」


デレラ 「もっと万能型の魔法使いさん知り合いにいませんかね?」


魔法使 「いるよ。氷系と雷系も極めたやつ。天才って言われてる」


デレラ 「あー、そっち行っちゃうんですね。カボチャを馬車にするのとかは?」


魔法使 「カボチャを? 煮付けにするんじゃなくて?」


デレラ 「馬車に変える魔法的な」


魔法使 「馬車を作るならカボチャよりも適した材料があるんじゃない? それこそ職人さんに頼んで」


デレラ 「ですよね。正論。そういう正論で来られるとこっちがメチャクチャなこと言ってるみたい」


魔法使 「どうしても正規の手続きを踏めない事情とかあるの? 反社の人?」


デレラ 「そういうわけじゃないんですが。魔法使いさんならそういうの上手いことやってくれるかなぁなんて期待しちゃって」


魔法使 「火系なんでカボチャ焼いたり煮付けにしたりならできるんだけど」


デレラ 「別にカボチャにこだわってるわけじゃないんですよ。舞踏会が羨ましいなぁってだけで」


魔法使 「だったら私がお城の周りを魔法で爆発させるから、その混乱に乗じて入り込んで」


デレラ 「テロリストのやり口ですね。思ってたのとぜんぜん違う」


魔法使 「多少の犠牲者は出るかもしれないけど」


デレラ 「命は奪いたくないです。命はかけがいのないものだから。だったら舞踏会諦めます」


魔法使 「舞踏会に人員が割かれてるはずなので、宝物庫に魔法で火を放つのでその混乱に乗じて入り込むという手も」


デレラ 「混乱に乗じて以外の方法ないですかね?」


魔法使 「それはやっぱりパー券を買ってもらって……」


デレラ 「パー券って言い方もやめてほしいなぁ。せめてパーティーチケットと言って欲しい。印象が良くないので」


魔法使 「たぶん舞踏会に行けばドレスの予備とかあると思うんだよ。だいたい全部現地で調達できると思うよ」


デレラ 「そういうものなんですかね」


魔法使 「出たとこ勝負だから。舞踏会行きたいんでしょ?」


デレラ 「行きたいです」


魔法使 「だったら躊躇してちゃダメだよ。覚悟を決めて乗り込もう」


デレラ 「はい! 俄然やる気が出てきました」


魔法使 「ハートに火をつけたからね」


デレラ 「さすが火系!」



暗転

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