サルも

吉川 「猿も木から落ちるだな」


藤村 「ちょっと待て。なんで猿は木から落ちちゃいけないんだ」


吉川 「え……。いや、諺で」


藤村 「猿だって木から落ちるだろ。むしろ結構頻繁に落ちてるんじゃないか?」


吉川 「そりゃ、そうかも知れないけど」


藤村 「なんか、そんなこと言っちゃったら、猿だって気軽に木から落ちられないじゃないか」


吉川 「そんな猿の事情なんて……」


藤村 「いーや、これは猿に相当プレッシャー与えちゃってるぞ」


吉川 「そ、そうかな」


藤村 「俺らが落ちたら、みんな笑うだろうなぁってネガティブになっちゃってる猿もいるはずだ」


吉川 「なんか、猿に悪いことしたな」


藤村 「そうだよ。もっと俺たちは猿の身になって考えるべきだ」


吉川 「猿、スマン」


藤村 「もっと、猿にとっても気楽に出来ることを提唱していくべきだ」


吉川 「そうだな」


藤村 「こういうのはどうだろう? 猿も悪魔召還失敗」


吉川 「いや、そんな猿は滅多にいないんじゃ……」


藤村 「あの猿でさえ悪魔召還は失敗すると言う喩えだ」


吉川 「元々、猿は悪魔召還得意じゃないだろう」


藤村 「お前は、猿を過小評価しすぎてる」


吉川 「え? 得意なの?」


藤村 「得意かもしれないじゃん。やらないだけで」


吉川 「でも、そんな猿やだなぁ」


藤村 「猿もにがりダイエットでリバウンドってのは?」


吉川 「長いし、語呂が悪い」


藤村 「でも滅多にそんな猿いないだろ?」


吉川 「にがりダイエット自体、ちょっと廃れてるし」


藤村 「そこが今回のポイントだよ」


吉川 「もっと猿にとって得意そうなものじゃないと」


藤村 「猿もバナナの皮ですべらない」


吉川 「転ばないんだ」


藤村 「そう。せっかくバナナの皮があるのに、素通り」


吉川 「猿め、せっかくおいしい場面なのに」


藤村 「まぁ、猿だからな。所詮猿は、お茶の間の期待には応えられない」


吉川 「お茶の間も、猿にはそれほど期待してないと思うけど」


藤村 「猿も四ヶ国語をペラペラとしゃべらない」


吉川 「しゃべらないよ。猿だもん」


藤村 「わからんぞ。ウータン語とかしゃべる器用な猿もいるかもしれない」


吉川 「四ヶ国語ってそういうのなんだ」


藤村 「メガネザルは南部訛りがきつくて分りづらいとか」


吉川 「でも、多分、しゃべらないと思うよ」


藤村 「猿も不信任案で更迭」


吉川 「誰が投票するんだ」


藤村 「あいつに猿をやらせとくわけにはいかない! と」


吉川 「猿更迭されちゃって、何になれと言うんだ」


藤村 「しょうがない。今日からマレーバクでもやるか……」


吉川 「可哀相な猿……」


藤村 「猿もプロゴルファーにならない」


吉川 「ならないね。普通」


藤村 「ならないよな。いくらなんでも」


吉川 「もっとさ、木から落ちるみたいなキャッチーさが欲しいんだよ」


藤村 「猿も井川遥」


吉川 「なんだそれ」


藤村 「木から落ちると、井川遥。似てない?」


吉川 「そんなのだったら、江川卓でもいいじゃん」


藤村 「猿も江夏豊」


吉川 「それは全然似てないぞ。字数だけだ」


藤村 「江川が出たからアリだと思ったんだけど」


吉川 「なしだよ」


藤村 「俺としたことが……」


吉川 「河童の川流れだね」


藤村 「ちょっと待て。河童の川流れってのも……」



暗転

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