占い

良子 「あ、雑誌に占いが載ってる」


吉川 「へぇ」


良子 「吉川くんて、何ガメ座だっけ?」


吉川 「いや、何ガメって、ゾウガメ座とかないでしょ。なんでカメ限定なの?」


良子 「あ、そうか。何ナガスクジラ座だっけ?」


吉川 「それはもう、シロしかないけど、残念ながら、そんなユニークな星座じゃない。カニ座」


良子 「かに座ね。英語で言うとTHE カニ!」


吉川 「それは英語じゃなくて逆にしただけだね。座って冠詞じゃないから」


良子 「カニ座のあなたは、絶好調、何をやってもうまくいく、向かうところ敵なし」


吉川 「おぉ、すごいいいな」


良子 「と、望んでるかもしれません」


吉川 「そりゃ、誰だって望むよ! 絶好調じゃなかったのか」


良子 「そんなあなたには、素敵な出会いがありそう」


吉川 「へぇ、出会いか」


良子 「街で力士をみたら、即アタックすべし」


吉川 「力士限定かよ。なんで力士と素敵な出会いをしなきゃいけないんだ」


良子 「そんなあなたのラッキーフルーツはゴーヤ」


吉川 「ゴーヤはフルーツだったのか」


良子 「ゴーヤのように甘くとろける愛を演出してくれるかも」


吉川 「ゴーヤのどの部分が甘くてとろけてるのか見当もつかない」


良子 「ラッキー動物は、サーロイン」


吉川 「部位!? もう、動物じゃなくて肉になっちゃってるじゃん」


良子 「南西の方角に花を飾ると」


吉川 「南西ってこっちだな」


良子 「たちまち枯れる」


吉川 「じゃ、言うなよ! なんだその予言は」


良子 「そんな怒りっぽいあなたに注意すること」


吉川 「なんだろ?」


良子 「なるべく死なないように」


吉川 「ずいぶんと大雑把な注意だな」


良子 「ラッキーパーソンは髪の短い女性」


吉川 「お。良子短いじゃん」


良子 「と、関係を持った係長代理。しかしそのことが妻にばれてしまい、離婚の危機に」


吉川 「俺の占いじゃないじゃん」


良子 「ラッキー臓物は膵臓」


吉川 「たとえラッキーでも膵臓と接する機会は持ちたくない」


良子 「ラッキー自殺は溺死」


吉川 「しないよ! アンラッキーど真ん中じゃないか」


良子 「ラッキー酸素は」


吉川 「なんだよ、ラッキー酸素って。そんなもんみんな吸ってるじゃん」


良子 「特になし」


吉川 「ないの!? 俺酸素吸っちゃだめなの?」


良子 「ラッキーデストロイヤーはジェイソン」


吉川 「ダメじゃん。会ったら死んじゃうじゃん」


良子 「そんな、あなたにも一つだけいいことが」


吉川 「なんだろう?」


良子 「かわいい彼女がついてます」


吉川 「良子……」


良子 「という、タイプのあなたの今日の運勢は」


吉川 「え? いままでの占いじゃないのかよ?」


良子 「シロナガスクジラ座と相性ばっちりでーす」


吉川 「わーい」



暗転

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