TikTok

教授 「吉川君、時代はTikTokだ!」


吉川 「あー、最近流行ってますね」


教授 「もう、猫も杓子も野良猫もTikTokだよ。あと雌猫とか子猫も」


吉川 「猫ばっかりじゃないですか」


教授 「猫は敏感だからな。ヒゲとか」


吉川 「流行にじゃないんだ」


教授 「とにかく、これからはTikTokだよ」


吉川 「自分もTikTokで人気者になりたいです!」


教授 「そうだろう。人というものはいつの世もTikTokで人気者になりたいものなのだ」


吉川 「いや、最近だけかと」


教授 「縄文時代の土器と共に発掘されたものにこういうものがある」


吉川 「そ、それは、まさか……っ!?」


教授 「……埴輪だ」


吉川 「TikTok関係ないじゃん」


教授 「ハッニワッ!」


吉川 「言い方も。案外言いづらいでしょ、発声が」


教授 「埴輪というものは、どうやって作られるか知ってるか?」


吉川 「土で……こねて……」


教授 「そう。こねて、焼いて、ここでキスして!」


吉川 「しないよ! 結局、埴輪はなんででてきたんだ」


教授 「関係ないこともないこともなくなくない?」


吉川 「ないんじゃないか」


教授 「そもそも君はTikTokというものがなんなのかわかっているのかね?」


吉川 「それは……なんか、リズムとかで踊ったりみたいな、なんというか……」


教授 「まったく嘆かわしい」


吉川 「すみません」


教授 「いいか? TikTokというのはな……穴の空いた練り物のことだ」


吉川 「竹輪! なにそれ? チックワッみたいに言いたいの?」


教授 「そう、竹輪。TikTokというのは、竹輪のことをラテン語で言ったものだ」


吉川 「えー。強引!」


教授 「男は多少強引なくらいがモテる!」


吉川 「なにを言い出してるんだ。どさくさにまぎれて」


教授 「TikTokの特徴はなんだ?」


吉川 「えーと、スマホでみんなと繋がって、盛り上がって」


教授 「そう、繋がると言えば竹輪。みんなでWAになって!」


吉川 「えー! 超強引!」


教授 「男は超強引なくらいが萌える!」


吉川 「意味がわからない」


教授 「吉川君は知らないようだな。黎明期のTikTokが産声を上げた時を」


吉川 「なんですか! それは」


教授 「はるか昔、そう、これはまだ神話と言われていた時代のことだ」


吉川 「嘘つけ。ネットは最近だろ」


教授 「最近広まっただけで、ネットの起源はさかのぼる事ジュラ紀」


吉川 「古すぎる。恐竜じゃん」


教授 「人気TikTokの『トリケラトプスの草うめぇ』とかメチャクチャみんな真似してた」


吉川 「ちょっとリズムいいな」


教授 「しかし、黎明期のTikTokは荒廃していた。力こそ正義。そんな時代だった」


吉川 「北斗の拳みたいだ」


教授 「しかし、そんな中で人々を信じ合う心が生まれた。それが竹輪だ」


吉川 「竹輪……なんと素晴らしい」


教授 「そしてそれが進化したものがTikTok」


吉川 「TikTokとは、人の愛なのですね!」


教授 「わかってくれたか。これで、ワシも思い残すことなく……ゲフッ!」


吉川 「えっ? 突然なんで死にそうなの?」


教授 「あまりにも竹輪に執着しすぎたせいで」


吉川 「ええっ!? 竹輪がどうしたんですか?」


教授 「どうやら……焼きが回ったようだ」



暗転

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